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    k_p_tereshi

    ヒメちゃんと鶴丸の絵とお話、ほぼ鶴ヒメ(R18)

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    k_p_tereshi

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    つるひめ&⚠️娘息子(ふつうに大人)⚠️&ヒメちゃんは神に愛されたことで短命になり既に先立っている設定

    ヒメの亡き後、俺はヒメの魂を探す旅に出ることにした。旅と言うと大袈裟だが、要は俺のこの付喪神、刀剣男士としての力を使って彼岸と此岸の狭間でヒメの魂を見つけるってことだ。まぁ、既にヒメの魂が完全に彼岸に渡ってしまっていたら、俺の声にヒメが気づいてくれるかどうかにかけるしかないが…、まだそうでなかったとしたら、俺の手でヒメを連れ戻すことが出来るはずだ。生き返らせる訳じゃないぜ?さすがにそんな力は無い。少しだけ此岸側に連れ戻して話をするだけだよ。…そこまでして何を話すのかって?決まってるだろ、ヒメに「愛してる」って伝えるんだ。


    気がつくと、霧がかった川の畔に鶴丸は立っていた。見渡すと所々灯りのような人魂のようなものが点々と浮かんでいる。空は昼なのか夜なのかよくわからない色だ。
    鶴「ここが彼岸と此岸の狭間か…、へぇ〜」
    歩き出すと随分と身体が軽く、すこし跳ねてみるとどうやらそこそこ自由に浮遊できるようだった。
    鶴「おぉ〜、飛べるぞ…!これならヒメを探しやすいかもな」
    飛んでいると周りのいくつかの人魂が鶴丸に集まってくる。
    鶴「お前たちも誰かを探しているのか…?」
    人魂はただゆらゆらと光るだけだったが、鶴丸の呼び掛けに呼応するようにそれぞれ瞬いて何かを伝えているようだった。
    鶴「俺は亡き妻の魂を探しに来たんだ、どうしても伝えたいことがあるんだよ」
    すると人魂はやや鋭く光って鶴丸を拒んだような気がした。鶴丸も、刀剣男士の力を使っているとはいえ、生きながらにして無理やりここにいる身で、ここの理に反している異物である自覚はあった。
    鶴「確かに俺は死んじゃいないが…、曲がりなりにも神だからな、現世の理は通用しないってのはどうだ?現にこうしてこの姿でここに居られているだろう?」
    説得するように話していると人魂たちはふわふわと鶴丸の元から離れていくが、また1箇所に集まっている。どうやら鶴丸を待っているようだ。
    鶴「お、案内してくれるのか?ありがとな」
    ふわふわと人魂について行く鶴丸。道中何度もヒメを呼ぶ。
    鶴「ヒメ〜!!居たら応えてくれ…!」
    先を行く人魂の動きが止まる。どうやらここから先は彼岸、本当の死者だけが行ける場所のようだ。
    鶴「そうか…、俺が居られるのはここまでか」
    手を伸ばすと透明な壁のような何かがあるのを感じる。鶴丸はこの境界の壁を抜けられるような力は自分にはないと悟る。
    鶴「案内ご苦労〜!!ありがとな〜!お前たち〜!!」
    そう言うと人魂たちは散り散りにどこかへ飛んで行った。
    鶴「さて…、どうしたもんか…。」
    それからどれくらいの時間が経ったか、鶴丸はヒメを探し続けたが、それらしい魂を見つけることが出来ないでいた。
    鶴「ヒメ…もうそっちへ行っちまったのか…?やはりあのとき…君を追うべきだったのか…?」
    少し弱気になっていたその時、どこからか声が聞こえた気がした。
    鶴「…!!!、ヒメ?、ヒメなのか?!、俺はここだ!!ヒメ!」
    見渡すと遠くに一際輝く魂を見つける。鶴丸は一目で確信した。
    鶴「ヒメ」
    根拠はわからない。なぜあれがヒメだと確信出来たのか。しかし鶴丸自身の心が、魂が、あの一際輝く光を見た時に、見つけたと叫んだ。
    鶴「ヒメ!!!」
    早く、早く。ヒメの元へと向かう鶴丸。話したいことがたくさんある。何から話そうか。ヒメのことだからサキとケンのことも気になるよな。2人とも立派に育ったよ。いや、その前にまず何も言わずに抱きしめたいかな。
    鶴「…(はぁはぁ)」
    輝く魂に手を伸ばす。淡い光が大きく広がっていき鶴丸や周りの人魂をも包み込む。眩しさで思わず目を瞑ってしまっていたが、徐々に目を開くとそこには紛れもなく、自分が愛した者の姿があった。
    鶴「ヒメ………」
    ヒ「つる」
    鶴「ヒメ…!!!、ヒメ…っ…、やっと会えた…っ…!!、やっと……!」
    ヒ「つる…」
    鶴丸は子どものように泣きじゃくってヒメを抱きしめる。それはもう強く強く抱きしめる。ヒメは泣く子どもを宥めるように静かに優しく鶴丸の頭を撫でる。
    鶴「ヒメ…っ…、愛してる」
    涙で顔を濡らしながら、1番伝えたかった言葉を伝える。
    ヒ「ふふ、あたしも」
    鶴「ヒメ…」
    ヒ「こんなに泣いちゃって…、サキちゃん産まれたとき以来じゃね?(ははは)」
    鶴丸の顔を伝う涙をむにむにと手で拭き取る。
    鶴「はは、そうだったか…?君が旅立ったときも相当泣いたが…、見てないかい?」
