カリフラワー
DONEルマランド展示その③『Dec. 1st』タイトル通り、12月1日の話。
同棲ルスマヴェと同じアースですが、展示①より数年の時間が進んでいます(時系列的には今月の想定で、Twitterの同棲ルマ投稿の合間に起きた話です)
ややこしくてすみません。
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カリフラワー
DONEルマランド展示その①同棲しているルスマヴェの短編集です。本に収録していない、書き下ろしになります。
※ゆる甘ルスマヴェです、たいしたことは起きません※
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カリフラワー
DONEルマランド2412新刊サンプルいつもの同棲ルスマヴェ短編集です。
「ゆるゆるで甘い2人の日常」は私の個人的な好みです。何も起きないです、すみません。
ルマランド新刊サンプル・ブラッドリー・ブラッドショー
コールサインは〝ルースター〟。
ノースアイランドでトップガンの教官をしている。
恋人のピート・ミッチェルと暮らしている。
色々な意味で恋人から目が離せない。
・ピート・ミッチェル
コールサインは〝マーヴェリック〟。(現在は退役)
趣味が高じて車とバイクの整備士免許を取得し、修理店で働いている。
恋人のブラッドリー・ブラッドショーと暮らしている。
日々色々な意味で恋人の重みを実感している。
※連続した日々の記録ではなく、二人のある一日を気の向くままに集めたもの、という設定です。
※上記の二人の設定は筆者の趣味です。上記の設定がなくても読み進められるものになっていますので、あまり気にし過ぎずゆるくお楽しみいただければ幸いです。
6605コールサインは〝ルースター〟。
ノースアイランドでトップガンの教官をしている。
恋人のピート・ミッチェルと暮らしている。
色々な意味で恋人から目が離せない。
・ピート・ミッチェル
コールサインは〝マーヴェリック〟。(現在は退役)
趣味が高じて車とバイクの整備士免許を取得し、修理店で働いている。
恋人のブラッドリー・ブラッドショーと暮らしている。
日々色々な意味で恋人の重みを実感している。
※連続した日々の記録ではなく、二人のある一日を気の向くままに集めたもの、という設定です。
※上記の二人の設定は筆者の趣味です。上記の設定がなくても読み進められるものになっていますので、あまり気にし過ぎずゆるくお楽しみいただければ幸いです。
カリフラワー
DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「歌声」わかりづらいですが、段落ごとに時間が進んでます。本当にわかりづらいです。反省してます。
Sing for me 幸せだと感じる時、聞こえてくるのはいつも彼の歌声だった。
ブラッドリーは歌が上手い。ピアノも弾ける。彼の父親もそうだった。二人揃って音楽の才能があった。だけどそれをブラッドリーに伝えると、彼はこう答えた。「俺が親父と違うのは、俺はマーヴを惹きつけるために歌ってるってこと。俺の歌声はマーヴのためにあるの」だから同じにしないで、と彼は笑った。
繋ぎっぱなしのビデオ通話で、かつて僕たちは会話もせず黙って時間を過ごした。ブラッドリーは料理をして、僕は洗濯物を片付けて。お互い画面なんてあまり見ていなかったと思う。自分が映っているかどうかも気にしていなかった。ただ画面上で繋がってさえいれば、二人の時差も距離も忘れてしまった。時々思い出したように画面を見ると、ブラッドリーはナイフや缶切りを持ったまま、同じタイミングで僕の様子を確認しに来る。そして安心したように微笑み、また画面の前から消える。それを何度か繰り返していると、そのうち彼の歌声が聞こえてくる。
4107ブラッドリーは歌が上手い。ピアノも弾ける。彼の父親もそうだった。二人揃って音楽の才能があった。だけどそれをブラッドリーに伝えると、彼はこう答えた。「俺が親父と違うのは、俺はマーヴを惹きつけるために歌ってるってこと。俺の歌声はマーヴのためにあるの」だから同じにしないで、と彼は笑った。
繋ぎっぱなしのビデオ通話で、かつて僕たちは会話もせず黙って時間を過ごした。ブラッドリーは料理をして、僕は洗濯物を片付けて。お互い画面なんてあまり見ていなかったと思う。自分が映っているかどうかも気にしていなかった。ただ画面上で繋がってさえいれば、二人の時差も距離も忘れてしまった。時々思い出したように画面を見ると、ブラッドリーはナイフや缶切りを持ったまま、同じタイミングで僕の様子を確認しに来る。そして安心したように微笑み、また画面の前から消える。それを何度か繰り返していると、そのうち彼の歌声が聞こえてくる。
カリフラワー
DONEマ右ワンライ/いずれルスマヴェになるルス→マヴェ/お題「懐かしい」TVを観ている一人きりのルス。
カーテンの向こう『さて、一番のあなたが会いたいのは誰ですか?』
司会者が①の名札がついたゲストに尋ねる。ゲストの男性は緊張の面持ちで答える。
『僕が会いたいのは、謝りたい相手です』
懐かしの人に会わせてくれる番組。ゲストは皆一般人で、色々な人生を送ってきた人たち。彼らの会いたい人を、番組がアメリカじゅうを探して再会させてくれるのだ。
