許さん話(マシュレイ)「レインくんごめんなさい……」
「許さん」
5秒と待たすにドスの効いた低い声が返ってきた。僕達が初めて出会った時に、詫びさせてくれと丁寧に謝ってくれたレイン君に思わず、「許さぬ」と言ってしまった時を思い出してしまい、ちょっと懐かしい気持ちになった。
僕が色々と、ほんっとに色々とやらかしてしまった時、レイン君は大抵「はぁ」と深いため息を付くか、「やり過ぎだ」と呆れたように返してくれるのに、今日はもう、どうにもこうにも容赦がない。でもまあ、レイン君が怒るのも無理もない。
部屋のすみっこには無造作に投げられたシーツと、雑に脱ぎ捨てられた洋服。幸い今回はレイン君のシャツを破らなくて済んだみたいで、そこはちょっとホッとした。
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