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    ぽてぃ

    @pothy_helios_01

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    ぽてぃ

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    キスの日なので
    2021年にアップしていたお話の再掲(ちょろっと内容訂正してます)
    ウィルアキ

    外出から戻り、居住区の階へ戻る前に飲み物でも買って帰ろうかと談話室の方へと足を向ける。

    「女の子って、記念日とか何かの日って好きだよネ」
    「そうなんだよね。うっかり忘れた時とか大変だったな」
    「あ、アキラっちだ〜!」
    「ん? ほんとだ。ねぇ、こっちへおいでよ」
    談話室へと入れば、そこに設置されている椅子に腰掛けながらビリーとフェイスが何かしら話していた。
    扉の開いた音で気付いたのだろう、こちらに声を掛けられる。
    呼ばれて無視するわけにもいかないので二人の方へと「なにしてんだ?」と返事をしながらそちらへと足を向ける。
    「んー? 他愛もない話しなんだけどね」
    「DJから何か面白いネタの提供がないかと聞いてたとこダヨ」
    「そっか。オレには関係なさそうだし、行ってもいいか?」
    「アキラっちつれない〜。そう言わずに一緒に話そうヨ」
    「どうせ暇してるんでしょ?なにか飲み物買ってあげるし、座りなよ」
    二人からそう言われ、ビリーは何故か自分が座っていた席から立ち上がり、オレにその席を譲ってもうひとつ隣に座る。仕方なくフェイスとビリーの間に挟まれるような形で、空けてもらった席にオレは座った。
    「はい。コーヒーでいいよね?」
    「おう、サンキュな」
    飲み物を奢って貰い受け取り礼を言う。

