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    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

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    甘味。/konpeito

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    本日の800文字チャレンジ
    Ⅰ学院祭前/くっついてないクロリン
    ラストノート

    帝都近郊、トリスタの街に建つトールズ士官学院第三学生寮の一室にて、白熱した議論が繰り広げられていた。
    「確かに見栄えはするかもしれないが、さすがにここまでの露出は」
    「いーや、試しにここのデザインをこう、こうするだろ」
     リィンのベッドに散らばった紙を拾いあげ、同じようなデザインを描いたクロウがさらに袖を描き加えていく。短いスカートはそのままなんだな、とは言い出せない気迫に固唾を呑んで見守った。
    「ほれ、見比べてみな。断然、こっちのデザインのほうがいいだろ」
    「うーん……」
     クロウの言い分は理解したものの、果たしてこれが受け入れられるのか疑問は残る。ステージ上では映えるのは間違いないだろうが、同級生らが着てくれるかはまた別の問題だった。
    「あのな、俺は腹出しからヘソチラまで譲歩してやったんだ。ここの露出は絶対に譲れねえ。それに作っちまえばこっちのもんだ」
    「いや、それは」
     遮るようなノックの音で同時に扉を見やった。返事をすればエリオットだったので、辺りに散乱する紙をかき集めてから扉をあける。
    「リィン、クロウもここにいたんだね。そろそろ夕食だから降りてきなよ」
    「わざわざ呼びに来てくれたのか。ありがとう」
     紙を自室に置いてから行くというクロウと一旦別れ、エリオットとともに下の階へ降りたのだった。
    「あれ、紙が残ってる。夜も遅いし、クロウに渡すのは明日でいいか」
     夕食後の予習復習を終えると、ベッドのうえに紙が一枚、残っているのを見つけた。拾いあげるとやはりデザイン案の一部だ。
     紙を眺めながらベッドに寝転がる。
    「ん……?」
     すん、と鼻を鳴らすと嗅ぎ慣れない香りがした。どこか甘いような、爽やかさもあるそれは夏を連想させる。
    「これ、もしかしてクロウの」
     寝返りを打ち、放課後ずっとリィンのベッドを占拠していた男の名前を舌に乗せる。隣にいるだけでは知らなかった香りのするベッドで、寝付けない夜を過ごすのだった。
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    recommended works

    さらさ

    MOURNING『瞳の交換』

    Q.何日遅れましたか?
    A.三日です(大遅刻)
    バレンタインデーの続編のつもりで書いたクロリン。ホワイトデーの昼から夜にかけた二人の話。
    「よっす、トワ。リィンいるか?」

     三月十四日、世間ではホワイトデーと呼ばれる日。バレンタインデーのお返しをする日と言われる今日は、当然のごとくクロウは先月から晴れてお付き合いを始めた恋人の所に顔を出す――つもりでいた。しかし、尋ね人はどうやら不在らしく。

    「今日は自由行動日だし買いたいものがあるからって、帝都に行ったみたいだよ。珍しいよねぇ」

    トワの言葉にクロウは同意する。何せ、自由行動日ともなれば率先して依頼を引き受けては忙しなく動く性分なのだから。だからこそ、これは珍しい。

    「今日はホワイトデーだし、クロウ君が来るのは予想してると思うけど……。先月の事、まだ気にしてるのかなぁ?」
    「ああ、あの赤飯事件な……」

    東方に伝わるという不思議な風習に倣って、勘のいい生徒の一部が赤飯を炊いた事件があった。勿論、ある程度東方由来の文化に通じている当事者がその意味を知らない筈もなく。その場で倒れてしまい大騒ぎになってしまった。分校中に広まってしまったそれは彼にとっては勿論羞恥以外何もなく。主導者が彼の教え子だった事もあり、新Ⅶ組を中心にその話題は御法度となった。ただ、そうなる前にクロ 3650

    さらさ

    DONEエア小話 リクエストが指定なしとの事だったので
    「何かで互いに対して不機嫌そうにしてるクロリンが戦闘でも息ピッタリな話」
    です。リクエストありがとうございました。
    「……なんか、今日のクロウ機嫌悪くない?」
    「心なしか、リィンさんの機嫌も悪いような気がしますね」

     真・夢幻回廊、第五階層。最前線で戦うクロウとリィンを遠目に、後方支援役のエマとエリオットはそんな話をしていた。いつもだったらベタベタと言っていい程に距離が近いのが、二人ではありえないほどの常識的な距離だったし先程から二人で一度もリンクを繋いでいないのだ。一体何があったというのか、二人の様子を観察するにしても普段は砂糖を吐きたくなるほどドロドロに甘く見ていられないというのが新旧Ⅶ組どころか特務支援課他遊撃士等々の面子が出した結論だった。下手をしたら馬に蹴られかねない。そんな甘さを微塵も感じさせないまま、次から次へと魔獣を伸していく二人には最早感心せざるを得なかった。

    「なんというか、喧嘩したのか?」
    「それはあり得るかもしれないわね。でも……」

    サブメンバーとしてついてきているガイウスとエステルの視線は少し離れたところで戦闘を仕掛ける二人に向けられる。リンクはエマがリィンと繋ぎ、クロウはエリオットと繋いでいる。ダメージを受けることなく終わらせてしまうので、あまり意味がないのだが。
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    さらさ

    SPUR ME12月12日に出す予定の展示品を尻叩きとサンプルを兼ねて一章丸々アップ。こんな感じのクロリンの話が五感分連続していく感じです。シリアスが続きますがハピエン(にしてみせる!)

    ちなみにタイトルは全て「五感に関する部位のことわざ」を当てはめています。変わるかも。
    医者と味噌は古いほどよい リィンは《黒の工房》から救出されて以来、違和感に気付いた。《巨イナル黄昏》より前に感じ取れていた味が、分からなくなっていたのだ。一か月近く食事をしていなかったこともあり気付かなかったが、しばらく食べているうちにようやくその違和感に辿り着いた。原因は分からないが、相克に向かうこの状況で他の心配事を出来ればリィンは作りたくなかった。だから、黙っている事にした。――目に見えて減っている食事量を前に、既に全員が気が付いているだなんて思わないまま。

    「そういうワケでクロウ、よろしく」
    「いや待て、どうしてそうなる」

    セリーヌとデュバリィに足止めさせて始まる新旧Ⅶ組大会議。答えは出ているも同然だったが、それでも認識の擦り合わせが必要だと集まったのだが。驚く程分かりやすいリィンの事だ、擦り合わせる間でもなかったが。それが分かれば押し付ける先は一つしかない。フィーの直球な言葉にクロウは予想もしていなかった為狼狽えた。リィンは無自覚ではあるが彼に甘える。そしてクロウは彼が甘えてくる自覚はあれど甘えさせているという自覚はなかった。何も自分に持ってくることはないだろうに、それがクロウの言い分だがそれに呆れている様子もまた感じ取っている事もあって困っている。
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