一番の男性は続ける。彼は職場の同僚でした。ある大きなプロジェクトで失敗してしまった時、彼一人に責任を取らせてしまったんです。会社にとっても大きな損失で、彼はその日のうちに会社を辞めてしまいました。僕は自分だけが会社に残ってしまったことが心苦しくて、その数日後に退職しました。今は全く違う仕事に就いています。彼が今どうしているかはわかりません。謝るのと同時に彼の近況が知れたらと思っています。もちろん、許してもらうために謝るわけではありません。でもこれは僕の責任ですから。
2889司会者が①の名札がついたゲストに尋ねる。ゲストの男性は緊張の面持ちで答える。
『僕が会いたいのは、謝りたい相手です』
懐かしの人に会わせてくれる番組。ゲストは皆一般人で、色々な人生を送ってきた人たち。彼らの会いたい人を、番組がアメリカじゅうを探して再会させてくれるのだ。
一番の男性は続ける。彼は職場の同僚でした。ある大きなプロジェクトで失敗してしまった時、彼一人に責任を取らせてしまったんです。会社にとっても大きな損失で、彼はその日のうちに会社を辞めてしまいました。僕は自分だけが会社に残ってしまったことが心苦しくて、その数日後に退職しました。今は全く違う仕事に就いています。彼が今どうしているかはわかりません。謝るのと同時に彼の近況が知れたらと思っています。もちろん、許してもらうために謝るわけではありません。でもこれは僕の責任ですから。
カリフラワー
DONEマ右ワンライ/お題「いい子」「悪い子」たまらんくらい最高のお題だったのでどちらも使いました
帰り支度 思えばブラッドリーは、僕の知る限りずっといい子だった。
大人の助けが必要なほど幼い頃から、ブラッドリーは他者を助けることに躊躇いがなかった。家の中では着替えを手伝ってもらっていた子が、外では道端でひっくり返った虫を草木がある場所まで戻してやり、公園では転んだ子に駆け寄り、大丈夫かと声をかけた。小さい頃は家族や僕以外には少し内気だった坊やは、転んで落ち込んだその子を控えめな態度で誘い、一緒に遊んで回った。そのうちその子は坊やの友達になり、名前と住所を教え合った。
学校に通い始めてからも、ブラッドリーは何も変わらなかった。忙しいキャロルに代わって保護者面談に出席すると、先生からは驚くほどよく坊やを褒められた。「クラスメイト同士の喧嘩を止めて、仲直りまでさせたんですよ」また、意地悪されている子がいれば常に一緒に行動し、いじめっ子にも怯むことはなかったという。優しくて強い心を持ち、それを家族や僕以外にも分け与えられる子。先生の話を聞きながら、僕は誇らしさで胸がいっぱいだった。僕が坊やを育てたわけでもないのに、すぐにでも彼をハグしたくてたまらなかった。帰宅してキャロルに報告する間、僕の隣で話を聞いていたブラッドリーは嬉しそうに小さな鼻を膨らませていた。褒められるためにしているわけではなかっただろうが、それでも大人2人に口々に讃えられることは、彼にとっても大きな喜びだったろうと思う。
2987大人の助けが必要なほど幼い頃から、ブラッドリーは他者を助けることに躊躇いがなかった。家の中では着替えを手伝ってもらっていた子が、外では道端でひっくり返った虫を草木がある場所まで戻してやり、公園では転んだ子に駆け寄り、大丈夫かと声をかけた。小さい頃は家族や僕以外には少し内気だった坊やは、転んで落ち込んだその子を控えめな態度で誘い、一緒に遊んで回った。そのうちその子は坊やの友達になり、名前と住所を教え合った。
学校に通い始めてからも、ブラッドリーは何も変わらなかった。忙しいキャロルに代わって保護者面談に出席すると、先生からは驚くほどよく坊やを褒められた。「クラスメイト同士の喧嘩を止めて、仲直りまでさせたんですよ」また、意地悪されている子がいれば常に一緒に行動し、いじめっ子にも怯むことはなかったという。優しくて強い心を持ち、それを家族や僕以外にも分け与えられる子。先生の話を聞きながら、僕は誇らしさで胸がいっぱいだった。僕が坊やを育てたわけでもないのに、すぐにでも彼をハグしたくてたまらなかった。帰宅してキャロルに報告する間、僕の隣で話を聞いていたブラッドリーは嬉しそうに小さな鼻を膨らませていた。褒められるためにしているわけではなかっただろうが、それでも大人2人に口々に讃えられることは、彼にとっても大きな喜びだったろうと思う。
カリフラワー
DONEさわマル展示その2いつもの同棲ルスマヴェ短編集です。一応すべて新しく書いたものです。
「ゆるゆるで甘い2人の日常」は私の個人的な好みなので、ご了承下さい🙏
パスワード🗝️→ イベント初日(mm/dd) 10857
カリフラワー
DONEマ右ワンドロワンライのお題「電子機器」をお借りして書きました。一緒に暮らそうよ系ルスマヴェです。
この画面を越えて 技術の進歩というのは凄いもので、日々人類の生活を変え続けている。……まあ、俺がその進歩に感謝しているのはそんな壮大な理由ではないけれど、どこかの誰かの発明が、俺に幸せをもたらしていることは言っておきたい。
ラップトップの電源を入れて、通話画面を開く。発信音が鳴れば、たちまち大陸の端にいる恋人と顔を合わせられる。これこそ、ロボット掃除機やスマートスピーカーよりも俺が望む技術の進歩だ。
