君には秘密(秘密なんて) お互いに持つ秘密を知った時、初めて好きという感情を知れた気がした。とはいえ秘密と言っても簡単なもので、本当はコーヒーに砂糖を二杯入れていることとか、そんなくらいだ。狡噛の方は少しだけ不穏で、減らしたと言っていた煙草が全然減らせてなかったことだった。どうして嘘をついたんだ、秘密を作ったんだって二人で笑って、馬鹿らしいなと抱き合った。どうしてだろう? 全部知ったつもりになっていたのに、そうじゃなかっなんて、少しプライドが傷つくな。それは彼も同じかも知れないけれど。
「ギノが甘党だったとはな。ブラック飲んでるようにしか見えなかったよ」
「いいだろう別に。それよりお前は煙草を減らす努力をしろ」
散々笑い合って、セックスをして、着替えながらぶつくさ言う。何もかもが日常になって、やっぱり秘密なんて全くないような気がした。俺の秘密なんて砂糖の数だけだった。狡噛も同じくらいだ。でも、お互い口にしないでも、任務に関して、放浪中の出来事に関して、永遠にしゃべらないことがあると思ってはいた。二人とも。
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