リフレイン・メモリー② ひとりきりで見るには長すぎる夢も、陽気な歌声と一緒なら慰めには充分だ。終わりない道でも歩み続けられる。今は、まだ。
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「アンジョーさぁ、本ッ当に馬鹿でかくなっちまったよなあ」
わざとらしいぼやきが部屋中に響き渡るのと同時に、ぱちん、と弾けながらグラスの中の氷が溶けていった。
目の前の課題に没頭していたアンジョーはその大声にただ驚き、意味を汲み取るところまでには至らなかった。
「わ、びっくりしたあ。……俺が大きい?」
「ガキはあっという間にでかくなるから、どう加減すりゃいいのかわかんねぇって話」
相変わらず捻くれた口調でごちるコーサカの意図が分からず、アンジョーは大きく首を傾げる。
「俺が大きくなったのは、コーサカが美味い飯をいっぱい食わせてくれたからだよ?」
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