「Hi マーヴ」
画面の向こうの恋人に手を振ると、彼は同じようにこちらに手を振り返した。そして俺の背後の景色をぐるりと眺めて、変わりはないか、俺に直接尋ねる前に予想を立てる。
「やあブラッドリー、変わりはないか?」
そうして俺に尋ねる。変わりはないよ。そう答えると安心したように返事をする。そうか、僕も変わりはないよ。
4298ラップトップの電源を入れて、通話画面を開く。発信音が鳴れば、たちまち大陸の端にいる恋人と顔を合わせられる。これこそ、ロボット掃除機やスマートスピーカーよりも俺が望む技術の進歩だ。
「Hi マーヴ」
画面の向こうの恋人に手を振ると、彼は同じようにこちらに手を振り返した。そして俺の背後の景色をぐるりと眺めて、変わりはないか、俺に直接尋ねる前に予想を立てる。
「やあブラッドリー、変わりはないか?」
そうして俺に尋ねる。変わりはないよ。そう答えると安心したように返事をする。そうか、僕も変わりはないよ。
カリフラワー
DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「手入れ」さらっとお題を撫でたくらいの話で恐縮です。マーヴの作業風景を眺めながらもやもや考えるルスの話です🐓💭
あなたのそんなところが 乾いた風がハンガーに吹き込み、風に運ばれた砂が外と中の境界を曖昧にする。ぶつぶつと何かを呟く声。「ああ、あれが要るんだった」大きな歩幅で道具を取りに行く長い脚。俺には名前もわからない道具を迷いなく掴む小ぶりな右手。
「ブラッドリー、せっかく来てくれたのに構えなくて悪いな」
愛機の元へ戻ったマーヴは振り返って言った。するとソファに寝そべる俺と目が合い、マーヴは可笑しそうに笑い出した。太陽が動き、さっきまで影に覆われていたソファと俺の顔が、扉から差し込む強い陽の光に照らされているのだ。
「ほんと、俺はマーヴに会いに来たのにね。これじゃ帰る頃には丸焼けになっちゃう」
「すまない、もう少し待ってくれ」
マーヴは笑いながらもう一度謝罪した。
2728「ブラッドリー、せっかく来てくれたのに構えなくて悪いな」
愛機の元へ戻ったマーヴは振り返って言った。するとソファに寝そべる俺と目が合い、マーヴは可笑しそうに笑い出した。太陽が動き、さっきまで影に覆われていたソファと俺の顔が、扉から差し込む強い陽の光に照らされているのだ。
「ほんと、俺はマーヴに会いに来たのにね。これじゃ帰る頃には丸焼けになっちゃう」
「すまない、もう少し待ってくれ」
マーヴは笑いながらもう一度謝罪した。
カリフラワー
DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「香り」イメージはDi○rの某香水です。香水の発売時期と願書事件が近そうだったので…。
This Scent この世で一つだけ、忘れられない香りがある。重く絡みつく、最も嫌いな香り。あれから二十年経ってもいまだ憎しみのような落胆のような、言葉にもできない苦しみを思い出す。知らない間に俺の夢をうんと遠くへと捨て去り、そのことに言い訳もしなかったあの人の香り。
アナポリスへ提出した書類の不備があの人の仕業だとわかった後、俺は震える声で彼を呼び出した。家まで来させて一体何を言ってほしかったのか、今の俺にもわからない。だけどその時の俺は人生で一番の怒りと絶望を抱えていて、なのにそれを吐き出す相手は俺をそんな暗闇に突き落とした張本人だった。眩いほど白いTシャツ。青いジーンズ。その裾に隠れた派手なカウボーイブーツ。伏せた目から消えた光はどこへいったのか。
3174アナポリスへ提出した書類の不備があの人の仕業だとわかった後、俺は震える声で彼を呼び出した。家まで来させて一体何を言ってほしかったのか、今の俺にもわからない。だけどその時の俺は人生で一番の怒りと絶望を抱えていて、なのにそれを吐き出す相手は俺をそんな暗闇に突き落とした張本人だった。眩いほど白いTシャツ。青いジーンズ。その裾に隠れた派手なカウボーイブーツ。伏せた目から消えた光はどこへいったのか。
カリフラワー
DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「動物」ゴールデンレトリバーと住んでほしすぎる
マディ、ピート、ブラッドリー 何かが頬に触れる。それは髪を撫で、また頬を通って肩を撫でた。手だ。それも大きく温かい手。
「マーヴ、おはよ」
掠れた朝の声。ブラッドリーの声。
「んん……おはよう」
目を開くとブラッドリーは床に膝をついて、ベッドで眠る僕を見つめていた。
「よく眠れた?」
「ああ、眠れたよ」
答えながらあくびが漏れた。ブラッドリーは小さく微笑み、さっき手を触れた僕の頬にキスをした。
ブラッドリーのいるバージニアを訪ねて四日目。ブラッドリーは毎朝僕より先に起きていた。僕を起こす時、彼は決まって同じことを言って笑う。「俺、いつもはこんなに朝早くないんだよ」僕がいるから、興奮して早く目が覚めてしまうらしい。彼を子どもみたいだと思うことは時々あるが、まさか朝一番にそう思わされるとは、東海岸に来るまで予想もしていなかった。
4400「マーヴ、おはよ」
掠れた朝の声。ブラッドリーの声。
