control私は確かに事務仕事の方が向いている。だがまさか一兵卒が大尉殿の書類仕事の手伝いをする事になるとは思わなかった。
パチパチと算盤を弾き、備品の費用を検める。行軍計画の行程と人員計画を過去の記録と照合する。
もちろん自分が組み上げるわけではないが、別の目での検算は何度してもしすぎる事はない。
「あ」
桁数が合わない。差し戻して確認してもらわねばならない。だが。
「なあ月島ぁ、少し休憩にせんか」
「駄目です」
「今手元にあるものは終わっている!兵舎裏の猫が……」
「捗っているようで大変結構。では先のものを進められますね」
「……あ、あの。大尉殿」
「手厳しいぞ月島ぁん」
「当たり前のことでしょう」
…………き、聞いてもらえない。まったくこちらを見ていない大尉殿に、書類から顔を上げない曹長殿。でも、これは修正してもらわねば。
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