どっちもどっちエッド視点
さて、何でこんなことになったんだっけ?とりあえず思い出す。チャイムが鳴って、今日は一人だったから仕方なく出て……そしたら銃を突きつけられてたもんだから、とっさに殴った。ら、動かなくなった。打ち所が悪かったっぽい?流石に死んでたらこっちが悪くなる気はする。どうしたもんか。……なんか足音聞こえる。誰かに見られた?
「っ!……トードか。」
「ぅおっと。危なかった、無事な方がエッドだったか。」
後ろを見たらトードがいた。めちゃくちゃ手を振り上げてた。殴ろうとしてたなこれ。というか僕が死んでたと思ってたのかこいつ。
「僕が倒れてたと思うなら殴りかかるより先にする事あるだろ……」
「いやだって、警察とか待ってたら俺のコレクション盗まれるかもしれねぇじゃん。」
「僕の心配しろよ。あとお前のコレクション全部持ってける奴いねぇからな?」
僕の心配はしてないのかよ、後でぶん殴っておこうか。しかもお前のコレクションパソコンに入ってるやつ意外にもめちゃくちゃあるだろ。あんなの盗むやついねぇよ。無理だよ。というか見られてんじゃんこれ。こいつも殺した方がいいだろうか。
「一冊でも大損害なんだよ!」
「あんだけあんのに……?」
そこまで言い切るってことは全部の内容覚えてんのかお前?あれ全部一つ一つ覚えてんのか?もっと別の事に脳使えよバカか。
「お前だってちょっとコーラ飲まれただけで大騒ぎすんだろ……」
「当たり前だろ?!」
コーラは飲まれたら消えるだろうが。お前勝手にコーラ飲んだ事忘れてねぇからな次やったらマジで殺すぞ。
「お前ほんと……で、それ何?」
なんか指差してる。見てみると死体指差してた。やっべ。言い訳が思いつかない。もうこうなったら洗いざらい話してから殺すしかない。
「あぁ、強盗。多分だけど。」
「へー、これ生きてる?」
「死んでそうなんだよなー……どうしよう。流石に過剰防衛だよな?これ。」
「だろうな。」
思ってたより反応薄いなこいつ。いやそういう奴だったわ。どうしたもんか。今この状態で殺すのは流石に手間取りそう。ほんとにどうしよう。こいつ殺したら処分する死体増えるし。どうしよう。
「……手伝ってやるよ。」
「えっ?」
は?こいつ今なんて言った?手伝うって言った?聞き間違いか?
「それ、隠すの手伝ってやる。」
聞き間違いじゃなかった。こいつ、そんな事言う性格してたか?なんか企んでそうな気がする。こんな事絶対にめんどくさがるやつだもん。でもこいつが手伝ったら同罪になるし口封じはしなくて済むかもしれない。
「いいの?めんどくさそうだけど……」
「いいよ、お前が捕まった方がめんどくさいだろ?」
「そっか。」
うん。面倒が増えないのはいい事だ。こいつ殺したら一人で二つ死体処理しなきゃいけなかったしよく考えたら好都合だ。脅されたりしたらその時は殺せばいいし。でもマジでこいつ何考えてるかわかんなくてちょっと怖い。
「うっわ、こいつひでー顔してんな。……あ、車はお前が出してくれよ?」
なるほど。なんとなくわかった気がする。こいつ、この状況が楽しいっぽい。相変わらず変なやつ。
トード視点
「これはこうして……」
「ちげぇよ、こうだって。」
「あー、そっか。」
動かない人間ってこんなめんどくさいのか、縄を繋ぐのがうまくいかない。こいつは何を思ってこの作業をしているんだろうか、と手元から目を離して少しエッドを盗み見る。なんの感情もこもっていない目で、ただ何も考えず作業に集中している、みたいな。人を殺してこれから死体を捨てるっていうのにこんな目をしてるこいつの、そういう所が面白くて、俺はこいつと暮らしてるのかもしれないな。ほんのちょっとそんな事を考えて、また作業を続けていく。これが終わったら、何をしようか。