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    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

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    甘味。/konpeito

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    本日の800文字チャレンジ
    クロリン/クロウが分校生やっている
    夕暮れに溶ける

    「クロウ、ここにいたのか」
    「んあ?」
     机に突っ伏している頭へ手刀を入れた。のろのろ起き上がり、寝ぼけ眼で見上げてくるクロウをリィンは呆れた顔で眺める。
     放課後、教官室で書類仕事を終えてから校内を巡回している途中、Ⅶ組の教室で見慣れた銀髪を見つけて驚かされた。
    「なんだリィンか」
    「なんだ、じゃないだろう。今何時だと思っているんだ」
     腕を組んで指摘してやれば、ARCUSで時刻を確認したクロウが目を白黒させていた。
    「……アイツら、起こしていかなかったな」
    「あのな。ユウナたちはクラスメイトだが、あくまでクロウが年上だっていうところは忘れてないでくれ。頼むから」
     分かってる分かってると繰り返した彼が背中を伸ばしている。
     突然クロウがリーヴス第二分校へ編入してきてひと月余り、いまだ制服に身を包んだ姿が見慣れない。学生時代は身に付けていたバンダナまで装着して、ますます落ち着かなかった。
    「んで、リィン教官はお仕事終わったのかよ」
    「ああ。お前がぐっすり寝ているあいだにな」
     机を挟んで向こうにいる彼が立ち上がり、かけていた眼鏡を引き抜かれる。目を伏せた瞬間、掠め取るようなキスをされた。
    「こら」
    「いいじゃねえか。お仕事は終わったんだろ。だったら教官の時間も終わり」
     リィンから取り上げた眼鏡をかけ、カラカラ笑っている。なんでも卒なく着こなす彼が憎らしい。
    「教室では、その。こういうのは」
    「なんで」
    「――授業中、思い出してしまいそうだから」
     口籠る姿を楽しげに見つめられ、乾いた唇を舐める。
    「あのなあ。そういうの、なんていうか知ってるか」
     顎を掬い上げられ、眼鏡の奥にある赤がぎらりと光った。
    「逆効果っていうんだよ」
     夕暮れ色に染まった教室にはもう、クロウとリィンしかいない。ふたりの距離はゆっくり近づいていくのだった。
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