花束を君に両片思いのドンボビ、うるさいけど気になるボビちゃんが病気で会えなくなって初めてボビちゃんがいた毎日がどれだけ大切だったか思い知るドンちゃんくださ〜〜〜い🙏🏻
お見舞いに行くから花束を買うドンちゃん。
買ったはいいけど恥ずかしくてボビちゃんのいる病室前でモタモタしてると、トイレから帰ってきたボビちゃんに鉢合わせして咄嗟に花束を隠す。
「ヒューム!久しぶりだな!」
久しぶりの、そして満面の笑みのボビーを見て一瞬動きが止まる。
「見舞いに来てくれたのか?」
「だいぶ長いなと思って」
「だよな〜!暇でしょうがないんだよ」
嫌になっちまうよな〜!なんて明るく言う表情は俺が知ってるいつものボビーで、ホッと一安心した。
とはいえ病気で休んでいたせいか体が少し細くなった気もする。
「もう体調はいいのか」
「ほとんど治ってるよ。ただ病み上がりだからまだ寝てろって言われててさ。早くボートに乗ってお前たちを扱いてやりたいのに」
生意気そうな顔でこちらを見るボビーに、もう体調を心配する必要はなさそうだった。
「あ、部屋寄って行けよ!俺の話し相手してくれ」
そういえばと突然思い出したように提案された言葉に、ハッと今の状況を思い出した。
「あー、この後用事があって...」
うまく隠して切れているかわからない花束をこの流れで出すほど勇気はなかった。
「そうか。んじゃまた暇なときにでも来てくれよ」
しょうがないとすんなり諦めてくれた。
それじゃあ、とボビーと別れて、不自然にならないように花束を隠しながら病室前を後にする。
俺は何をしに来たんだろうか。
見舞いのつもりが恥ずかしくなって5分もしないうちに帰って。
辻褄が合わない自分の気持ちに、頭がおかしくなりそうだった。
花束を渡すだけなのに。
毎日が静かでたまらないから早く戻ってきてほしい。
ただそれだけ伝えたいだけなのに。
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毎日決まった時刻に朝昼晩と食事をし、昼には軽く寝て目を覚ませば適当に過ごして夜には寝る。
何日も同じルーティンに退屈さで死にそうだ。
ただの風邪がなかなか治らないでずっと治らずに続いていた。
もうほとんど治っているが、治りかけこそしっかり休むようにとベットから離れることをするされていない。
ルーティーンを繰り返すならボートの練習をした方がマシだ。
辛い練習が好きなわけではないが、成長を感じられるし一人じゃないから続けられる。
みんなはどうしてるだろうか。
練習はどうなっているのか。
自分の代わりのコックスはどうなっているのだろうか。
暇な時はそんなことばかり考えてしまった。
今は調子がだいぶ戻ってきたので、仲間と一緒にボートの練習をしているイメージばかり頭に浮かんでくる。
コックスとして船尾に座り仲間の漕ぎを見て指示を出す。
目の前には必死で体を動かして漕いでいるヒュームがいて真っ直ぐ俺を見ている。
正しく言えば、俺を見ているのではない。俺の指示を見ているのだ。
ヒュームはストロークで俺と向かい合わせで座っているので、前を向けば自然と俺と目が合う。
コックスという立場上、オールの向きやスピード、全員の漕ぐリズムが合っているか、視覚や振動などを感じて指示を出さなくてはいけない。
そしてもっとも大事なのは指示の声だ。
大声で先頭の漕手まで聞こえるような声を出さなくてはいけない。
そんな大忙しな立場なので思ったより目の前のストロークの目だけを見るということは案外少なかったりする。
だが、彼の場合は違った。
俺の指示を見る眼差し。
見ているのは俺ではない。でも俺を見ているのだ。
その鋭く眼差しに射抜かれて、俺は彼に導かれていくようになった。
彼が俺のコックスになったのだ。
彼のあの目が、俺がコックスをやる意味になっていった。
また、あの目が見たい。
そのためにも早く体調を回復しなくては。
そう思うとベットでの退屈な時間も耐えることができた。
そんなある日、トイレを済ませて病室に帰る最中に見慣れた背中を見つけた。
短髪のブルネットに着古されたジャケットと太めのスラックス、少し汚れた革靴を履いた長身。
ヒュームだ。
「ヒューム!」
気づいたら早足で彼に近づいていた。
俺の言葉に気づいたらしい彼がパッとこちらに顔を向けた。
嬉しくて足がもっと早くなる。
「ヒューム!久しぶりだな!」
ドンちゃんドギマギしながらボビちゃんに会う。
嬉しいボビーちゃんはどんどん話しかける。
久しぶりに会えて嬉しい。
ボビちゃんはドンちゃんのことが気になっていた、というかもうだいぶ好きに近い。
まさか来てくれるとは。
顔がニヤけてしょうがない。
「あ、部屋寄って行けよ!俺の話し相手してくれ」
そういえばと突然思い出したように提案された言葉に、ハッと今の状況を思い出した。
「あー、この後用事があって...」
なんだ、残念。
「そうか。んじゃあまた暇なときにでも来てくれよ」
本当はもっと話したかったが、ここに来てくれただけでも感謝しないとな。
それじゃあと別れても、彼が見えなくなるまでずっと目を話さなかった。
ああ、行ってしまった。
率直な思いとは裏腹に心に感じる暖かさから無意識に笑顔になる。
早く良くなりたい。
そう思って病室へと体向き直し病室のドアを掴むと、ふと視界の違和感を感じ足元を見た。
ピンク色の薄い何かが落ちていた。
しゃがんで近づいてみると、どうも花びらのようだった。
ここになぜ?誰かが花束でも持ってきたのか?
看護師やコーチは持ってこなかったし、そもそも病室には花瓶はない。
じゃあ誰が?
...もしかしてヒューム?
まさかそんな。そんなことするようなやつには見えない。
でももしそうだとしたら?
そう考えると、なんとなく動きが不自然だったかもしれないなんて思い出した。
いや、都合が良すぎる。
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「その花束、誰にやるの」
病院に友人の見舞いで持ってくるものなんて大体決まってる。
花束なんて王道中の王道だろう。
なら、それは俺への見舞いの品って事じゃないのか?
「それ、俺への見舞いの花束だったりする?」
どうする?
なんて言えば良い?
「これ…は」
見舞いなんて誰でもするし、花束を持ってくる事だってよくある事だろう。別に隠すものでない。
でもこれは、俺にとっては違う意味も含んでる。
そして普通男から男へ花束を渡すか?滅多にないだろう?こんな事したら気持ちがバレるに決まってる。
そのせいで彼に渡したいのに渡せない。
ならなんでわざわざ花束を買ったんだろうか
そうだ、この花束を買った時点で決めたも同然なのだ。
俺はアイツが好きで、心配で仕方がなくて、早く帰ってきてほしくて。
ありったけの気持ちをこの花束にこめて。
「お前がいなくてさみしい」
気づいたら手から花束は落ちて代わりにボビーを抱きしめていた。
覆うようにして抱きしめて、彼の体の厚み、小さいながらもしっかりした肩の筋肉、身長差の差。
【現在鋭意執筆中】
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ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
頑張って終わらせたい!!!!!
はよくっつけ!!!!!