ドーク夫人の秘密「読みながらでいいから聞いてくれ」
ナイル・ドークは酷くなった目の隈を擦りながら、エルヴィンの返事を待たずに語りだした。
「おかしな夢ばかり見る。お前たちが犬だったり、愛らしい幼児だったり。あぁそうだ、ヒイズルみたいな服を着てたりもしたな。そうかと思えば靴に車輪がついた縞々のキテレツな服装をしている。リヴァイに至っては頭に翼が生えたり。妙にリアルなのは広々とした学舎で教鞭を取るお前と、掃除夫らしいリヴァイだ。だが、そこは蠢く死者に満ち……だがな、大工みたいなお前も現れるんだ。もういい加減にしてくれ、寝不足だ。マリーに話すと妙に興奮して手帳に何か書き連ねている」
「いい加減にして欲しいのはこちらだよナイル。お前の夢にリヴァイを勝手に出演させるな。いや、俺も嫌だが」
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