    ヒ「あ…確かにそうだったかも、つるのお迎えが遅ぇから忘れちゃってたや」
    鶴「あはは、そうか…それはすまん」
    ヒ「へへ。サキちゃんとケンくんは元気…?」
    鶴「あぁ、2人とも元気だよ。立派にやってる、さすがヒメと俺の子だ」
    ヒ「そっか〜良かった〜。ありがとね、見守ってくれて」
    鶴「あぁ…」
    2人はしばらく静かに抱きしめ合っていた。鶴丸は今腕の中にいるヒメが本物か確かめるように強く抱いた。このままずっと永遠に抱き合っていたいと思った。
    ヒ「つる」
    鶴「ヒメ…、」
    堪らずキスをしようと顔を近づけるが、ヒメは少し突っ張る。
    ヒ「、みんな見てる…(ボッ)」
    鶴「構うものか…」
    ヒ「…っ、ん」
    人目(てか人魂)も憚らず、2人は熱い口付けを交わす。これまで会えなかった寂しさを埋めるかのように求め合った。
    鶴「…っは…、ヒメ……」
    ヒ「は…、つる…」
    鶴「ヒメ…愛してる」
    ヒ「ふふ、さっきも聞いたよ?」
    鶴「何度でも言わせてくれ」
    ヒ「へへ、いいよ〜」
    鶴「愛してる…、好きだよ、ヒメ…」
    ヒ「うん、あたしも」
    鶴「あぁ…」
    どれほど時が経ったのか。空の色や周りの景色がさほど変わらないので、時間の感覚が損なわれる。そもそもここはそういった時間の概念があるのかもわからないが、とにかく長い長い間、鶴丸はヒメとたった2人きりで抱き合っているような、そんな感覚だった。
    ヒ「…あたしもね、つるにずっと会いたかった」
    鶴「そうか、遅くなってすまなかったな」
    ヒ「ううん、…つるは、しんじゃったんじゃ…ないよね?」
    鶴「あぁ、違うよ。付喪神の力でここに来れたんだ。ちゃんと生きてるよ、刀剣男士としてな」
    ヒ「よかった…。つるに会えるとしたらつるがしんじゃった時なんじゃないかって思って…、会いたいけどそんなこと望んじゃだめかなって思ってた」
    鶴「あのとき…、必ず会いに行くって言ったろ?」
    ヒ「うん……」
    鶴「本当はな、君をここから連れ出して、君の魂は俺がつかまえて離さないつもりだったんだが…」
    ヒ「…」
    鶴「だがそれは俺もここにずっと留まるということだから…」
    ヒ「それはだめ」
    鶴「ははは、そう言うと思ったぜ」
    ヒ「サキちゃんとケンくんのそばにいて?お願い」
    鶴「あぁ、もちろん君の望むようにするさ。…、だが俺は…、できることなら君のそばにいたいんだ……」
    こんなこと、言って良いのかわからなかったが、これが俺の本心だった。子どもたちは大切だが、それでも俺はヒメの傍にいたいというのが本音だった。
    ヒ「もうじゅうぶんあたしとは一緒に居ただろ〜?」
    鶴「いくら一緒ににいても十分過ぎることはないんだ、常に君を求めてしまう」
    ヒ「ふふ、でっかい赤ちゃんで困るね」
    鶴「…もう少しこうさせてくれ、そうすればサキとケンの元へ帰れる」
    ヒ「うん、いいよ〜」
    またどれくらい時間が経ったか…、鶴丸とヒメはとても長い間抱擁を交わしていた。
    そしてヒメの身体が淡く光を帯びる。別れの時が近い。
    鶴「!、ヒメ」
    ヒ「あ…、時間…みたい」
    鶴「そんな、ヒメ、待ってくれ」
    おさまっていた涙がまた溢れ出す。
    ヒ「泣かないでつる、あたしも、、泣いちゃうよ…っ…」
    鶴「ヒメ…」
    ヒ「あたしも…っ…お別れしたくないよぉ…っ…!!」
    ヒメの大きな瞳からも大粒の涙が溢れ出す。
    鶴「ヒメ…っ…、ん…っ…」
    ヒ「…っん…、…っ!、つる…!」
    鶴「ヒメ…、愛してる、この先もずっとだ」
    ヒ「うん…!」
    鶴「また必ず会いに来る、楽しみに待っていてくれ」
    ヒ「うん…っ…!!」
    鶴「…べっぴんさんが台無しだぜ?」
    ヒ「しょーがねぇだろー…。つるもベショベショじゃん…!」
    鶴「ははは、いっしょだな」
    鶴丸はヒメの頬からむにむにと涙を拭い、ヒメも鶴丸に同じようにして涙を拭う。お互い同じような顔になっているのがおもしろくて笑い合う。そして存在を確かめ合うようにお互いの顔を撫で見つめ合う。
    そしてとうとう、ヒメの身体が淡く光りながらふわふわと上昇し始め、鶴丸の身体から離れていく。
    ヒ「あ…」
    鶴「…!、ヒメ」
    思わずヒメの両手を握って引き止める。
    ヒ「つる…、あたしこれ以上居られないみたい…、行かなきゃ」
    鶴「…っ、ヒメ」
    ヒ「また会えるからさ、会いに来て。つるなら会いに来れるだろ?」
    鶴「あぁ、また来るよ必ず、必ずな…っ…!」
    そっと両手を離す。ヒメは他の人魂たちとともに彼岸の方へふわふわと登っていく。おさまっていた涙がまた溢れ出す。涙で視界が霞みながらも、どこか清々しい気持ちでいつまでもヒメの姿と行く先を見つめていた鶴丸であった。
    ヒ「~!」
    ヒメも愛した者の姿が見えなくなるまで手を振る。瞬きする度に涙が宙に舞う。鶴丸の手の温もりをいつまでも忘れないように、またいつかこうして会えることを信じて、彼岸にて長い眠りにつく。



