吸血鬼パロ ティトヴェイ風味〜性癖を添えて〜ある満月の夜。
クレアの血を狙い、サレと言う名の吸血鬼がやってくる。
圧倒的な嵐のフォルスに倒れた瀕死のヴェイグの首に歯を立て、吸血するサレ。
「僕は美しいものからしか吸わないことにしてるんだけど…まぁキミも悪くないかな」
「またねクレアちゃん」
次はクレアを守れない絶望と自分の無力さを悔やみながら、意識が遠のく。
死んでしまったと思われたが、数日経って噛み傷が凍りつき癒えていく。
目覚めたヴェイグはサレと同じ吸血鬼になっていた。
「村の人たちにはわたしが説明するから、一緒に帰りましょう」
クレアに説得されるが、化け物になってしまった自分が受け入れられるわけがないと、村の離れの廃教会に住むようになる。
夜明けになると眠気に襲われ、日が落ちきった夜に目を覚ます。
夜になるとクレアが食料を運んでくる。
食料からの栄養で特に血を欲することなく過ごしていた。
…
ある日、都会の領主から吸血鬼討伐の依頼を受け、ハンターのティトレイが派遣される。
「夜な夜な村の美女を襲うだなんて許せねぇ!おれが仕留めてやるぜ!」
目的の廃教会にたどり着き、中の気配を探る。
二人いるな…一人は女の子だ…!
勢い良く扉を開くティトレイ。
「嬢ちゃん早くここから離れろ!そいつは冷徹な吸血鬼だぜ!」
咄嗟に外套でクレアを守るヴェイグ。
「もちろん、知っているわ!」
「じゃあなんで…」
「だって、ヴェイグは家族だもの!」
「…なんだってぇ!?」
二人の事情を聞き、同情したティトレイまで夜な夜な会いにやってくるようになった。
「その吸血鬼のヤロー、会ったらおれがこの銃でぶち抜いてやる!」
そんな騒がしい夜を過ごしながら、ヴェイグは人ならざる存在になってしまったが、穏やかに生きられていることに安堵していた。
…
ある時、血への渇きを感じるようになったヴェイグ。
日に日に強くなる渇きに耐えられなくなり、クレアにすぐに帰れ、しばらく来るなと伝えた。
しかし、まさにその日は満月。
「やあ、そろそろだと思って来てみたけど、ずいぶん頑張ったみたいだね?」
サレが再び現れる。
「そのまま飢え死にしたらクレアちゃんは僕が貰うから安心してよ。それとも、キミがクレアちゃんを吸血鬼にするかい…?それも面白そうだね」
バァン!
銃声とともにティトレイが現れる。
「二人から離れやがれ…って、おまえは!?」
「なんだ、無能なハンターくんじゃないか。依頼もこなせないうえに雇い主の邪魔までするとは…躾が必要かな!?」
突風が頬をかすめ、傷を作るティトレイ。
血の匂いが飢えたヴェイグを苦しめる。
「クレアを連れて逃げろ…オレが正気なうちに…頼む…!」
「放っといたらおまえも死んじまうだろ!」
「オレは死んでも構わない…だが、クレアとおまえは…」
「諦めんな!二人ともおれが助けてやる!!」
「…もういいかい?ワンワンやかましくて邪魔なんだよねキミ!」
嵐で吹き飛ばされ、さらに深手を負うティトレイ。
「おれの血を吸えヴェイグ。おまえの力がないと全員やられちまう…」
「だめだ……おまえもオレと同じになってしまう…」
「このまま死んだらクレアは誰が守るんだ!」
「しかし…」
「おまえと同じなら怖くねぇよ。夜だって一緒なら悪いもんじゃなかっただろ」
窮地だというのに笑顔を向けてくるティトレイ。
このまま全員死ぬか、親友を吸血鬼にするか…
罪悪感に苛まれながら、ヴェイグは決断する。
「…………すまない、ティトレイ」
「へへ、お手やわからに頼むぜ」
ティトレイの首筋に歯を立てるヴェイグの目からは涙がこぼれていた。
渇きを満たし力が戻ったヴェイグの氷のフォルスでサレを撃退することに成功する。
…
顔色が悪いまま眠るティトレイは何日も目を覚まさない。
死んでしまったのか…
オレが殺してしまった…?