「んん……おはよう」
目を開くとブラッドリーは床に膝をついて、ベッドで眠る僕を見つめていた。
「よく眠れた?」
「ああ、眠れたよ」
答えながらあくびが漏れた。ブラッドリーは小さく微笑み、さっき手を触れた僕の頬にキスをした。
ブラッドリーのいるバージニアを訪ねて四日目。ブラッドリーは毎朝僕より先に起きていた。僕を起こす時、彼は決まって同じことを言って笑う。「俺、いつもはこんなに朝早くないんだよ」僕がいるから、興奮して早く目が覚めてしまうらしい。彼を子どもみたいだと思うことは時々あるが、まさか朝一番にそう思わされるとは、東海岸に来るまで予想もしていなかった。
カリフラワー
DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「電子機器」モブ視点。もだもだ。
応答すべき彼からの着信「あ〜クソ」
やっちまった、スマホがない。どこかに置いてきてしまった。たぶんロッカーの中だろう。まあでも、心配する必要はない。昼時の食堂には、タイミングよくあいつが現れるから。
「なあ、ルースター」
鼻歌の主を見ることもなく声をかけた。
「なんだよ」
その返事は呼びかけた名前と同じ人間の声だった。振り返ると、ルースターは退屈そうにあくびをしているところだった。俺の後ろに並び、同じく俺の方を見ることもなくただ配膳される昼飯を目で追っている。
「ちょっとスマホ貸してくれ」
「自分のは?」
「ロッカーに入れてそのまま忘れてた」
あっそ、とルースターは短く呟き、トレーを片手で持ち直してポケットを探った。そして「ん」とスマホで俺の肩を叩いてそれを寄越した。やはり海軍で持つべきものは、深入りしてこない友人だ。
4536やっちまった、スマホがない。どこかに置いてきてしまった。たぶんロッカーの中だろう。まあでも、心配する必要はない。昼時の食堂には、タイミングよくあいつが現れるから。
「なあ、ルースター」
鼻歌の主を見ることもなく声をかけた。
「なんだよ」
その返事は呼びかけた名前と同じ人間の声だった。振り返ると、ルースターは退屈そうにあくびをしているところだった。俺の後ろに並び、同じく俺の方を見ることもなくただ配膳される昼飯を目で追っている。
「ちょっとスマホ貸してくれ」
「自分のは?」
「ロッカーに入れてそのまま忘れてた」
あっそ、とルースターは短く呟き、トレーを片手で持ち直してポケットを探った。そして「ん」とスマホで俺の肩を叩いてそれを寄越した。やはり海軍で持つべきものは、深入りしてこない友人だ。
カリフラワー
DONEルスマヴェ結婚アンソロ寄稿作品その2結婚後アンソロに寄稿したものです。
新婚カップルの惚気に虚無顔になっているフェニをご想像してご覧ください。
Interview With The Newlyweds「結婚して変わったこと? なんだろ……」
「特に何も変わらないよ。ブラッドリーは相変わらずお寝坊さんだし」
「〝お寝坊さん〟は恥ずかしいからやめて」
「だってそうだろう? ブラッドリーは変わらず寝るのが好きで、ほんのちょっとだらしない。シャワーを浴びずにベッドに入ろうしたり、なんなら着替えすらしないこともある。明日やればいいでしょ、なんて言うんだよ。電気もつけっぱなしで、だけど注意するとちゃんと反省するから怒れない。……フェニックス、ここだけの話、この子は一人の時も休日には少し気を抜くとこんな感じだったの? 気になってたんだけど、本人がなかなか答えてくれなくてね」
「ねえ、結婚して変わったことを聞かれてるんだよ」
1853「特に何も変わらないよ。ブラッドリーは相変わらずお寝坊さんだし」
「〝お寝坊さん〟は恥ずかしいからやめて」
「だってそうだろう? ブラッドリーは変わらず寝るのが好きで、ほんのちょっとだらしない。シャワーを浴びずにベッドに入ろうしたり、なんなら着替えすらしないこともある。明日やればいいでしょ、なんて言うんだよ。電気もつけっぱなしで、だけど注意するとちゃんと反省するから怒れない。……フェニックス、ここだけの話、この子は一人の時も休日には少し気を抜くとこんな感じだったの? 気になってたんだけど、本人がなかなか答えてくれなくてね」
「ねえ、結婚して変わったことを聞かれてるんだよ」
カリフラワー
DONEルスマヴェ結婚アンソロ寄稿作品その1結婚前アンソロに寄稿したものです。
個人誌でも同じような話を書いたような気がしますが、このアンソロの方が先に書いていたのでセーフかな、と自分で納得させています。
You Made Me Think About It 美しい鳥の声が新しい一日の始まりを告げる。快晴の朝にふさわしい、湯気を立てるコーヒーやパンケーキ。明らかに作りすぎてしまったが、気にするほどじゃない。トレーに並ぶマグカップや朝食の皿が、ベッドルームへの歩調に合わせて繊細な音を立てる。
「マーヴ、おはよう」
声をかけながら、肩を入れてベッドルームのドアの隙間を広げた。昨夜マーヴは珍しく疲れた様子で帰宅し、「もし朝九時を過ぎても寝ていたら適当に起こしてくれ」と一言残して先に眠りに落ちてしまった。実際に今朝、いつもなら彼が起きているはずの時間になってもアラームは鳴らず、マーヴも目を覚まさなかった。そして俺が朝食を用意していた間に彼はベッドの真ん中寄りまで寝返りをうち、今は俺の声に反応してぼんやりと目を擦っている。
