おまけSS※夢主の性格が安定してないし、こんなにすきすき感ある子になるかは未定
※サルベージして短編の形にするとか長編にぶっこむとかする可能性はある
○寒い夜について
「ほんとのリトの羽毛布団だ……」
「あんまりくっつかれると寝にくいんだけど。それ以上締め上げるならベッドから叩き出すよ」
「ごめんごめん。でも本当にあったかくて……これくらいなら平気?」
「ん。痺れるからそこに頭を置かないでくれるかい? もう少しこっち……って、うわっ、なんだ、氷を抱いて寝てるのかい?」
「ごめんそれ私の足……」
「ハイリア人の足ってこんなに冷たいの」
「冷え性なもので」
「ハア……仕方ないな。もうちょっと寄ってもいいよ」
○リンクってもてるよね
「ねえ。もしかして、リンクって、ハイリア人だと男前の部類に入るんじゃないだろうね」
「急にどうしたの? 端正な顔立ちだとは思うよ、なんていうか、すごい美形じゃないんだけど……オーラっていうか、ときどきパッと目を惹くところがあって」
「ふーん……」
「だから急にどうしたの? えっと、リーバルも負けてないよ!」
「うるさいな、わかってるよそんなこと。あんな無口で反応も鈍い奴なのに、よくもまああちこちで引っ掛けてくるものだと思っただけ。あいつの何がいいんだか」
「そうだねえ、確かにあれで親切で明るかったら向かうところ敵なしだと思うけど、クールに見えてなんだかんだ優しいからねえ。意外と冗談も言うし、そういうギャップに女の子は弱いんだよ」
「やけに語るじゃないか。君も弱いの、そのギャップってやつ。ずいぶん奴のことを買ってるみたいだけど」
「そうだねえ、リンクはかっこいいと思うよ」
「あっそう」
「でも私はリーバル派かな」
「ふーん…………」
(ちょっとうれしそうだ……)
後日 リンクと
「親切で明るかったら言うこと無しだけど、口が悪くても行動は優しいし、意外と冗談も好きだしね。私もリーバルのそういうギャップ好きだよ……てからかったら流石に怒られるかなと思って」
「それは怒る」
○全部全部、君のせい
「こんなことになったのは、君が、悪いんだからね」
紅色の瞼をきっと持ち上げて、リーバルはピーナを睨んだ。鋭い眼光に射すくめられて、ピーナは頬を赤らめたまま、そわそわと視線を彷徨わせた。うん、と頷いて俯くと、しおらしく小さくなる。
「……返す言葉もございません」
二人の並ぶ洞窟の外では、風が唸り声をあげ、氷の礫があらゆるものを殴りつける音が響いている。遭難、の二文字を頭に浮かべ、ピーナは唇を噛んだ。切り裂くような寒さで頬も耳も痛む。しかしそれ以上に、情けなさで頭が痛かった。
「本当にごめん」
○好きな食べもの
「わあ! 揚げバナナだ! いいの、もらって! ありがとう!」
「余りものだけどね。僕も食べるんだから、そう一気に器からとらないでくれる」
「あ、ごめん……ねえ、そういえば、リーバルってわりと木の実やフルーツも好きだよね。あとは、マックスサーモンもよく食べてる」
「急にどうしたの? 貢物なら間に合ってるけど」
「残念なお知らせだけど、私にそんな懐の余裕はないよ」
「そういう問題?」
「え? リト族は、好きな人に食べ物を贈るって聞いたけど……」
「中途半端な知識を仕入れてきたものだね。それは男の方が意中の女性にするアピールだよ。君は僕のことが好きで仕方ないみたいだけど、わざわざそういう形での表明をする必要はないってわけ」
「へえ、そうなんだ。まあそれはさておき」
「さておくのかい」
「今はね。だって、姫様からリーバルの好みを聞いておいてくれって頼まれてるから、急ぎなの。次のインパ様宛の手紙に書くから。今夜には出さないと」
「はあ、なるほどね。英傑向けのもてなしってわけだ。じゃあ、マックスサーモンって伝えておいて」
「わかった。他はいい?」
「別にご馳走を食べに城に行くわけじゃないしね。足りないなら、君の好きな食べ物でも書いておけば? 揚げバナナとか」
「そんなのお城でお願いできないよ、家庭のおやつだもん」
「姫は珍しがるんじゃないの」
「確かに……? じゃあ揚げバナナ、と……ふう、この揚げバナナも本当に美味しい。よく余りが出たね! うちだとあっという間になくなっちゃうのに」
「どうせ君が全部食べるからだろう」
「ご明察」
「想像もつくよ、これもどうせ全部食べるんだろうと思って大量に作って──ッ、なんでもない」
「……」
「……」
「……作って?」
「…………」
「リーバル」
「なんだい」
「おいしいよ、ありがとう」
「そう、それはどういたしまして」