眠りの幕間冬の夜は早く訪れて、静かに深く続く。
いつまでも温まらないベッドの中で、寒さに凍える左右の素足擦り合わせながら、瞼を閉じて夢の国への旅立ちをひたすら待つが、いつまで経っても水先案内人は訪れない。随分前に羊の数は数え飽きた。
「マーク?」
ベッドの中にいるマークすぐ横から小さな声が聞こえた。仰向けのマークが瞼を開くと暗がり中に天井の木材の幾何学模様がぼんやりと見えた気がしたが、そんなものはどうでもよくて、すぐに声の方へ顔を向けた。スティーヴン・グラントに呼ばれたらそうしたくなるようにマーク・スペクターはできていた。
「まだ、起きてる?」
隣にいる仰向けのスティーヴンの横顔は天井と同じようにぼんやりとしていたが、それでもぴったりとくっつている距離のおかげで瞼が閉じられていないことをマークは見ることができた。
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