二人は幼なじみ 虎若が一人、学園の片隅で薪割りをしていた。
これは、元々きり丸のアルバイトだったが、虎若の希望で自ら引き受けた事だ。木を割るのは虎若が請け負い、その後の片付けは、きり丸が担う事で交渉成立した。
斧の柄を両手でしっかり握り、大きく振り被る。腕の筋肉に集中して丸太を割る。カンッ。と乾いた音がして、真っ二つに綺麗に割れた。
「精が出るね」
ふと、遠く離れた所から声が聞こえた。
は組の子どもの声ではなく、大人の声。学園の先輩でも教職員達の声でもない。
虎若は、左右を振り声の先を探す。
学園の塀の上に大柄の男が顔を覗かせていた。
焦茶色の忍び装束に包帯を巻いた顔。
その男の名は、
「あなたは、タコヤキドキ城のちょっとこなもんさん!」
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