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    SKR_Hajime12

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    SKR_Hajime12

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    ふぉろわさん誕生日で書かせていただいた話!
    五愛され風味。

    ご都合術式で小さくなった先生で一年ズが楽しむ話「五条先生が被呪したぁ⁉︎」
     とある昼過ぎ。高専で授業を受けていた虎杖・伏黒・釘崎の元に届いたニュースは驚愕のものだった。補助監督であり、五条と共に現地にいたという伊地知がおろおろしながら説明を続ける。傍らに五条の姿はなく、青褪めた伊地知の様子に一年全員に緊張が走る。
    「五条先生は無事なの?」
    「ご無事、です。命に関わるようなことは何も」
     その言葉に、一先ず胸を撫で下ろす。しかし、あの五条が被呪とは。命に別条はないとはいえ、一体どんな影響があったのか。疑問をそのまま、伏黒が口を開く。
    「被呪って…、つまりどんな影響が?」
    「あの、何と言いますか…」
    「見た方が早いんじゃない?」
     突然、その場にいなかったはずの五条の声が響く。が、依然としてその姿は見当たらない。どこに、辺りをきょろきょろと見渡すと、焦った伊地知が自身の胸元を見ていることに気付く。そこに視線を動かすと。
    「やっほ〜皆!いやぁミスっちゃった!」
    「……、は?」
     ちょこん。そんな効果音が似合いそうな。伊地知のスーツの胸ポケットから手の平ほどのサイズの──心なしかデフォルメされているような──五条が顔を出し、ひらひらと手を振っていた。
     
       □■□■□

    「アンタ何やってんだ………」
     伏黒が溜め息をつきながら言う。話を聞いたところによると、呪霊を祓い切る前に、苦し紛れに放った術式が直撃。気がつけばアリスの世界、つまり周りのものが大きく見え──自分が縮んでいることに気付いたそうだ。
    「よくわかんない術式だったからさ〜しっかり見てみようと思って集中しすぎたみたい」
     当の本人はテーブルの上、サクサクとクッキーを食べている。その身に余る大きいクッキーを抱え、(物理的に)小さい口を開いて齧り付き、「いや〜この姿だとお菓子お腹いっぱい食べれていいね!」などと宣っている。大変呑気だ。見た目が大変メルヘンで可愛らしいだけに、伏黒はこめかみを抑え、釘崎は冷たい目で五条を見つめる。虎杖は小さい五条が新鮮なのか目をキラキラとさせていた。
    「先生ほんとちっさい!肌もちもち!」
    「ちょっと悠仁…んむっ」
     もちもち。
     もちもちもちもち。
     頬を両側から指で挟み、何とも言えない弾力を堪能する。普段自由に触らせてもらえないからか、つい本能の赴くままにもちもちしていると。
     ぺっ、と手を叩かれる。そして、虎杖をじとりと睨む五条。
    「しつこい」
    「ハイスミマセン!」
     まるで構い倒した後の猫だ。これ以上しつこくすると二度と触らせてもらえないかもしれない。虎杖はそう判断し、勢いよく頭を下げた。
    「で、何着てんのよそれ」
    「裸って訳にも行かないからねー、そこら辺のガチャで見つけたから伊地知に引かせた」
    「よく見つけたな…」
     服までは一緒に縮まなかったらしい五条はシャツを一枚着ていた。シャツには「語彙力」と書かれている。もう少しましなデザインはなかったのだろうか。
     ここで「あの…」と、自由な五条に振り回されっ放しの伊地知が口を開く。そういえば、伊地知が五条をここに連れてきた理由を聞いていなかった。
    「皆さんにお願いしたいことがありまして」
    「簡単に言うと僕のこと守ってほしいんだよね!」
    「ええ?」
     説明によると、この姿は一時的なもので、時間経過、数日で元に戻る。ただ、身体のサイズが変わったことで呪力の流れが変わり、一時的に術式が使用できない状況にある、ということだった。
    「まじでアンタ何やってんだ‼︎」
    「先生が術式使えないって結構ピンチじゃん‼︎」
    「そう、ピンチなんだよね〜だから守って⭐︎」
     きゅるん、そんな効果音がつきそうな顔。この教師、一切反省していない。外にこの情報が漏れればどうなってしまうか。事態の深刻さと目の前の現状のギャップに、伏黒は頭痛がしてきた。
    「………玉犬に喰わせるか、満象に踏ませるか、鵺でどっかに飛ばすかするか」
    「恵なんでそんなに殺意高いの?」
    「アンタが碌でもないからだよ」
     苛立ちを露わにした伏黒が低い声で答える。呆れを隠そうともしない釘崎はあのねぇ、と思っていたことを提案した。
    「硝子さんトコ行けば良いじゃない」
    「野薔薇ぁ、タダで済むと思う?」
     カエルみたいに解剖されるのがオチだよ。そう言って肩を落とす元最強の男。三人は常に隈のできた彼女を思い浮かべ、実際にやりかねないな、と納得した。
      
