ホー炎謎パロむかしむかしあるところにえんじという逞しい人間の男がいた。
えんじの住む土地では一定の周期で土地を守る禽神に生贄を捧げることになっていた。
生贄は禽神から指定され大体は土地の食物であったがその年は何故かえんじが指定されたのである。
えんじは気難しいがよく働く男でありその土地の者たちは大層残念がったが、生贄を断ればどんな恐ろしいことが起こるかわからないため諦めようとした。
しかしえんじ自身は諦めなかった。家族を食わせてやらねばならないし自分が指定されたことに疑問を持ったため禽神に直接交渉に出向くことにした。
土地の者は必死で止めようとしたがえんじは意志と力が強く無理だった。
えんじは1人で禽神のもとへ向かった。(禽神には頼んだら会える設定)
実際に禽神から受ける印象は「若くてヘラヘラしている男」だった。
話を聞くと代が変わったばかりで責任感が無いように見えたし生贄とか時代遅れですよね~みたいなことを言っていた。
こいつなら上手いこと言いくるめられるのではないか、いざとなれば力づくで…ととんでもないことを思案するえんじだったが実際は禽神の方が口が上手かったので「定期的に尻を差し出せば土地に残って生活を続けても良い」という話に落ち着いた。
えんじは「自分の大きな体が母体として選ばれたのだ」と一人納得し、役目を果たせばいいのだと義務的な気持ちで通いはじめた。
しかし通ううちに自分の周りにはいなかった禽神の内面に徐々に惹かれていくえんじ。心だけではなく身体も禽神を求めていくようになったが、えんじはその点はなかなか認めようとしなかった。
土地や家族のために体を張っているという大義名分がえんじの精神を支えていたのである。
実は禽神ことけいごは雛の頃にえんじに助けてもらい恩義を感じつつその姿に一目惚れをしていて、種族の壁を越え一緒になるために頑張って禽神になっていたのだ。
えんじに家庭と生贄の二重生活を提案をしたのは人間の弱さを知っていたためすぐに根を上げると思ったからだったが、えんじのあきらめの悪さによりその期間は思ったよりも長くなりえんじがどんどん心身が不安定になってしまったのはけいごにとって誤算だった。
ある時えんじの妻から「もういいよ」と言われたことで禽神のものとなったが、家族を含めた土地の者を手伝いにいくことはけいごは止めなかった。
えんじは禽神と一緒にいることで寿命が引っ張られ他の人間よりもかなり長命になった。家族を含めた土地の者も居なくなっていき、最期は禽神を退いたけいごと共にひっそりと暮らしましたとさ。