蒼き星に生まれ銀色の砂漠をゆく。塵と化した有象無象でできた大地を踏み、ひとつの役目は終えた。任務の間に遠き惑星を眺める。
以前の星は暗闇に覆われて景色に色が無かったが、この地点からは色のついた星が彼方に見える。
キャンプ地点の隊員が言っていた。蒼き惑星の小さな国は幼児期の子供にモラトリアムを与え、毒にも薬にもならない教育をさせるのだと。だから彼らは装填のやり方も知らないのだと、そう茶化して笑っていた。何故笑ったのか、当個体はかの生物の笑い方をラーニングしていない。
検索機能を用いたが、そんな呑気な国のデータは見つからない。当個体に認知もされないほど幸せな国なのだろう。
「個体No.xxx、スリープモード解除。5時の方向」
師長のアナウンスによって思考の海から引き剥がされる。
「はい。活動再開。…直線30kに生体反応あり。当個体はまもなく迎撃体制に移ります」
蒼き星。すこし興味が湧いた。