    鶴「…!、」
    目を覚ますといつもの本丸、彼岸花がたくさん咲いている庭の中にいた。
    鶴「……、」
    なんだか意識が朧気だ。何故か顔や袖が濡れている、泣いていたのか。
    鶴「彼岸花………?、…」
    なんだかすごく嬉しいような悲しいような、不思議な感覚に包まれている。大切な何かを夢見ていたような。
    ケ「父上!」
    サ「パパ~!」
    鶴「!、お前たち…!」
    様子を見に来てくれたらしい息子と娘の姿を見て思い出した。全て思い出した。そうだ、俺はヒメに会った。やっとまた会えた。こんなにも近くに居たんだ。そう思うとまた涙が溢れ出した。
    ケ「父上…?」
    サ「パパ?泣いてるの~?」
    鶴「あぁ…すまん」
    ケ「何かあったのですか?」
    鶴「いや何、ヒメ…母さんに会えたんだ」
    サ「え!」
    ケ「なんと…、それはよかったですね!」
    サ「ママなんて言ってたの?」
    鶴「お前たちのことを頼むと、皆健やかで居てくれと」
    サ「わぁ~✨」
    ケ「ぼくも母さんに会いたいな~」
    鶴「会えるさ、いずれな」
    ヒメ、君が死んでしまってこの世からいなくなったこと、正直に言うと俺は悲しいし寂しい、俺はやはり君と共に在りたいと願ってしまう。だが俺の傍にはまだ君が残してくれた宝物がある。本丸の仲間も居る。君の言う通り、俺はまだ君のもとへ行くべきではないんだろうな。それまではまたこうしてここで少し会うだけにしよう。本当の意味で君のもとへ行けるのはだいぶ先か…、まぁ、楽しみに取っておこうかな。
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