小さな僕との攻防戦「いっだ!噛んだ!こいつ噛んだけど!?」
ぎゃんぎゃんと叫ぶ高杉の声に導かれるようにマスターに渡されたリヨの入るケージへと雅子も近づいた。
「そんなに騒いで…どうしたというのです?」
「雅!そいつに近づくんじゃない!噛まれるぞ!」
「かま…?」
きょとんと首を傾げる雅子だったがリヨは一向に姿を現さない。不思議に思っているとは対高杉とは打って変わり、もじもじとした様子でリヨは両手を後ろに回し現れた。
「あら?」
トコトコと歩き雅子の前までやってくると後ろに隠していたものを前へ、雅子へと向けるリヨ。それは小さな花だった。可憐な、小さな花。
「…これを私に?」
こくこくと顔を赤くしながら頷くリヨに雅子は花が綻ぶような笑みを浮かべた。
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