メイドの日「はーい憂太。これ着て。」
そういって渡されたのは、所謂メイド服で。
「男の僕が着て需要あるんですか?」
「えー。何言ってるの憂太。あるよ、需要。」
ぐっと親指を立てた五条はとても楽しそうで。
「…………」
こうなると拒否しても無駄なことは目に見えている為、憂太は諦めるように息を吐くと、手の中に視線を落とし畳まれたそれを広げた。
「色んなメイド服があるけど、僕はやっぱりヴィクトリアンが好きだな。」
黒のロングワンピースにエプロンがついている、至ってシンプルなものだ。過度な露出もなければ極端に丈が短いわけでもなく、清楚で落ち着いた印象を受ける。
これならまだ抵抗は薄いかな。まあ、文化祭のノリと思って諦めよう。
腹を決め、少し待ってて下さいと隣の部屋へと移動しようとした自分に、待ってと声ががかり足を止める。
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