    「それで、確かに暇してたけど話に入れと言われても、オレからは特に何もねーんだけど?」
    話に混ざったものの、こちらからは特に今のところ話す話題はないと告げる。
    「オイラはアキラっちに聞きたいことあるヨ〜!」
    二人の真ん中に座るオレの顔を覗き込むようにして言う。ビリーからの質問は嫌な予感しかしない。
    「…聞きたいこと?」
    「うん! さっきねDJと話してたんだけど、アキラっちは記念日とかちゃんと大事にしてる?」
    「記念日? なんの?」
    と、聞き返しながら貰ったコーヒーを口に運ぶ。
    「お付き合いして何ヶ月目とかのだヨ、アキラっちお付き合いしてる人いるもんね〜」
    「ぶっッ、げほ…っ、ゴホッ、………は?」
    ビリーはおろか誰にも言ってないし、そんでアイツも誰にも言ってないはずだし、そのような素振りも周りにみせた事もないのに何故知っているのか。驚いて思わず飲んでいたコーヒーを口から出してしまいそうになった。
    「ちょっと、吹き出さないでよ」
    あからさまに嫌そうな顔でフェイスがそう言う。
    「いや、むせたんだから心配しろよ」
    と、ツッコミを入れてしまう。
    「ワオ! ダイジョウブ〜?」
    こいつはこいつで取ってつけたように言ってくる。
    「…っ、大丈夫だ」
    「それでネ、記念日とかアキラっちはお祝いしたりとかするのかな〜って」
    「いや、なんで、オレが誰かと付き合ってる前提みたいな話しになってんだ? いるとは言ってねーぞ」
    「ニューミリオンが誇る情報屋を舐めてもらっちゃ困るヨ〜」
    人差し指を立てて、チッチッと左右に振ってビリーは自慢げに言う。胡散臭いな。だけど確かにこいつの情報網は侮れない。
    「あ、ちなみに俺もなんとなく分かってるよ」
    「はぁ? なんでだよ!?」
    「ほら、俺は自分で言うのもなんだけど、そっち方面の経験豊富でしょ。それでアキラとお相手さんの纏ってる空気? みたいなので分かっちゃうんだよね。まぁ、他の人は気付いてないみたいだから、安心しなよ」
    「うぐぐ…、はぁ…まあ、そうだとしても敢えて誰とかはオレは言わないからな」
    コイツらには敵わないと悟り、ヤケ酒ならぬヤケコーヒー(?)で残りを一気に飲み干す。
    「んふふ〜、それでね、話を戻してもいいカナ?」
    「あ、何だっけ?」
    「記念日はって話しだよ、もう忘れちゃったの?」
    「覚えてるよ! 敢えて話しを逸らそうとしたんだ、くそっ」
    「あは、だったら観念して答えるしかないんじゃない?」
    「じゃあじゃあ、気を取り直してもっかい質問するヨ〜? アキラっちは記念日はお祝いする?」
    「いや、しねーな。そもそも必要あんのかっていつも思ってるんだけど」
    「やっぱり思った通りの解答だネ」
    「面白くなくて悪かったな」
    質問してきたにも関わらず、そう言われると口先を尖らせて少しムッとする。
    「アキラはそうだろうなって俺も思ってた。でもお相手さんは記念日とか気にするタイプでしょ?」
    「な、なんで分かるんだよ?」
    「そういうの好きな感じするからね」
    「…この前、その記念日の一つ。ちゃんと聞いてなくてすっぽかしたらめちゃくちゃ拗ねられた」
    その時の拗ねっぷりを思い出してげんなりとした表情を浮かべる。
    「あ、あと。あいつ、記念日以外にも何とかの日? なんかそーいうのを言ってくる時もあるな」
    記念日以外にもこだわる節がある事をふと思い出して呟く。
    「それそれ〜ちょうどDJと、何とかの日ってのもお話ししてたんだヨ」
    オレが呟いた言葉にビリーが反応をしてきた。
    「そうそう。記念日以外にもそういう日にも女の子たちってこだわるから、ほんと大変なんだけどね」
    そう言いつつも、フェイスの表情からは大変さは窺えない。
    「ちなみに、今日って何の日なんだろうネ? スマホでちゃちゃっと調べてみよっか」
    そう言って、ビリーはスマホを取り出して検索欄を開く。
    「今日は、5月23日だよね。“5月23日 何の日”検索〜っと」
    オレとフェイスはビリーが持っているスマホを一緒に覗き込む。
    「へぇ、今日って“キスの日”なんだ」
    「き、キスの日…っ?」
    「フワーォ♡ 恋人同士にはピッタリな日だネ」
    スマホの画面に表示された内容に口々に答える。
    「アキラ、何動揺してるの? キスしたことくらいあるでしょ?」
    「そ、それくらいある! …そんな日が出てくるって思わなくて少しビックリしただけだ」
    思わず答えなくてもいい事に答えたような気がしないでもないが。
    「内容も調べてみるヨ〜」
    ビリーがそのまま“キスの日”からキスに関するものを色々と調べ始める。
    「なるほどネー」
    「ふーん。色々あるんだね」
    「…キスする場所に意味があんのか?」
    その中のひとつにキスをする箇所に意味があるというもので、思わず気になってしまい呟く。
    「アキラはそれが気になったの?」
    「は? いや、そーいうわけじゃねぇし」
    「またまたぁ、隠さなくてもいいのにー」
    「だから違うっての!」
    二人から揶揄られ否定するものの、ほんとは少しだけ気になる。
    「もうちょっと詳しく調べてみる?」
    「オイラがちょちょいと調べてあげるヨ!」
    「いや、だから」
    止めようとするもビリーはあっという間に調べてしまう。
    「ワオ! 思ったより沢山あるネ」
    「へぇ、キスする場所によってこんな意味あるんだ…確かに言われてみれば、そういう意味に取れそうだよね」
    「……なるほどなぁ」
    と、思わず表示されている内容に相槌を打ってしまう。
    「あ、やっぱり気になってるよね」
    「ち、違うから!」
    「お相手さんにしてあげる?」
    「なっ…!?」
    「たくさん意味あるみたいだから、この画面スクショ撮っといてあげるヨ〜。そんでアキラっちに共有してあげる」
    ビリーはオレのズボンのポケットに突っ込んでいたスマホを取り勝手にいじり出す。
    「おい! 何勝手にオレのスマホとってんだよ!」
    「えー? いいじゃん。アキラっち使い方あんまし分かんないんでショ?」
    そう言ってる間にビリーのスマホからオレのスマホへとスクショされた画像が既に送られ、オレの手元へとスマホを返された。
    「スクショとか写真を見るところは流石に分かるよね?」
    フェイスがオレのスマホを覗き込みながら聞いてくる。
    「こ、ここだろ?」
    画面の中のアイコンを少し自信なさげに指差す。
    「うん、合ってるよ。そこをタップしたらさっきビリーが送ったスクショ見れるからね」
    「いや、だから見ねーから!」
    「じゃあ削除する?」
    「……消し方分かんねぇ」
    削除してくれと言ってもきっとしてくれないだろう。諦めてズボンのポケットへとスマホをしまう。