7306「マーヴ、おはよう」
声をかけながら、肩を入れてベッドルームのドアの隙間を広げた。昨夜マーヴは珍しく疲れた様子で帰宅し、「もし朝九時を過ぎても寝ていたら適当に起こしてくれ」と一言残して先に眠りに落ちてしまった。実際に今朝、いつもなら彼が起きているはずの時間になってもアラームは鳴らず、マーヴも目を覚まさなかった。そして俺が朝食を用意していた間に彼はベッドの真ん中寄りまで寝返りをうち、今は俺の声に反応してぼんやりと目を擦っている。
カリフラワー
DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「手伝って」前回のワンライ『空でもどこでも』の続きの話。
推しカプの休暇を終わらせるのが好き
居ても立っても居られない「ただいま〜おかえり〜」
家に響くブラッドリーの声。スーツケースのキャスターがころころと音を立て、やがて止まる。
「マーヴ、荷物は適当に置いといて」
妙にしっかりした彼の言葉が、なんだか可笑しい。
「何笑ってんの、マーヴ」
「……いや、なんでもない」
休暇を終え空港を出た僕たちは、少しずつ明るくなり始めた空の下、ゆったりと車を走らせ家路についた。上空でブラッドリーと共に過ごす誕生日は格別に幸せだった。だけど家に着いてしまえば、もう楽しかった休暇はおしまいだ。明日からは二人揃って操縦席に逆戻り。ブラッドリーは何も言わないが、きっと彼の心の中では休暇が終わる不満をぶつぶつこぼし続けているのだろう。背中が寂しそうに曲がっている。
2417家に響くブラッドリーの声。スーツケースのキャスターがころころと音を立て、やがて止まる。
「マーヴ、荷物は適当に置いといて」
妙にしっかりした彼の言葉が、なんだか可笑しい。
「何笑ってんの、マーヴ」
「……いや、なんでもない」
休暇を終え空港を出た僕たちは、少しずつ明るくなり始めた空の下、ゆったりと車を走らせ家路についた。上空でブラッドリーと共に過ごす誕生日は格別に幸せだった。だけど家に着いてしまえば、もう楽しかった休暇はおしまいだ。明日からは二人揃って操縦席に逆戻り。ブラッドリーは何も言わないが、きっと彼の心の中では休暇が終わる不満をぶつぶつこぼし続けているのだろう。背中が寂しそうに曲がっている。
カリフラワー
DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「誕生日」そういえばマヴの誕生日の話って書いたことなかったな〜と思って書いた話
オチもヤマも何にもない
空でもどこでも もし自分の誕生日より特別な日があるとすれば、それは愛する人の誕生日しかないだろう。だってその人がこの世界に生まれてこなければ、付き合い始めた記念日も、プロポーズした日も、結婚記念日だって存在し得ない。記念日の悦びは、祝福する相手がいてこそ成り立つものだ。
マーヴの誕生日は二人で海外で過ごすと決めていた。旅行なんて久々で、計画する時から楽しみは膨らむばかりだった。西海岸より暖かい島に降り立てば、ゆったりと二人だけの時間を過ごし、完璧な休暇と呼べそうな幸せな日々だった。だけど一つだけ、この休暇で思い通りにいかないことが残っている。
「ブラッドリー、僕は君さえいればどこで誕生日を迎えたって幸せだよ」
そう慰めるように言って、マーヴはアームレストにのせた俺の左手に自身の右手を重ねた。
5072マーヴの誕生日は二人で海外で過ごすと決めていた。旅行なんて久々で、計画する時から楽しみは膨らむばかりだった。西海岸より暖かい島に降り立てば、ゆったりと二人だけの時間を過ごし、完璧な休暇と呼べそうな幸せな日々だった。だけど一つだけ、この休暇で思い通りにいかないことが残っている。
「ブラッドリー、僕は君さえいればどこで誕生日を迎えたって幸せだよ」
そう慰めるように言って、マーヴはアームレストにのせた俺の左手に自身の右手を重ねた。
カリフラワー
DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「カラフル」お題を意識しすぎて訳わからん話になりました。
インスタ映えを意識したお店を想像していただけたら……🍰
マーヴという存在もたくさんの色でできているんだよ、的な話です🍭
その中身は ジェリービーンズのようなタイルや七色のペンキを使ったグラフィックアートの壁に囲われて、マーヴは店内を見回した。
「ねえ、ここのスイーツ美味しいらしいよ」
マーヴはこの店の可愛らしい内装を物珍しそうに観察しつつ、俺の言葉に微笑んだ。
「こういうのって、大人になってもときめくものだよね……マーヴもわかるでしょ?」
写真が載ったメニューには、この店の内装とよく似たポップな色合いのスイーツが並んでいる。子どもの頃憧れたキャンディーショップみたいで、どんな味がするのか想像するだけで目の前の写真がきらきらと輝き出す。
「そうだね、可愛らしいものは目を惹くからね」マーヴは上機嫌な俺を見て笑った。「それに、目を惹くものは試したくなる。そうだろ、ブラッドリー?」
2816「ねえ、ここのスイーツ美味しいらしいよ」
マーヴはこの店の可愛らしい内装を物珍しそうに観察しつつ、俺の言葉に微笑んだ。
