「こういうのって事前に心の準備が要ると思うから
予め言っておきたいんだけど
僕が死んだ後の話——」
「聞きたくないそんな話 なんでもう諦めてるんだよ
俺には生きろって言ったくせに」
「僕がいなくなっても貴方にしあわせで
いてほしいんだよ」
「あんたがいなきゃしあわせじゃないんだよ
このわからず屋!!」
思わず手が出てしまった
「いたた……」
「すまん 今日はもう帰る」
「……まだ手加減されてる 本気で殴る価値もないってか」
そのまま郊外へ帰る気になれなくて
気が付いたらルミナスクエアの公園に来ていた
ぼんやり海を眺めていると
「迷子のライトさん、はっけーん!」
「リンじゃないか あいつから何か聞いたのか」
「あいつってどいつ?」
「……悠真だよ」
「全部は聞いてないよ? 探して欲しいとも
言われてないし」
「店長たちはあいつの病気の話知ってるんだよな」
「うん 本人から聞いた」
「あいつさ すぐ自分の事は忘れろって言うんだ
俺はもうあいつ無しじゃダメなのに」
「恋してる顔だね〜 ヒューヒュー」
「楽しくなんかないぞ 苦しい事ばっかりだ」
「でも嫌いになれないんだ」
「………ああ」
「ここの場所悠真に送っていい?
二人で話しなよ」
「ありがとな リン」
「ティーミルクタピオカ入りホイップ増し増しでいいよ」
「ああ 今度奢るよ」
「………妬けるなぁ」
「まだいた———!!」
「おいそんなに走るなよ 転んだら危ない」
「リンちゃんに説教されたよ
他人の幸せを勝手に決めつけるな、ってさ」
「あいつらしいな」
「まだ確定してないんだ もう少し足掻いてみるよ
それまで一緒にいてくれる?」
「ああ 最後まで見ててやる」
ぼくがばけものになるまでいっしょにいてくれますか