未完つかるい短いの2つ1、ワンライの書きかけ
「雪遊びしたいな~!」
えむのその一言がきっかけだった。人を笑顔にするのが好きな錬金術師こと神代類が、クリスマスショーで使った小型降雪機を改良して持ってきた。セカイでそれを起動し、みんなで雪遊びをすることになった。
ミクやぬいぐるみたちと雪合戦をするえむを少し離れた所で見ている類に近付いて、降雪機を眺める。
「……しかし、類は本当にすごいな。こんなものを作ってしまうなんて」
「フフ、お褒めに預り光栄だよ。でもこれは量を増やすために別の物質を材料にしているから、本物ほど冷たくないんだ」
類はそう言って地面に積もった雪を、手で掬ってきゅっと固めた。ほら、と作った雪玉を手渡され
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2、片腕怪我した類
もぞもぞと右手を動かそうと試みる。上下左右どちらに力を入れても、その手が自由になることはない。真っ白な布に包まれた利き手は、経緯を話さずともどういう状態であるか分かりやすく表していた。
もともと授業は真面目に聞いていない。むしろこの右手のおかげで教師に一度も注意されることがなくて気楽だった程だ。