幼馴染じゃなくてよかった 爆豪が緑谷にいつものように小言を言っているのを見て轟はふとつぶやく。
「お前と幼馴染じゃなくてよかった」
緑谷はその何気ない轟の一言に少し傷ついた。
「いや、うん、まあ僕みたいなのが幼馴染だといろいろ困るよね・・・」
「そうだわ! 分かってんだったら改めろクソカス!!!」
「そうじゃねぇ」
轟は呼吸をして、またゆっくりとはなす。
「高校で、お前らに会えてよかったってことだ」
「は?」
「もし俺がお前らと幼馴染だったら、俺は緑谷とは仲良くできなくて、爆豪と一緒に緑谷の事虐めてたかもしれねぇ、そのまま高校生になって、たぶん謝れないまま卒業すると思う、俺は、爆豪みたいにうまくできるか分からない。爆豪はすごい」
「・・・お前に限ってそれはねぇだろ、つかなんで俺とは仲良くできる前提で話とんだアホか」
「そうだ、爆豪とはたぶん仲良くできる、だから付き合いで緑谷のこと虐めるかもしれない」
「ツレに付き合いで虐めさせたことなんかねえわ、お前俺を何だと思ってんだ・・・」
「だからよかった、緑谷と爆豪と、高校で会って、仲良くなれてよかった」
シカトしてんじゃねえと吠える爆豪を放置して優しくそうつぶやく轟が緑谷少し寂しそうに見えた。
「僕も轟君と雄英で会えてよかった! もし君と幼馴染だったら、そもそも幼馴染だとしても接点がなかったかも。」
「お、そうだな。たしかに学校のやつと遊んだ記憶ねえ」
「じゃあ付き合いで人虐めたりしねぇじゃねぇか」
「そうか・・・お」
緑谷と爆豪を交互に見て轟は何か気付いたように立ち上がる。
「どうしたの轟君」
「いや、お前らの対角線上に座ったらオセロみたいに俺も幼馴染になっちまうかもしれねえと思って」
共用スペースでどういうシステムだ!と爆豪の怒鳴る声と緑谷の笑い声が響いた。