未完るいるい短いの1、中類が高類に依存気味でかわいいやつ
「ただいま」
いつもと違う、自分の部屋。机や本棚があることは変わり無いが、部屋の一角にはふかふかのベッドが設置されている。その上で布団にくるまっていた男が、声に反応して顔を出した。
「あ、おかえり……!」
部屋に入ってきたのが誰か分かったとたん、嬉しそうに顔を綻ばせ駆け寄る。控えめにシャツを摘まむので、遠慮はいらないとばかりにギュっと抱きしめてやれば、幸せそうな笑い声が漏れた。
「」
「僕には僕しかいないのに」
「求めてくれるのは嬉しいけど、いつかは大人にならないとね」
*
2、何書きたっかったか忘れた
外の様子なんてわからない、隔絶された箱庭。己の手から生み出した、心を持たない仲間たちで溢れた冷たい空間。その隅で、鉛筆がカツカツと硬い音を立てる。机上に散乱する様々な大きさの紙は、そのほとんどにパフォーマンスの案が乱雑に書きなぐられていた。ただ、どれも大きくばつ印がされている。
「……っ、なんで、何も思い付かないんだ……!」
くしゃりと顔を歪め、前髪をかきむしる。何がいけないのかわからないが気に入らない、心が幼いまま育ったような、そんな態度だ。
*
3、朝ごはん
「ほら、起きて。せっかくの朝食が冷めてしまうよ」
こんもりと山を作っている布団を捲り、身体を丸めて眠る子供を起こす。突然自分が幼い頃の母親はこんなことを毎日していたのかと、少しだけむずがゆい気持ちになる。
「ん……今いらない」
「そんなこと言わない。味噌汁もあるんだから早く起きないと」
「ひとりで食べれば良いだろう?」
「そんなの寂しいじゃないか。ふたり分用意した意味もなくなるしね」
*
4、よくあるはなし
「ねえ、本当に受け入れてもらえたと思っているのかい?」
その声に、反射的に振り返る。金の双眸は丸く見開かれていて、驚愕と困惑を映している。
「きっとみんな離れていくよ。かつてみんながそうだったようにね」
「うるさい!」
ぎりぎりと細い首を絞める。手の中でもがくように蠢くが、
「っ……!」
「お前なんか!……僕の大嫌いな過去なんか……っ!」
「」
*
「どうしたんだい?」
「……僕のこと、嫌にならないのかい?」
「そうじゃなくて、嫌いとか、忌々しいとか、……消えて欲しいとか……」