自分を責める日々だった。
「ヴェイグの時もそうだったのよ、だからきっと大丈夫」
クレアはそう言うが、呼吸も鼓動も聞こえずただ横たわる姿はまるで…
ある日、ティトレイの眠るベッドの脇に無造作に置いてある小さな花を見つける。
昨夜はこんなものは無かったが…
…
次の夜、ヴェイグが起きると枕元や床に花が落ちている。
クレアが来ていたのか?
大広間の扉を開けると、眠っていたはずのティトレイが振り向いた。
「お、おはようヴェイグ。ん?夜だからこんばんはか??」
驚きと、安堵を感じながらも、やはり同じものになってしまったという罪悪感で立ち尽くすヴェイグに、そんなことを吹き飛ばすような笑顔で空から出した花を差し出す。
「なんか起きたら花だらけになっちまってて、これがおれの力みてぇだな」
ベッドの脇や自分の部屋に落ちていた花と同じものだった。
「でもよ、おまえみたいに血を吸う歯もねぇし、明るい時間に目が覚めたし、明るくても動けないほど眠くならないんだよな」
「…?」
「おれ、吸血鬼にならなかったのかも」
「そんなことが…あるのか?」
「陽の光も浴びてみたけど、なんともねぇし」
ニンニクも銀のナイフで料理して食ってやったぜ!と迷信を実践したことを笑いながら話すティトレイ。
「そんでさ、おまえが起きたら試したかったことがあって…
もっかいおれの血、吸ってみてくれ!」
次は無いかもしれないだろう、でもやってみる価値はあるだろ!などの言い合いを経て、言いくるめられ恐る恐るティトレイの首に歯を立てるヴェイグ。
「いってぇ……けど、なんともないな?」
「少ししか吸っていないからか…?」
「でも、ちょっとでも吸われたら吸血鬼になるんだろ?本で読んだぜ」
「おまえも本を読むんだな」
「あったりまえだろ!おまえのこと知るために色々読んだんだぞ!」
「…そ、そうなのか」
自分のことを調べてくれたことが嬉しくて、少し照れてしまうヴェイグ。
…
体調に変化があったらすぐに横になれるよう寝室へ移動し、サレを追い払った時のことやティトレイが寝ていた間の話などをしていると、ソワソワと落ち着かない様子になるティトレイ。
「どうした?やはり身体に異変が…」
「あのさ、ヴェイグ…おまえに血吸われてから、なんか…、すげームラムラするんだよな…」
「は、なにを、言って……っ!?」
突然理解に苦しむ事を言い放ちギラギラした眼差しで見つめてくるティトレイに動揺した瞬間、どこからともなく生えてきた蔦でベッドに縫い付けられてしまう。
なにかに耐えるように息を荒らげ、ヴェイグの肩に爪を食い込ませてくる。
今にも喰われてしまいそうだ、こんな眼をどこかで見たことがある。
獲物を仕留めんとする眼。
それはまるで…
「オオ…カミ…」
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吸血鬼と人狼の共存関係に萌える性癖なんです。
基本設定とか知らないで書いてるから大目に見て…
満月になると、吸血鬼は血に飢える。
人狼は吸血鬼に血を吸われても大丈夫なので血の供給ができるが、吸われると発情スイッチが入る。
狼さんは満月の影響でもアレなので大変ですね。
フォルスは人でなくなったものに発現する力になってますがあんまりこの話に必要なかったのでは。雰囲気要素…
狼の耳と尻尾があるティトレイすごく可愛いんで何度か描いてるんですけど、後天的変化なのでどうやって生えたか、ヒトの耳の扱いをどうしようか悩んでます。
ヒトの耳もついてるけど、おおかみみの方が聴こえやすいので使ってないみたいな?
ティトレイは吸血されたのになぜ人狼になったのか、そういうのを調べる旅に出たら面白そうだな、という風呂敷は広げないことにします。