元雄英のメンバーが数名、偶然集まれるとなって、現地に最初に辿り着いたのは常闇だった。
居酒屋の個室で携帯をいじっていると、入り口からヒョイと見知った顔が覗いてくる。
「あれ、みんなまだ?」
「お前が二番乗りだ。案件は大禍なかったようだな、緑谷」
手元の携帯を伏せようとして、常闇は少々逡巡した。周りによく気を配る友人は「途中だったら、気にしないで続けてね」と声をかけてくる。
「……いや、ただの下調べだ。買い物のな。どの道、今すぐ決まるものではない」
「へぇ、なんか大物?」
「寝台だ。とりあえず大きなものがいい。……いやもうこの際、大きければ大きいほどいい」
ぼやく常闇に、緑谷の首がやや傾いだ。眉間あたりに困惑を湛えた悩み顔は「現代版考える人」として後世に残したいような趣がある。
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