Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 115

    甘味。/konpeito

    ☆quiet follow

    本日の800文字チャレンジ
    Ⅰ学院祭前/くっついてないクロリン
    ラストノート

    帝都近郊、トリスタの街に建つトールズ士官学院第三学生寮の一室にて、白熱した議論が繰り広げられていた。
    「確かに見栄えはするかもしれないが、さすがにここまでの露出は」
    「いーや、試しにここのデザインをこう、こうするだろ」
     リィンのベッドに散らばった紙を拾いあげ、同じようなデザインを描いたクロウがさらに袖を描き加えていく。短いスカートはそのままなんだな、とは言い出せない気迫に固唾を呑んで見守った。
    「ほれ、見比べてみな。断然、こっちのデザインのほうがいいだろ」
    「うーん……」
     クロウの言い分は理解したものの、果たしてこれが受け入れられるのか疑問は残る。ステージ上では映えるのは間違いないだろうが、同級生らが着てくれるかはまた別の問題だった。
    「あのな、俺は腹出しからヘソチラまで譲歩してやったんだ。ここの露出は絶対に譲れねえ。それに作っちまえばこっちのもんだ」
    「いや、それは」
     遮るようなノックの音で同時に扉を見やった。返事をすればエリオットだったので、辺りに散乱する紙をかき集めてから扉をあける。
    「リィン、クロウもここにいたんだね。そろそろ夕食だから降りてきなよ」
    「わざわざ呼びに来てくれたのか。ありがとう」
     紙を自室に置いてから行くというクロウと一旦別れ、エリオットとともに下の階へ降りたのだった。
    「あれ、紙が残ってる。夜も遅いし、クロウに渡すのは明日でいいか」
     夕食後の予習復習を終えると、ベッドのうえに紙が一枚、残っているのを見つけた。拾いあげるとやはりデザイン案の一部だ。
     紙を眺めながらベッドに寝転がる。
    「ん……?」
     すん、と鼻を鳴らすと嗅ぎ慣れない香りがした。どこか甘いような、爽やかさもあるそれは夏を連想させる。
    「これ、もしかしてクロウの」
     寝返りを打ち、放課後ずっとリィンのベッドを占拠していた男の名前を舌に乗せる。隣にいるだけでは知らなかった香りのするベッドで、寝付けない夜を過ごすのだった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💞🍋❤❤❤❤❤
    Let's send reactions!
    Replies from the creator