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    秋月蓮華

    @akirenge

    物書きの何かを置きたいなと想う

    当初はR-18の練習を置いてくつもりだったが
    置いていたこともあるが今はログ置き場である
    置いてない奴があったら単に忘れているだけ

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    秋月蓮華

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    ほうさいがねこをひろうはなし。
    モブの守衛さんとしませ、びめちゃん、さんとーか、まつおかもいる

    ねこをひろう猫がいた。
    ぶちのねこで、ふらふらしている。
    尾崎放哉はたまたま散歩に出ていたら、たまたまその猫を見つけた。
    放っておけなくなり、猫をそっと抱き上げる。
    猫は鳴いた。
    逃げることはない。逃げるということが分かっていないように感じられる。
    懐いているとか、懐いていないとかそういうことではなく。
    「おかえりなさい。放哉さん」
    裏門から帰れば裏門の守衛が声をかけてきた。
    帝国図書館が対侵蝕者の前線基地として動き出したころからのルールとして、
    守衛に挨拶をしておくことと言うのがあった。外に出たかどうかの把握らしい。
    放哉と呼ばれるのは尾崎が先にいるからだ。尾崎紅葉。
    会釈だけする。猫を抱きかかえたままでだ。
    「猫ですか」
    首肯。
    話すのは苦手だ。俳句で会話をしたい守衛も分かっているようだ。
    「分館のスタッフにいえば餌とか用意してもらえますよ。連絡をしておきましょうか」
    首肯。
    この猫は人懐っこいようで何かおかしいと放哉は感じていた。
    放哉は分館の方に足を進める。
    「放哉。散歩?」
    「ああ」
    「猫だ」
    「分館」
    「一緒に行くよ」
    種田山頭火と逢う。二人で分館だ。
    「おかえりなさい」
    「あ、その猫」
    「おっ」
    松岡譲が出迎えて、側には小川未明と島田清次郎がいた。二人は猫を知っているのか覗き込む。
    「ご近所さんで行方不明になった猫だよ。認知症だって言ってた」
    「張り紙で見たな」
    「連絡を入れますね。餌の方は」
    「場所は分かる」
    未明と清次郎は猫について知っていたようだ。松岡がすぐに連絡を入れに行く。
    清次郎はこっちだ、と手招きした。分館の部屋の一室に猫部屋がある。放哉が猫を下ろす。
    猫部屋には放哉が連れてきた猫しかいなかった。
    「歩いてた」
    「散歩をしていたら見つけたんだよね」
    「猫がかかるのか」
    「認知症か? 今じゃ猫も犬も長生きだ。かかるんだとよ」
    放哉は会話が好きではない。しかし周囲は上手く拾ってくれている。山頭火が補足を入れて、
    清次郎もいう。犬もかかるらしい。
    「このままだと、死んじゃっていたかもしれないから」
    「お手柄だよ。放哉」
    未明が柔らかい餌を餌皿に入れた。山頭火が自分のことのように喜んでいる。
    猫が餌を食べていた。
    放哉は顔をほころばせた。
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