       □■□■□
     
     よろしくお願いします、と次の任務があるらしい伊地知が出ていき、教室には三人と小人一人が残された。守るとはいえ、ここは高専の結界の中。やれることなど限られている。守るというよりも、不便であろう五条の手伝い兼お目付役といったところだろう。
    「っても、これからどうしようか先生」
    「んー…とりあえず服が欲しいな!」
    「確かにずっとその服なのもあれよね」
    「…学長なら作れないかな…」
    「残念、学長は出張中」
     呪骸製作に慣れた夜蛾は出払っているらしい。三人が作れるはずもなく、となると作るという選択肢は皆無に等しかった。
    「じゃあ買いに行く?」
    「どこで買うんだよ、リ○ちゃんシリーズだとサイズ合わねぇだろ」
     現在の五条のサイズだからシャツ一枚でも問題ないものの、すらりと白い脚、小さな足が晒されている。少し無防備すぎやしないだろうか。何でも良いので、もう少しまともな服を着てほしいものである。
    「う〜ん…探せばありそうなんだけどな…」
    「こことかありそうじゃない?」
     釘崎がぐいとスマホを突き出す。覗き込むと、ドール専門のショップのホームページが表示されていた。
    「おお!さっすが釘崎!」
    「さっき伏黒が○カちゃんって言ったから思いついただけよ」
    「でも通販じゃ流石に時間かかるだろ」
    「じゃあ店舗まで行く?」
    「「…………」」
     沈黙。流石に実際に踏み込む店としてはハードルが高い。しかし作るといった手段ができない以上、結論としては行くしかないのだった。
     やはりここは公平に。す、それぞれ三人の手が差し出される。
    「んじゃ、やりますか。ジャーン、ケーン、」
     ポン。……と、言うわけで。
    「買ってきたよ先生!」
    「お〜!ありがとね悠仁、恵!」
    「二度と行かねぇ…」 
     ジャンケンで負けた虎杖と伏黒(本来は伏黒一人負けだったが、一人は嫌だと言い張り結局虎杖が同行した)は、以前散々な目に遭った秋葉原へ再び繰り出し、現在の五条サイズの服をいくつか買ってきた。何でもあるのだ、アキバには。
    「先生どれ着たい?おすすめはセーラー服」
    「待って?」
    「なんでラインナップがこれなのよ」
    「だって女の子向けの服しかねーんだもん」
    「買ってきただけありがたいと思ってください」
     虎杖がパステルグリーンの袋から取り出したのは、メイド服、セーラー服、アリス服、白無垢。見事に女性物の服ばかり。一つ一つがなかなかのお値段だったが、呪術師は高給取りだ。棚にあったもの全て買ってきた。
    「先生どれが良い?」
    「アラサーにはラインナップがキツいと思わない?僕なら似合うだろうけど」
    「先生のそういうとこ好きだよ」
     ふふん、得意げな五条。とりあえず端から着てみるね〜と立てた本の陰に引っ込んでいった。
     
