「よく来たね」
ドクターはいつも通り優しく、だからこそこれからの話の内容がより恐ろしいものに感じられた。きっとバース性になにか異常があったことは確かだ。だが本当に恐ろしいのは、真実の先にあるものは、もっとずたずたにエドの身を切り裂くものに違いなかった。エドはそれを感じ取っていたのだ。
スツールに腰掛け、ドクターはゆっくりと話を進めていく。
「血液検査で、君のバース値を調べさせてもらった。結論から言うと、君はオメガ性だ」
「でも先生、ミドルスクールの時の検査では、」
「ああ、記録を見た。十三歳の時の検査結果では君は確かにアルファ性だった。……目を疑ったよ。初めて聞く事例だ」
そんなことありえるんですか、とエメラルダも詰め寄る。ドクターは、とりあえず説明を聞いてほしいと言った。
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