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    甘味。/konpeito

    800文字チャレンジだったりssを投げる場所

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    本日の800文字チャレンジ
    クロリン/創、夢幻回廊にて
    ねこねこerror

    ――空間移送の際に異常を感知しました。
     意識が浮上する直前、抑揚のない音が流れてくる。目蓋をあげれば創まりの円庭が広がっていた。
    「つまり、ここへ連れてくるときに起こった異常とやらのせいでみんなに猫の耳と尻尾が生えちゃったってこと?」
     エステルが地毛とよく似た色の、自身の頭頂部を占拠する猫耳をつつく。ロイドは目を閉じて同様に生えた猫耳が動かせるのか試しているようだった。リィンの頭の上にも黒い猫耳がついている。ゆったり揺れる黒い尾が視界の端をよぎった。
    「ああ。戻るときには影響しないそうだ」
     それなら問題ないわね、と笑ったエステルは仲間と階層へ向かい、苦い顔で笑ったロイドも支援課の面々とともに星霊樹の方角へ去っていくのを見送る。
    「ということで、今回はこのまま訓練に出ようと思う」
     Ⅶ組の生徒らのところへ話し合いの結果を持ち帰ったリィンは、生徒を引き連れ千年宝庫で装備を整えていた。
    「あの人も行くんですか」
     アルティナの指差す先には、石盤の前でクロチルダたちと談笑しているクロウがいた。彼にも銀色の猫耳がついていて、その光景についつい眦が下がる。
    「強敵の出る階層を攻略するからクロウがいてくれたら助かるとは思うが、どうしてだ?」
    「教官の耳が、ずっとあの人のほうを向いているので」
     指摘され、はたと目を瞬く。猫耳へ意識を向ければ確かにクロウのいる方角の音を拾おうとしていた。じわじわ頬に熱が集まり、手の甲で冷ますように隠す。
    「いや、クロウも忙しそうだから声をかけるのはやめておこう」
    「そう遠慮なさらずに。誘いに行きましょうよ教官」
     楽しげに耳をぴるぴる震わせたミュゼに腕を取られ、アルティナらにも背を押されて彼の前へ連れてこられてしまった。話を中座したクロウが向き合ってくれている。
    「どうしたリィン」
    「その、だな」
     言い淀み視線をさまよわせると、耳と同じ毛色の尻尾がゆらゆら揺れているのを見つけた。それに励まされる形で自身の尾を握ったリィンは、階層攻略のお誘いをするのだった。
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