「こういうのって、大人になってもときめくものだよね……マーヴもわかるでしょ?」
写真が載ったメニューには、この店の内装とよく似たポップな色合いのスイーツが並んでいる。子どもの頃憧れたキャンディーショップみたいで、どんな味がするのか想像するだけで目の前の写真がきらきらと輝き出す。
「そうだね、可愛らしいものは目を惹くからね」マーヴは上機嫌な俺を見て笑った。「それに、目を惹くものは試したくなる。そうだろ、ブラッドリー?」
カリフラワー
DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「爽やか」ぼんやりとお題に沿ったタイプの話です🍃
これも爽やかだと思いたい…。
風が吹くとき 風が吹く。その風は木々を揺らす。踊る木の枝には高く跳ね上がったボールが触れそうになる。背の低い芝生は小さく震え、所々に広がるブランケットや新聞がめくれ上がる。
「ね、外に出て良かったでしょ?」
仰向けで寝転んだ恋人は本を開いたまま、文字を追いながら返事をする。
「公園でゆっくりしようって提案したのは僕だよ」
それからふっ、と息を漏らして笑う。
よく晴れた休日。太陽の光に誘われた人々が、芝生の上で俺たちと同じように自由気ままに過ごしている。
「じゃあ、マーヴの名案ってことにしといてあげる」
隣を見下ろすと、整髪料のついていないブルネットの髪が風に吹かれてふわりと揺れる。柔らかいその髪に触れると、彼は開いた本を胸に置いた。それから空いた手を俺の方へ伸ばし、俺の口元にそっと触れた。俺は彼の手を取りその指先にキスをした。
1174「ね、外に出て良かったでしょ?」
仰向けで寝転んだ恋人は本を開いたまま、文字を追いながら返事をする。
「公園でゆっくりしようって提案したのは僕だよ」
それからふっ、と息を漏らして笑う。
よく晴れた休日。太陽の光に誘われた人々が、芝生の上で俺たちと同じように自由気ままに過ごしている。
「じゃあ、マーヴの名案ってことにしといてあげる」
隣を見下ろすと、整髪料のついていないブルネットの髪が風に吹かれてふわりと揺れる。柔らかいその髪に触れると、彼は開いた本を胸に置いた。それから空いた手を俺の方へ伸ばし、俺の口元にそっと触れた。俺は彼の手を取りその指先にキスをした。
カリフラワー
DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「薔薇の花」去年のワンライ『永遠に続けば』の一年後…みたいな話ですが、そこまで関係ない話になりました。
ゆるーいバレンタインです🌹
薔薇色の日 あれが一年前? 信じられない。
僕が花屋に二本だけ残ったバラを買い占めたバレンタイン。ブラッドリーが花のない花屋でバラの代わりに観葉植物を買った日。あれから一年が経ったなんて。ブラッドリーが買ったサンスベリアは、今もまだ青々とした姿で我が家のリビングに鎮座している。そうか、もうそんなに経ったのか。危うく月日の流れに置いていかれるところだった。
「ブラッドリー、言いにくいんだけど……」
今年のバレンタインは僕が残業する番らしい。ブラッドリーを廊下の隅に呼び寄せそう伝えると、彼は明らかにしゅんとした様子で小さく頷いた。
「そっか、仕方ないよね」
「ごめんね、絶対に早く終わらせるよ」
「マーヴ、そんなこと言ったら逆に帰れなくなるよ」
5280僕が花屋に二本だけ残ったバラを買い占めたバレンタイン。ブラッドリーが花のない花屋でバラの代わりに観葉植物を買った日。あれから一年が経ったなんて。ブラッドリーが買ったサンスベリアは、今もまだ青々とした姿で我が家のリビングに鎮座している。そうか、もうそんなに経ったのか。危うく月日の流れに置いていかれるところだった。
「ブラッドリー、言いにくいんだけど……」
今年のバレンタインは僕が残業する番らしい。ブラッドリーを廊下の隅に呼び寄せそう伝えると、彼は明らかにしゅんとした様子で小さく頷いた。
「そっか、仕方ないよね」
「ごめんね、絶対に早く終わらせるよ」
「マーヴ、そんなこと言ったら逆に帰れなくなるよ」
カリフラワー
DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「日の出」何の話にもなりませんでした………
短いのでテキトーに読んでやって下さい🌅
太陽より早くテレビに映る美しい夕景。小さな島の一日の終わり。それを見て感激の言葉を呟くマーヴは、画面で輝く夕日に照らされている。
「この島では毎日こんな日の入りが見られるのか……羨ましいね」
太陽が沈む映像で紀行番組が終わった。太平洋に浮かぶ島国を巡る旅は、俺とマーヴを数年前の特別な景色へと誘う。
「俺たちが行った島は日の出が綺麗だったよね」
「ブラッドリー、あれは夕日だったよ」
二人はハネムーンを過ごした島を思い出していた。遮る物のない大海原。水平線へ沈む太陽が静かな夜を連れて来る。……いや、何か違う気がする。
「待って、あれは夕日じゃなくて朝日でしょ? 俺たちが見たのは日の出だよ」
夜の間に冷えた砂浜を踏みしめ、誰もいないビーチを二人で歩いた。ブランチの時間まで寝るつもりだった俺の肩を揺するマーヴの手の温度まで覚えている。
3020「この島では毎日こんな日の入りが見られるのか……羨ましいね」
