特別な人「バンジークス卿、少しよろしいですか?」
とある事件の審理を終え、亜双義を連れて執務室に戻る途中
バンジークスは若い検事から声をかけられた。
過去に扱った事件について聞きたいと言われ身構えたが、
自分の担当する事件に似ているので参考にしたいということであった。
なぜこの罪状で訴えたのか、弁護士側の言い分はどこまで
想定通りであったか、それにどう対応したのか…
法廷記録だけでは分からないことを次々と質問する彼の目には
死神への恐れや好奇心ではなく、優秀な先達への尊敬のまなざしがあった。
バンジークスがその事件を扱ったのは、法廷から一時去った時よりも前、
少なくとも6年以上は前だが淀むことなく質問に答えていく。
どの事件も正面から向き合い、真実のために戦ってきた証だろう。
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