       □■□■□
     
    「じゃーん!どうよ!」
    「おお…!」
     まずはアリス服。水色のワンピースに、白いエプロン。ワンピースからはドロワーズが覗き、足元にはボーダーの靴下。頭には大きめの黒いリボンのカチューシャがついている。
     サイズ感もあり、童話の姿そのものに見えてきた。堂々と着こなすあたり、流石五条悟である。
    「先生可愛い!」
    「あら悔しいけど可愛いじゃない、悔しいけど」
    「二回言わないで野薔薇。似合ってるのはわかってるけど!」
    「なんか先生の配色的に合いますね」
     服と同様、目隠しも縮まなかった五条はその青い瞳を晒している。白と青の配色が、アリスの服に妙に馴染んでいた。
     
    「次、これ着てみなさいよ」
    「あれ釘崎なんか乗り気?」
    「着せ替え人形にするの楽しくなってきたわ」
    「完全に僕で遊ぶ気じゃん」
     次に選んだのはメイド服。アリス服と構造は似ているが、黒と白を基調としただけで雰囲気がぐっと変わる。頭にはヘッドドレスがついていた。
    「先生ちょっと定番のやつお願いしゃす!」
    「おかえりなさいませご主人様♡」
    「あざとい。減点」
    「もう少し躊躇ってください」
    「野薔薇と恵厳しくない?」
     メイドさん写真お願いしまーす、と虎杖が向けたスマホには手でハートを作る。さらにばちりとウィンクを決めた五条に、この人何歳だったかなと伏黒は考え、それから一切の思考を放棄した。考えるだけ無駄である。
     
    「はい悠仁いち推しのセーラー服」
    「百点満点」
     今度は、黒の長袖のセーラー服に黒のソックス。虎杖はどこから取り出したのか「100」と書かれた札を掲げている。
    「先生…折角だから『先輩』って呼んでくれない…?」
    「んー?…、悠仁、先輩?」
     先輩呼びに慣れていないのか、こてりと首を傾げ少し躊躇いがちに呼ばれる。先程のメイド服では一切の恥じらいがなかったのに、何故ここで。
    「ちょっと、虎杖だけ?」
    「え。うーんと、……野薔薇先輩、恵先輩……」
    「……、悪くないわね」
    「………だな」
     うんうんと頷く釘崎と伏黒。揶揄われないことが逆に恥ずかしいらしく、次着替えるから!と五条は隠れてしまった。
     
    「これは………」
    「伏黒気に入ったっぽい」
    「恵確かに好きそう」
    「流石むっつり野郎ね」
    「関係ねぇだろ!あとむっつりじゃねぇ!」
     最後は白無垢を纏う五条。白をメインに、差し色に赤。今までの洋服とは違い、物静かな雰囲気を醸し出している。
    「これ和服だし割と落ち着くけど、ちょっと動きづらいんだよね」
    「生地厚そうだもんな〜でも似合ってんよ先生。元に戻ったときもっかい着てみない?」
    「なんでそうなるの悠仁」
    「綺麗な先生が着たら絶対似合うじゃん、見てみたい」
    「…………」
    「………虎杖」
    「そういうとこだぞ……」
     顔を赤くして黙り込んでしまった五条。よくわかっていない虎杖が追撃しないよう、伏黒がぽんと肩に手を置いた。…心の中にこっそり百点の札を立てながら。
       
       □■□■□
     
    「……任務より疲れた……」  
    「で、先生どれが良かった?」
    「ええー、ずっとって言われると悩むなぁ…」
     計四着の服を着替え、流石の五条も疲れたらしい。虎杖が服と共に買ってきていたおもちゃのソファにぐたりと倒れ込んでいる。
    「……なんか楽しかったし、明日別の店行って新しい服買いましょ。探せば色んな服あるでしょ」
    「「了解」」
    「まだやんの…⁈」
     五条を着せ替え人形にすることにはまったらしい三人が意気投合している。術式を使えない、逃げる術を失った五条は数日間、三人に散々着替えさせられ、可愛がられたのであった。

    【おわり】
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