箱詰めバク獏些細な事故で、狭い箱の中に閉じ込められた獏良とバクラ。
いくら叫んでも助けは来ないし、殴っても蹴っても箱はびくともしない。
約1時間の試行錯誤の末、疲れ切った2人はとりあえず身体を休める事にした。
「クソ…おい宿主、もっと詰めやがれ」
「無理に決まってるだろ。お前が詰めろよ」
相手の息がかかるほど近づいた顔と絡み合う手足。誠に遺憾な体勢で密着しているため全く疲れは取れないのだが、2人は自身の快適なポジションを求めて小競り合いを繰り広げていた。
↓ AI
「ったく、狭ぇんだよ……」
「それは僕のセリフだよ」
バクラの悪態に言い返しながら、ふと、ある事に気付いた。
(あれ?この匂い……)
微かに香る石鹸のような清潔感のある香り。
それを意識した瞬間、バクラに対する印象が大きく変わった。
(こいつ………いい匂いがする)
こんな状況なのに鼓動が高まる。
意識すればするほど強く香ってくるそれに、気付けば夢中になっていた。
「おい、どうしちまったんだ?」
いつの間にか動きを止めていた獏良は、バクラの声にはっと我に帰る。
慌てて誤魔化そうとするが、心臓の音は治まるどころか更に激しくなるばかりだ。
「……」
黙り込む彼に、バクラは呆れたように溜息をつく。
「まさかとは思うが……オレ様相手に発情してんじゃねぇだろうなぁ?」
その言葉にカッとなり、勢いよく立ち上がる。
しかしすぐにバランスを失い、倒れそうになったところをバクラに支えられた。
「うわっ!」
「おっと危ねえ」
バクラの腕の中にすっぽりと収まってしまった自分に気付き、急いで離れようとするが上手くいかない。
暴れているうちに今度は仰向けに押し倒されてしまい、完全にマウントポジションを取られてしまった。