苦しさ私と椿さんは数十年前に番になりました。
番になってからも、椿さんはよく5日…長い時は一ヶ月ほど家を空けてはボロボロになって帰ってくる。
私はその傷を治療する。治ればまた家を空ける。これの繰り返しでした。
家を空ける理由はずっと教えてくれませんでした。
ある時椿さんがあるものを出した。…妊娠検査薬。陽性のマーク。
椿さんに抱きついて喜ぶ。でもその日から椿さんはずっと苦しそうでした。
吐き気や食欲不振など。悪阻というものだそうです。私は出来る限り、支えることしかできませんでした。
生まれたその子には「藤」と名付けました。
ですが、藤が3歳の時、椿さんは私にずっと教えてはくれなかった家を空ける理由を教えてくれました。…出兵のときに。
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