未完つかるい５17歳。高校二年の某月某日土曜日の朝。天馬司のもとに一通のメッセージが届いた。
＿＿『僕、女になってしまったみたいだ』と。

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メッセージの送り主は神代類。司と共にフェニックスワンダーランドでキャストを務める、ワンダーランズ×ショウタイムの一員だ。ワンダーランズ×ショウタイムは、鳳えむ、草薙寧々の女性キャスト二名と、天馬司、神代類の男性キャスト二名の計四名のユニットだ。……そのはず、だったのだ。

「類、どういうことだ」

類からのメッセージを見た司は、急いで類の居場所を聞き出し、やってきた。その間わずか数十分。「朝から元気だねぇ」とからから笑う男、類は、司の目にはいつも通りに映って見えた。女性特有のふっくらとした体型なんて無く、身長も相変わらず司より上。笑っているからか多少高く聞こえるが、声もいつも通り。類なら性転換の装置や薬なんて簡単に作れてしまうのではと思っていたため、何も変わらない元気そうな仲間がいて安堵する。だが、それではまだ分からないことがあるのだ。司は走ったせいで上がってしまった息を落ち着かせつつ、類に問うた。

「見る限り何も変わっていないようだが、“女になった”とはどういうことだ？」

類はニコニコと笑みを崩さぬまま、答える。

「どうって、そのままの意味だよ？」

類の返答を受け、司は頭を抱えた。またわけのわからない実験にでも巻き込まれているのかと。司はまだ気付けていないだけで、実はもうすでに何か仕掛けられているのかもしれない。または、何かの思考実験の一種かもしれない。この男の考えることは謎だらけだ。意図せず大きなため息が漏れた。

「まあ、なんだ……誰かに騙されて襲われたとかの意味ではなさそうで良かったが……」

そうぶつぶつと呟きながら行動の意図を探ろうと思考を巡らす司の手を、類がそっと取った。そして「失礼するよ」とだけ言い、司に何の了承も得ずに自身に触れさせた。司の手を、股の間に。

「ん？……は？」

反応が遅れてしまった司は反射的にその部位を掴んだ。本来ならば男性が生殖活動に使用するものが収まっている位置。そこに触れた司は、明らかな違和感に気付く。おかしい。
さわさわもにゅもにゅぐにぐに……
数秒かけてしっかりと違和感の正体を確かめた司は、ここ最近で一番の大声をあげた。

「お前、女になってるじゃないかーっ！！！」