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    xtmonomxyr

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    xtmonomxyr

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    #スイスネ
    swissne

    書きかけ「スネックさんって彼女居ないの?」
    「……………」

    突然の問いかけに買って帰ってきた惣菜の焼き鳥を歯にかけるのを止めた。

    「……」

    最初は素っ頓狂なことを聞かれて止まった思考だったが
    質問のくだらなさに嫌気が差して、対面に座る男を睨めつけながらゆっくりと焼鳥を食み、嚥下して、ついでにビールを煽って
    嫌味とばかりに空き缶の底をダイニングテーブルに叩きつける。

    「い」
    「やっぱり居ない?だよねー?」

    居ても居なくてもお前には関係ない。
    そう言おうとした口頭を遮られて不本意な言葉を叩き付けられる。

    こいつ…ほんとに……なんなの……?


    怪人協会の騒動が一段落したと思いきや、退院したスイリューが転がり込んできたのはいつ頃だったか。
    最初は勿論、試合でのやりとりがなんだかんだで印象に残り怪訝しかなく、そこまで様子見はよくないぞ…と門前払いしようかと思ったのだが
    「スパファイの賞金も有耶無耶になっちゃったし、入院費もあってお金なくて…」
    「ちょっと間でいいんだぁ…」
    「スネックさんにちゃんと謝って、恩返ししたいのもあって…」
    「あんな事の後だし、スネックさんの身体もボロボロなんじゃない?俺はもう治ったから、何か手伝えることないかなぁとか」

    …と捨てられた子犬のような目で見られて言うもので
    あと純粋に忙しかった。すごく忙しかった。家の事もろくにできずに帰ったら寝るだけだったの生活だった、のもあり

    「あー…それなら少しの間だけ…」

    なんて判断を誤ってしまった。
    のも後の祭り。

    そもそも曖昧な申し出だったのだ。
    数日。
    もう少し?来週くらいには?と思ってたら2ヶ月は経ってるが?
    手伝い。
    家のことでもしてくれるのだろうかと思っていたら当たり前のように何もしない。
    気を使って買って帰ってきていた惣菜にすっかり味をしめたようで
    飯を用意するどころか「今日は焼鳥が食べたいな!」とか言い出す。

    そんな申し出に対して腹を立てつつもなんだかんだで買って帰ってきている俺もなに?なんだろうな?
    というのを正に、今。
    こいつの馬鹿な質問にほとほと嫌気がさして連鎖反応のように不満が沸き上がる。

    「もうお前出ていけ」
    「えー怒っちゃった?気にしてた?」

    違う。そこじゃない。返しを間違った。
    というか怒鳴る気力もない。ほんとに疲れているんだこちとら。

    「そういう事じゃねぇ」
    「ヒーローの恋人ともあらば一体どんな人がなれるもんだろうと思ったんだけど…一向に現れないし」
    「お……」

    お前それ確かめるためだけによもや居座ってたんじゃないだろうな、とか
    しかももし仮にそれにお前が鉢合わせたらそれどうするつもりだっんだよ、とか
    嫌な想像をしてしまい、言葉が詰まった。

    「もういい…………つかれた…ふろはいる………」
    「あっ待ってよ!まだ聞きたいことあるんだってば」
    「……………………」

    今のが本題じゃなかったのか…?とうんざりしつつも椅子から立とうと起こした身体をもとに戻す。

    「なんだ………」
    「彼女もいないのに、スネックさんっていつ性欲処理してるのかなって」

    ガタッ───とわざとらしく椅子から立ち上がって、無視して風呂場の方へと向かおうとした廊下への通り道をスイリューがその憎たらしい程長い脚を組んで塞ぐ。

    「恥ずかしがらないでさぁ」
    「………なんでそういう思考になる…」
    「違うの?男同士なんだし、猥談の一つくらいいいじゃん」
    「おれとおまえがするような話ではない…………」

    組んだ足をそこそこ強めに蹴って払おうとするがびくともしない。何が「いたーい♡」だ。熟々人を馬鹿にしやがって。
    あとはもう、いつものように結局、さんざ人から人相が悪いと言われた三白眼で睨みつけるくらいしか出来ない。
    それも結局へらへら笑ってものともしないわけだが。今もまさに片膝ついて、込められた嫌味の何の意図も汲む気もみせずに「何か?」みたいに口端を緩めて見上げてくる。

    「いやーだってずっと一緒に暮らしてるけど」
    「暮らしてない」
    「え?暮らしてるじゃん?」

    あれ?みたいな顔をするな。
    何回出てけって言ったと思ってる。

    「だからーそういうの気を使ったほうがいいのかな?とか」
    「他に気を使うべきことがあるだろ」
    「ちゃんと話聞いてよー」

    話を!聞かないのは!
    お前の方だろうが!!!!

    頭に強く浮かぶが口にする気力がほんとにない。ないんだってば。

    「もういい…ねる……」
    「ねぇったら」

    塞げない方の通路を通ってスイリューから反対側の寝室の方へとそそくさと歩みを進める。
    それを大股二、三歩で追いついてスイリューが背中に伸し掛かる。

    「いつしてるの?職場?」
    「阿呆か!!!!!」

    そんな暇ねぇっての!どれだけ忙しいと!!
    言葉は続かなかったが、今日イチの声が出た。

    「してないの?貯めて発散したい人なの?」

    ああ…もう………
    目眩を覚えながらふらふらとそのまま背後霊のようなスイリューをくっつけたまま寝室に入る。

    「寝ちゃうの?」
    「って言ってるだろ…」
    「待ってよ」
    「布団に入ってくんな……」
    「ねえってば」

    スイリューから背中を向けて横たえた身体を急に肩を掴んで引き戻される。

    「なに…………」
    「もー…ほんとに鈍感だよねぇ?」
    「なにが………」
    「俺は俺で色々考えたわけ!」
    「……?」

    いつになく声が少し真面目な気がする…
    そしてハッとする……
    そうか、今日あんな馬鹿なことを聞いてきたのもきっとそういうことなのだろう……
    お前なりの切り出し方だったんだな?あれはどうかと思うが。

    「そうか……やっと」
    「うん」

    「出ていく気になっ「俺に手伝えることってやっぱりそういう事じゃないかなって…」

    「えっ?」
    「ん?」

    声が重なってよく聞こえなかった気がする。
    よもやそんな、はは。

    「出ていく気に」
    「それはない」

    ベッドに半身乗り上げていたスイリューが素早くそのまま俺の上へ陣取る。
    反応は出来ても対応出来ずに咄嗟に構えることしか出来ない。
    しかもそれを事もあろうに手を掴んでそのまま押さえつけられる。
    えっ?何この構図……?

    「」
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