かわいいあの子は小悪魔通り越してるね〇夢主
アニカちゃん:アムリリス様と母親が同期のひと。アリスくんとは小さい頃から知り合い。アリスくんが好きな女が好きではない。入間くんも最初は好きじゃなかったけど最近ほだされた。ご都合だとアブノーマルクラスに入れたくなるけどアブノーマルクラスは13人だからいいんだ!!!!!という私がいるので何組かはふわふわしている
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①わざとです、ええ
「おっはよー! アニカちん」
どーん! と横からものすごい体当たりが飛んできた。緑の塊。勢いのまま、ふらっと一歩後退る。尻尾でバランスをとろうと伸ばしかけたところで、背中が何かにぶつかった。
「ウァラク!」
「アズアズもおっはよ~う」
私の腰に抱き着いているのは、やっぱりクララちゃん。で、上から降ってくる声からして、背中にいるのは。
「怪我はないか? アニカ。お前はすぐ転ぶからな……」
「ないない~! 受け止めてくれてありがとう、アリスくん」
ここぞとばかりに背中に体重を乗せる。制服越しに体温……は分からないけれど、私の肩を支えるアリスくんの手に、それだけで胸が高鳴る。
「アニカ、大丈夫?」
「入間様!」
心配はうれしいけど、タイミングが悪い、入間くん。アリスくんはぱっと私をまっすぐ立たせると手を離して、入間くんの方へ駆け寄ってしまう。ちょっとそれが面白くなくて、「大丈夫だよお」と返す声はちょっと暗くなってしまった。上目遣いのクララちゃんが申し訳なさそうに抱きしめてくるから、あわてて抱きしめ返す。クララちゃんのせいじゃない。むしろクララちゃんにはお礼を言いたいくらいだ。
「全く、お前は入間様にも心配をおかけして……そんな靴を履いているからよく転ぶんだぞ」
「え~? だってかわいいじゃない?」
足元を見下ろす。いつもと同じ、厚底五センチにヒールつきのロングブーツだ。地面というより靴の上を歩いてるようなシロモノ……っていうのはジャズくんの評。慣れちゃったから、そこまで違和感はないんだけど。
「全く、毎度受け止める私の身にもなれ!」
「アリスくんなら受け止めてくれるって思ってるから履けるんだよ」
というか、アリスくんが受け止めてくれるから履いてる靴、なんだけどね。本音はそっと胸にしまって、ほらほら、とみんなに声をかける。
「ね、早く教室行かないと遅刻しちゃうよ!」
「わあ、ほんとだ! 急がなきゃ!」
「いえーい! 競争!」
ぱっと駆けだすクララちゃん、に手を引かれて走り出す。厚底ヒールの全力疾走。もちろんだけど、転んだりしない。ほんとのところは、クララちゃんの体当たりごときでは、よろめく私ではないのだ。
「アリスくん」
「何だ?」
入間くんの後ろを並んで走りながら、私は世界で一番大好きな悪魔ににっこり笑いかけた。
「助けてくれて、ありがと」
②女子会(飽きたので途中で終わる 上滑りしたやりとりなので好きかと言われると好きではないけど、なんでこの子はアズくんのことが好きで好かれてるのかわかないなと思って書いた話 書いても分からなかった。原作恋バナ回軸)
「恋バナ……とい・え・ば、アニカちゃんよね!」
エリザベッタちゃんがぐぐいと身を乗り出してくる。クララちゃんの目もきらきらしているし、もちろんアメリおねえさまも、ケロリちゃんも、揃って私をじっと見ている。
「アニカちゃん、アズアズのこと大好きだもんね!」
「あは、ばれてた?」
「か、隠す気があるようには見えなかったんだけど……他の女の子とアスモデウスくんが一緒にいるとき、いつもどこからともなく現れたりとか」
「ケロリちゃん目ざとい!」
日夜恋敵避けをしている私である。放っておいてもかっこいいアリスくんはめちゃくちゃモテてしまうので、私は気が気ではないのだ。
「お前、普段からそんなことを……小さい頃はずっとアスモデウスにべったりだったが」
思いだしたのか、アメリおねえさまが眉を下げて笑う。うんうん、小さい頃の私は、自分でもドン引きするくらいアリスくんに張り付いていた。
「アスモデウスくんとは幼馴染なのよね? それで、いつから好きなの?」
「え~! エリザベッタちゃん、難しいこと聞くなあ。いつから、いつからかあ」
私の母とアリスくんのお母様は、バビルス時代の同級生にして大親友。それで、臨月まで近いとなれば、二人はそれはもう仲を深めた。赤ちゃん悪魔のころから顔見知りだし、小さい頃は親二人がおしゃべりしている横で、よく一緒に遊んでいた。
「うーん……アリスくんはね、昔からすごく礼儀正しかったの。いつも王子様みたいだった」
「それはちょっと、わかるかも……」
「でしょ? それでね、なんでも一人で出来ちゃうから、ほんとは私が一緒にいなくても、アリスくんは一人でいいのね」
だからちょっと、入間くんと一緒で楽しそうなのは羨ましかったりするんだけど。
「だけど、でも、私が後ろで転んでたり、困ってたりするとね、ちゃんと振り返って、手を引いてくれたの。だから、気が付いたら、好きになっちゃってたんだ」
ふにゃ、とつい口許が崩れてしまう。頬を押さえて持ち上げて、私は俯いた。ここまで喋るつもりじゃなかったのに! 今日の私めっちゃ喋るな。恥ずかしさでぱやぱやしていると、急にクララちゃんの腕が伸びてきて、私をぎゅうと抱きしめた。
「アニカちゃん、アズアズのことだーいすきなんだね!」
「うん! そう! えへへ」