ひととせの呪い「イレブン、二十一歳の誕生日おめでとう!」
仲間たちの朗らかな声が復興中の家屋に響いて壊れてしまうのではないかと不安になるほど、一斉に、そして盛大にあげられた。
かつてはエマと共に誕生日を祝われていた彼だが、ロウと出会って本当の誕生日を知ることとなった。だが、態々今までの誕生日は間違いだったので、と幼馴染や育ての母に伝えるのはやさしいかれにとって気が引けるものだった。そのためイシの村では十六歳までと同じように、エマとともに村人やペルラとお祝いをし、旅をともにした仲間たちとは本当の誕生日を祝う、というのがこの数年の恒例行事となっている。
そのはじめ、一年で二回も誕生日を祝われるなんてずいぶん得だな、と、カミュはイレブンが無駄な罪悪感にのまれぬよう、茶化して言った。カミュの優しさにすぐ気づいたイレブンは「これも勇者の特権かな」と、相棒のそのやさしさに報いるように笑ってみせる。
2801