太陽が沈む映像で紀行番組が終わった。太平洋に浮かぶ島国を巡る旅は、俺とマーヴを数年前の特別な景色へと誘う。
「俺たちが行った島は日の出が綺麗だったよね」
「ブラッドリー、あれは夕日だったよ」
二人はハネムーンを過ごした島を思い出していた。遮る物のない大海原。水平線へ沈む太陽が静かな夜を連れて来る。……いや、何か違う気がする。
「待って、あれは夕日じゃなくて朝日でしょ? 俺たちが見たのは日の出だよ」
夜の間に冷えた砂浜を踏みしめ、誰もいないビーチを二人で歩いた。ブランチの時間まで寝るつもりだった俺の肩を揺するマーヴの手の温度まで覚えている。
カリフラワー
DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「クリスマスツリー」久々のワンライ参加で緊張しています。
なんだかわけのわからない話になりましたが、ルスマヴェが二度とクリスマスを一人で過ごすことがないよう、願っています🎄
Christmas with You「クリスマスに休暇が取れた」
ブラッドリーは言った。そしてその弾むような声は止まることを知らず、彼は自らの興奮を電話越しに伝えてくれた。クリスマスを正真正銘のホリデーと呼べるなんて。クリスマスを家族と過ごせるなんて。ああ、家族っていうのはマーヴのことね。俺にも誰かと過ごす順番がまわってきたんだ。マーヴに会うために、キリストが俺の味方をしてくれたんだ。
この知らせを受けた瞬間から、僕のホリデーシーズンは始まった。とはいっても、砂漠でクリスマスの浮かれた雰囲気を楽しむ方法は少ない。仕事をせず、恋人と過ごすクリスマスがどんなものかもよくわからない。ただ日ごとに機嫌が良くなるブラッドリーの声を聞くことが、慣れないホリデームードを高めてくれる。
5957ブラッドリーは言った。そしてその弾むような声は止まることを知らず、彼は自らの興奮を電話越しに伝えてくれた。クリスマスを正真正銘のホリデーと呼べるなんて。クリスマスを家族と過ごせるなんて。ああ、家族っていうのはマーヴのことね。俺にも誰かと過ごす順番がまわってきたんだ。マーヴに会うために、キリストが俺の味方をしてくれたんだ。
この知らせを受けた瞬間から、僕のホリデーシーズンは始まった。とはいっても、砂漠でクリスマスの浮かれた雰囲気を楽しむ方法は少ない。仕事をせず、恋人と過ごすクリスマスがどんなものかもよくわからない。ただ日ごとに機嫌が良くなるブラッドリーの声を聞くことが、慣れないホリデームードを高めてくれる。
amane24063618
INFOハンぱうの森新刊R18『俺の嫁さん決定だから』のサンプルです。
くまたぬのてぱのスケベ本です。
BOOTHにて予約販売中です。https://soraamane.booth.pm/
Passは二人の誕生日 3
otoson
DONE2023年12月15日、あつまれ!ハン&ぱうの森での展示物今回はハン&ぱうの出会い編ということで、ルスとてらが出てくるところまで書けなくてすみません。
続きはオンイベ後に頑張ります。
注:ハンとぱうがわちゃわちゃしていますが、この二匹はカプではありません。ルスとてらが登場する未来にルスハンとてらぱうになるのです。
パス:fから始まる英字7文字 3194
カリフラワー
MENU12/17新刊サンプルです。『今日の同棲ルスマヴェ』ツイート群をSSにしたものの第1巻です。(来年作る予定の『同棲ルマ』ツイログ本とは別物になります)・『Past Ties, Present Love / The Diary of Roosmav 1』
・A5/62ページ/全年齢向け
・400円(予定)
・ほぼすべて書き下ろし
本になっても変わらず低ハードルでご覧ください。
12/17新刊サンプル3※連続した日々の記録ではなく、ある一日を日付を特定せず抜き出したもの(という設定)です。
※二人の薄い設定としては、ルスはノースアイランドでトップガンの教官をし、マーヴは退役後乗り物の知識と趣味が高じて車やバイクの修理店でバイトしている(免許とか取りそうだし…)…みたいな感じです。
※上記の設定は完全に筆者の趣味であり、設定を無視しても問題なく読み進められる内容になっていますので、どうしても二人の設定が気になる!という方はご参考までにどうぞ…笑
↓以下本文↓
―マーヴとの生活は、言ってしまえばとりとめのないものだ。愛する人と生活しているからといって、毎日重大なことが起こるわけではない。ただ、何も起きない日にもマーヴはここにいて、何も始まらず何も終わらない日々にマーヴという唯一の奇跡が光るのだ。
18876※二人の薄い設定としては、ルスはノースアイランドでトップガンの教官をし、マーヴは退役後乗り物の知識と趣味が高じて車やバイクの修理店でバイトしている(免許とか取りそうだし…)…みたいな感じです。
※上記の設定は完全に筆者の趣味であり、設定を無視しても問題なく読み進められる内容になっていますので、どうしても二人の設定が気になる!という方はご参考までにどうぞ…笑
↓以下本文↓
―マーヴとの生活は、言ってしまえばとりとめのないものだ。愛する人と生活しているからといって、毎日重大なことが起こるわけではない。ただ、何も起きない日にもマーヴはここにいて、何も始まらず何も終わらない日々にマーヴという唯一の奇跡が光るのだ。
