Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    skyniguruma

    @skyniguruma

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 30

    skyniguruma

    ☆quiet follow

    次の冬シーズン始まっちゃうので去年の冬アイテム関連の小話を供養。

    この時はまだライ(後輩)生きてたんだよな…

    「あっ!師匠いつもと違うケープ!」
    星座板の方から上がった声にトリアは書庫へ向かおうとしていた足を止めた。振り向けば星座板の向こう、大きな岩の上から見慣れた星の子がこちらへ飛んでくるところだった。
    のばされた手を受け止める。一人、二人、
    「うわっ」
    お腹に飛びついて、三人。
    「なにしてんだよライ。トリアさんすみません」
    「大丈夫だよ。トト」
    ふわりと正面に着地して、四人。
    全員揃っているのを見るのは久しぶりだ。四人の顔を順番に見て、トリアは頬を綻ばせる。
    「みんな元気だった?」
    はい!と四人の後輩は口々に答えた。

    「師匠これもしかして冬のケープですか?」
    厚手の布を持ち上げてレナが首を傾げる。一緒に精霊を集めたこともあり、記憶に残っているのだろう。トリアが頷く。
    「そうだよ。ジャグリングの精霊さんのケープ」
    「わぁ!あったかそう」
    そう言いながらふわふわした裾を握るレナの横をすり抜けて、ライがトリアのケープに飛び込んだ。勢いよく鳩尾に頭をぶつけられたトリアが一瞬息を詰めたが、雀の子が気にした様子はない。しばらくケープの中でごそごそやって、やがてずぼっとトリアの胸のあたりからライが顔を出した。
    仮面越しでもその顔が輝いているのがわかる。
    「すっげえあったかい!」
    「ライずるい!わたしも!」
    先を越されたレナが声をあげる。ケープを跳ね上げるようにして中に潜り、ぺたりとトリアの腹に抱きついた。布の中から感激したような声があがる。
    「あったかい…師匠ずるい…」
    「いや正当な報酬だからねこれ」
    なかで比較的小柄な二人がきゃらきゃらと笑う。やがてライと同じようにケープの合わせから顔を出したレナは満足そうだ。ほかほか!なんて声をあげる。
    騒ぐ彼らを微笑ましそうに眺めながら知らない星の子が通り過ぎて行った。
    「あの…レナ、マリーも…」
    満足気なレナを見て、マリーが小さく声をあげた。ふわりと柔らかな髪が揺れて、控えめな彼女を余計に儚げに見せる。それに反応したのはレナではなくライだった。
    「だっ…ったらオレ出るからマリー入れよ!」
    ばたばたと出ようとする彼にマリーは首を傾げる。
    「せまいかな?」
    「いやっ狭くねえけど!」
    つんつん尖った髪の下から覗く耳が赤い。あからさますぎでしょとトトが肩を竦める。
    なんとかマリーに温かい場所を譲りたいらしいライを見下ろして、トリアがふふと肩を揺らした。
    「みんなで入ったらいいよ」
    そう言って腕を広げる。トリアの腕にくっついていたライがすっとんきょうな声をあげた。
    「みんなで!?」
    「わあ、師匠ありがとうございます」
    マリーが笑ってケープの中へ入る。そもそも星の子一人が着るためのケープはお客様を三人も招いてしまえばぱんぱんだ。あったかいねぇと微笑むマリーに密着されたライが目を白黒させている。
    「トト入んないの?」
    レナが四人の傍らに立つトトを見上げた。見上げられた側はわざとらしく肩を竦めてみせる。
    「どう見てもキャパオーバーでしょ」
    「なにそれ」
    「もう入らないだろってこと」


    …ここまで!
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖👏😭😍🙏🙏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works