ラストシガレット 歩道橋の上で呪詛師に刺され昏倒した事は覚えている。
どこかの簡易であろう硬いベッドの上で目覚めて最初に思ったのは複数回刺されてなお生きている事より真っ先に連絡網の確保だった。帳内と帳外、なんとしても連絡手段を確立しなければいけない。
今いったい何時なのか、私が倒れてからどれ程経ちどうなっているのか確認しなければ、そう思いベッドから降りれば少しふらついた。
ベッド脇に置かれた黒い塊を手に取れば四つ穴のあいたボロボロのジャケットだった、血を吸って重くなったそれと一緒に赤黒く染まったシャツもある。外に出ようにも上半身裸で包帯を巻いた状態では憚られ、どうしたものかと考えていたら足音が聞こえてきた。
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