【真緒+零】花火大会「れーいーちゃんっあっそびっましょっ♪」
「え、何、怖い」
ソファに座って本を読んでいた零は、ストンと隣に腰を下ろした真緒に声を掛けられて思わずザっと身体を引いた。
あははと笑いながら真緒がスマホを見せてくる。
「今日花火大会があるんですよ」
「それは知っておるが……」
「凛月に誘われて」
「!」
「朔間先輩もどうかなって」
さっきのは3人で行くならせっかくだし幼馴染ごっこしようと思ってと楽しそうに言う真緒を、零は凝視する。
「それは……凛月もいいと言っておったのかえ?」
「言ってましたよ?」
「嘘じゃ!」
「……朔間先輩、可哀想」
即否定しちゃうんだとぼそりと呟いて真緒は苦笑した。
「ほんとですよ。俺が朔間先輩も誘いたいって言ったらいいよって言ってましたよ」
「それは……衣更くんが望むから仕方なくそう言っただけじゃろ、浮かれて我輩が行ったらがっかりさせてしまう……」
「だからそんなことないって言ってるのに」
それは本当のこと。凛月が零を悪しざまに言うのは零の前でだけ…というわけではないけれど。でも零がいない時には口では悪口を言っていても表情は穏やかで、凛月が『零を鬱陶しい』とアピールするのは零の前でだけ。
まぁだから零には伝わらないのだけど。
呆れつつ、少しだけ悪戯心が湧き上がる。
「凛月が嫌がるならだめですか?」
「ん?」
「俺が、朔間先輩と行きたいって言ってるのに?」
「ん??」
顔を寄せて間近から覗き込むように問えば、零がもう一度ザっと音を立てるように身体を引いた。