Video『見せたいものがある』
マユミくんがそう言うとき、僕は少しだけドキドキする。それは出会ってから二年経った今も変わらない。
最初は不安が大きかった。胸がぎゅってなるようなドキドキだ。なんで僕なんだろう。せっかく見せてくれたのに、望むリアクションを取れなかったらどうしよう。そういう不安を隠しながら、精一杯笑ったのを覚えてる。
一回目、アマミネくんのいないマユミくんの家で見せてくれたのはチェス盤だった。遊具というよりはアンティークと言うのが正しいその佇まいは僕を萎縮させるには充分で、そのときの僕は疑問で頭がいっぱいになってしまったんだ。
『マユミくん、』
どうして、と言う前にマユミくんが口を開いた。
『百々人の、次の役作りの参考になるかと思って』
6660