    話しの話題は変わるものの、この後も三人でしばらく話しを続けほどよい時間になったところで解散しオレは居住区の部屋へと戻る。





    「ただいまー。って誰もいねーじゃん」
    部屋への扉が開き、足を踏み入れ共有ルームのリビングを見渡すものの、今はメンター二人も同室のあいつも不在のようで部屋はシンとしている。
    そのままルーキーの部屋に戻り自分のベッドへと辿り着けば仰向けにゴロンと横になる。特にすることも無いので一眠りしようかと、体勢を横向きに変えようとした時にズボンのポケットにスマホを入れたままだった事に気付きそれを取り出す。

    「さっきの……」
    オレのスマホへと送られた画像の事を思い出す。二人の前ではあのように言ったものの、気になっていたのは事実で。
    スマホ画面の、写真やスクショが保存されている所のアイコンをタップする。
    そのスクショの内容に書かれている文字を追っていく。あいつ、オレにいつも色んなところにキスしてくるけど、ここはこういう意味があってって分かっててしてるのか…? その箇所にキスされている時を思い出し、恥ずかしくなり全身がブワ、と熱くなるのを感じる。
    いやいや流石に意味までは知らないだろうと思いつつ、ゴロゴロとベッドの上で身体を転がし悶える。

    「アキラ? 何してるの?」
    「へ…? おうわっ!?」
    突然声を掛けられ、ビックリしてベッドのスプリングを活用して勢い良く上体を起こす。
    「ウィル…? お前いつ戻って来たんだ?」
    声を掛けて来た主は同室のウィルで戻って来た事にオレは気付かなかったみたいだ。
    「ゴロゴロ転がってるあたりで戻ってきたけど、こっちに気付いてないみたいだから、声掛けたんだけど」
    「そ、そっか。おかえり」
    「うん、ただいま。って転がって何してたの?」
    「何もしてねぇ、ただゴロゴロしてただけだ!」
    「そうなの? ゴロゴロしてるところ面白かったけど」
    と、クスクスと笑われる。
    「笑うなっての! ってか戻ってきたんなら、自分の部屋の方へ戻れよ」
    シッシッと手を払って自分の部屋の方へと行けと伝える。
    「えー? つれないなぁ。もうちょっとこっちにいてもいいでしょ?」
    ウィルは部屋の方へと戻らず、オレのベッドへと腰を掛ける。
    「なんか用あんのか?」
    「用ならあるよ? イチャイチャしたいなぁって」
    ベッドに腰掛けていた状態から、身体全体をベッドへと乗り上げてオレへと近付きながらそう言ってくる。
    「イチャ…? な、そんな雰囲気全くなかったよな?」
    「雰囲気は無かったけど、イチャイチャしたいなぁって思って…、ダメ?」
    コテンと小首を傾げオレの方をじっ、と見ながら訴えてくる。
    「…ダメ、じゃねぇけど」
    ウィルのそのあざとさに弱いオレは見てくる視線を逸らすように、顔を少し背けながらも了承の返事をかえす。

    アイツらとの話題で上がっていたオレのお相手、付き合っているやつは、この目の前の同室のウィルだ。

    「じゃあ、こっち向いて?」
    逸らした視線をこちらに向けさせるように言ってくる。
    「…ん」
    背けた顔をウィルの方に向け視線が合えば、だんだんと顔が近付いてくる。キスするんだな、と思った時に枕元に転がっていたスマホが手に当たり先程見ていた内容を思い出して、反対側の手でおもむろにウィルの口元を押さえて動きを止める。
    「!? ふぁに?」
    口元を手で押さえているからくぐもった声が聞こえる。押さえていた手をウィルがそっと掴んで降ろす。
    「…キスしちゃダメ?」
    突然止められた事に少し不満そうな表情を見せながらウィルはオレに問いかける。
    「あ、いや、ダメじゃ、そうじゃなくて」
    「じゃあ、してもいいよね?」
    「今日は! えっと…今日は、オレからお前にキスしたい」
    と、また顔が近付きお互いの唇が触れそうになる直前にそう伝える。
    「え? アキラから…?」
    ウィルは至近距離にある顔を少し離しながらオレの名前を呼ぶ。
    「うん…。オレからはイヤか?」
    「イヤじゃないよ、だってアキラからしてくれることほとんどないし」
    フルフルと頭を左右に振ってウィルは答える。
    「じゃあ、アキラからしてもらおうかな?」
    と、そう言えばウィルは目を閉じてオレからの口付けを待つ。

    待たれてしまうと多少気恥しい感じがするけど、意を決してウィルの両肩にオレの手を置いて距離を詰める。
    最初に触れるのは少しくせっ毛のあるフワフワとした髪へと唇を寄せて触れる。
    次にすっと伸びた形の良い鼻先へと軽く触れる。
    「ふふ、くすぐったい。口にはしてくれないの?」
    鼻先に触れた唇が擽ったかったのだろう。クスクスと笑いながら閉じていた目を開けてオレの方を見る。
    「…いいから、黙ってオレにちゅーされてろ」
    そう言って目を閉じさせるように今度は瞼へと口付けを落とす。
    そこから次は頬に触れて、どうしようかと悩むもほんの一瞬、掠るように耳にも触れて、最後にウィルの唇にオレのを重ねて口付け、それからそっと離れる。

    お互いの唇が離れるとウィルは閉じていた目を開ける。
    「…色んなところにキスしてくれたけど、どうしたの?」
    「別に、ただ色んなとこにしたい気分だったから」
    「そうなの?」
    「そうだよ、イヤだったのか?」
    「イヤなわけないよ。アキラからしてくれるの凄く嬉しいよ」
    オレの腰元にウィルは腕を回し、そのまま引き寄せられて抱きしめられる。ウィルの両肩に置いていた手をオレは首の後ろへと回して抱きつく。
    そのまま身体をベッドへとゆっくりと倒されて、キスよりも先のことするのか、と思っていたところでウィルがぽつりと呟く。
    「キスした場所の意味」
    「へ?」
    「髪へのキスは、“愛おしく思う”」
    そう言って、オレの髪へとウィルは口付ける。
    「鼻へのキスは“大切にしたいと強く思う”」
    「…っ、くすぐった」
    鼻先へとウィルの唇が触れて擽ったさに思わず声が漏れる。
    いやいや、くすぐったいじゃない、何でウィルがそれを知ってるんだ!?
    「ウィル? なんで、それ知って…?」
    ウィルに質問しようとするもさっきオレがした順番通りに次は瞼にキスを落とす。
    「瞼へのキスは“強い憧れ”と頬へのキスは“親愛の情”」
    と呟いてオレの質問には答えない。
    そのまま頬にもウィルの唇は触れる。
    待て待て、次はそのまま行ったら耳で、その意味はと先程スマホで見ていた内容を思い出して若干パニクっていると何故かウィルは耳には触れず、オレの唇にチュと音を立てて軽く触れて、離れた後に唇への口付けの意味を呟いた。
    「唇へのキスは“深い愛情”だよね?」
    「あ、合ってるけど……なんで、お前、知ってるんだ…?」
    色んな箇所にキスをした意味を知られていた事でオレは恥ずかしさに顔を真っ赤にさせながら、再度ウィルへと質問をする。
    「あ〜、えっとね、ここに戻ってくる前にフェイスくんとビリーくんに話し掛けられて」
    「え? あいつらに会ったのか?」
    「うん。その時にお付き合いしてる人居るでしょ? って言われて、それで名前は言ってこなかったんだけど、そのお付き合いしてる人がキスする場所の意味に興味あるみたいだよ、って」
    「あ、あいつら…今度あったら覚えとけよ」
    眉間に皺を寄せてあの二人がウィルにチクッたことを問い質してやろうとボヤく。
    「アキラ…顔が怖いよ。と言うか、あの二人には何も言わない方がいいと思うけどなぁ」
    寄った眉間の皺を伸ばすようにウィルは指でグリグリと押しながら言う。
    「なんでだよ?」
    「アキラが何を言っても二人は堪えないだろうし、多分言い負けちゃうと思うよ?」
    「…うぐぐ」
    フェイスもビリーも確かに、あー言えばこー言うしオレよりも頭も口も回る。勝てない喧嘩は売るもんじゃない。
    「そういう事で二人からその話しを聞いて、こっちに戻ってくる途中に俺も意味を調べたから知ってたんだよ」
    ウィルがなぜキスの場所の意味を知っていたかを答えてもらったものの、内容も既に知られていた事に気付いて恥ずかしさが込み上げる。
    「くっそ〜…知らねぇと思ったからしたのに。それに意味も言ってくるしで、めちゃくちゃ恥ずかしいじゃねーか」
    「そう? 俺はキスの意味を込めてしてくれてるんだなって思って嬉しかったけどな」
    「そーだけど、言葉にされると恥ずかしーんだよ」
    恥ずかしさから顔が熱くなるのが分かって、両手で自分の顔を覆う。
    「アキラ、顔見せて?」
    「いやだ」
    「見せてくれないなら」
    「ひ、あっ」
    ウィルはそう言うとオレの耳へと唇を寄せて口付け、そのあと耳たぶを甘噛みされる。甘噛みされた刺激に思わず高めの声が漏れてしまう。
    「ねぇ、さっき俺の耳にもキスしてくれたよね…?」
    耳元で息を吹き込むようにされながらそう呟かれる。
    「…っん、…した、けど、…あ、なんで、さっきはオレにしてこなかったんだ…?」
    息を吹き込まれてゾクリとした感覚に、また声が漏れてしまうも先程耳だけには口付けが無かった事を不思議に思い、顔を覆っていた手を退けてウィルの方をチラリと見る。
    そうすればオレとウィルの視線が合って、少し意地悪そうな笑みを浮かべる。
    「耳へのキスの意味。アキラに言って貰おうかなって思って、さっきはしなかったんだよ」
    「…っ!?」
    オレにその意味を言わせようと敢えて避けていたと告げられ、オレの顔はまた熱くなって真っ赤に染まる。
    「アキラ、意味を知ってるから耳にもキスしてくれたんだよね? 意味を教えて…?」
    ウィルはオレの耳の形をなぞるように指先で触れてくる。あの時、躊躇ってそのまましなければ良かったと後悔するも、既に後の祭りで。
    「……っ、……耳へのキスは、“性的な誘惑”」
    まさか言わされるとは思っていなかった。余りの恥ずかしさにオレの顔は更に真っ赤になってると思う。
    「正解。…ふふ、耳まで真っ赤になってる」
    「お、お前が言わせるからだろ…っ!」
    指摘されて恥ずかしさに居た堪れなくて、思わず涙目になりながらオレはウィルに嘆く。
    「涙目になっちゃうほど、恥ずかしかったの? アキラ、かわいいなぁ」
    「か、かわいいって言うな!」
    今のオレが反論しても説得力の欠片もないだろう。
    「かわいいからもっと言いたいんだけどなぁ」
    「もう、勘弁してくれ…」
    「ふふ、ごめんね? でも、耳にもキスしてくれたの、そういう意味でのお誘いの意味を込めてくれたんだよね?」
    「……込めた」
    観念して、そのような意味を込めて口付けをしたと告げる。恥ずかしい、めちゃくちゃに恥ずかしい。涙目どころじゃない、泣きそうだ。
    「嬉しいなぁ」
    「…嬉しい?」
    オレは恥ずかしくて泣きそうなのに、ウィルは嬉しそうに笑っている。
    「だって、キスは…たまにはあるけど、そっちの方のお誘いは今までしてくれた事無かったから」
    「…そうだっけ?」
    「うん、ないよ。だから嬉しいなって」
    ほんとに嬉しそうに笑うから思わずオレはこう言ってしまう。
    「た、たまになら、…これからも言ってやらない事もないかな」
    ぶっきらぼうに、視線を合わせると恥ずかしいから、敢えて顔を背け逸らしながらそう告げる。
    「あはは、うん。お誘いしてくれるの楽しみにしてる」
    ウィルはそうオレに返しながら、オレの背けた顔の頬に両手を添えて自分の方へと向かせる。そうしてお互いの視線が合えば、どちらからともなく顔を近付け目を閉じれば唇が重なる。
    しばらく触れて唇が離れるとウィルはオレに聞く。
    「お誘いしてくれたって事で、キスより先の事していい…?」
    「…いいよ」
    オレはもう一度自分からウィルの耳へと口付けを落としてそう答えた。
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