カリフラワー
MENU12/17の新刊の書き下ろし部分サンプルです。話のタイトルは『Summer Rain』です。マーヴがルスと一緒に暮らす意思を告げる話です。
↓以下新刊の詳細↓
・『Rapture』
・文庫サイズ/330ページ程度
・全年齢向け
・900円(予定)
・web再録中心、書き下ろし2本収録
ご参考になれば幸いです🐓🐺
本になっても、どうか変わらず低ハードルでご覧ください。
12/17新刊サンプル2異常気象のためか、年を追うごとに太陽の光が鋭くなっている気がする。砂漠に住んでいるのは自分の選択ではあるが、針を刺すような日差しは勘弁してほしい。
しかし愛機のメンテナンスはどんなに暑くてもやめられない。手洗い場では、パンチングボードに留められた写真が乾いた風にはためく。ブラッドリーの愛車、ブラッドリーの昼寝姿にブラッドリーの笑顔。隙間なく重ねられたそれらの写真は、彼が来るたび増え続ける。
写真の数は僕とブラッドリーの関係を確実なものにはしてくれない。だけど一番上に貼り付けられた真新しい一枚に写る僕たちは、正直言ってかなりイケてると思うんだ。
「そろそろ古い写真はどこかに保管しておかないとな」
漏れる独り言。独りで生きていればこうもなる。
3262しかし愛機のメンテナンスはどんなに暑くてもやめられない。手洗い場では、パンチングボードに留められた写真が乾いた風にはためく。ブラッドリーの愛車、ブラッドリーの昼寝姿にブラッドリーの笑顔。隙間なく重ねられたそれらの写真は、彼が来るたび増え続ける。
写真の数は僕とブラッドリーの関係を確実なものにはしてくれない。だけど一番上に貼り付けられた真新しい一枚に写る僕たちは、正直言ってかなりイケてると思うんだ。
「そろそろ古い写真はどこかに保管しておかないとな」
漏れる独り言。独りで生きていればこうもなる。
カリフラワー
MENU12/17の新刊の書き下ろし部分サンプルです。話のタイトルは『Mav or Pete』です。マーヴとピート、どっちで呼ばれたい?という軽い話。
↓以下新刊の詳細↓
・『Rapture』
・文庫サイズ/330ページ程度
・全年齢向け
・900円(予定)
・web再録中心、書き下ろし2本収録
ご参考になれば幸いです🐓🐺
本になっても変わらず低ハードルでご覧ください。
12/17新刊サンプル1この世には、〝究極の二択〟というものがある。
飼うなら犬か猫か。休暇を過ごすなら山か海か。今日の夕食はピザかタコスか。それぞれはっきりと答えを持つこともあれば、どちらとも選び難いこともある。そしてルースターも、ある二択において答えを出せずにいた。
「マーヴ」
「なんだい?」
「……ピート」
「へ?」
庭の草花に水を撒いていたマーヴェリックが耳に飛び込んだ単語に反応し振り返った。
「マーヴ、ホースこっち向いてる!」
ルースターは自分に向けられた水しぶきを小走りで避けた。陽を受けて光の粒となった水滴の向こうで、マーヴェリックはいまだ目を瞬かせている。
「ああ、ごめん……今、僕のことピートって呼んだ?」
「うん、呼んだ」
2662飼うなら犬か猫か。休暇を過ごすなら山か海か。今日の夕食はピザかタコスか。それぞれはっきりと答えを持つこともあれば、どちらとも選び難いこともある。そしてルースターも、ある二択において答えを出せずにいた。
「マーヴ」
「なんだい?」
「……ピート」
「へ?」
庭の草花に水を撒いていたマーヴェリックが耳に飛び込んだ単語に反応し振り返った。
「マーヴ、ホースこっち向いてる!」
ルースターは自分に向けられた水しぶきを小走りで避けた。陽を受けて光の粒となった水滴の向こうで、マーヴェリックはいまだ目を瞬かせている。
「ああ、ごめん……今、僕のことピートって呼んだ?」
「うん、呼んだ」
カリフラワー
DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「お菓子」「悪戯」ハロウィン話を一つは書いてみたかったので書きましたが、全然ハロウィンっぽくない話になりました。仮装すらしてません。これが私のハロウィンです。
Treat me like a Halloween candy 小さないたずらおばけが集う日。外からは、いたずらもお菓子も大好きなおばけたちの楽しげな声が聞こえる。
「マーヴ、これで全部だっけ?」
ブラッドリーは彼らの襲来に備え、キッチンにお菓子を並べていた。恐ろしいおばけたちのいたずらを防ぎ、ご機嫌に帰ってもらうための毒々しい色のお菓子たち。少し前からブラッドリーはあれこれと買い集めていた。紫色やオレンジ色のマシュマロ、真っ黒なチョコレートクッキー、おばけや目玉の形のグミ、どれも同じ味がしそうなハロウィンカラーのジェリービーンズ。
「たぶん、それで全部だと思うよ」
「マジ? もっと買ったと思ってた……やばいな、足りないかも」
「だから言ったろ、ハロウィン用のお菓子はつまみ食いするなって」
4916「マーヴ、これで全部だっけ?」
ブラッドリーは彼らの襲来に備え、キッチンにお菓子を並べていた。恐ろしいおばけたちのいたずらを防ぎ、ご機嫌に帰ってもらうための毒々しい色のお菓子たち。少し前からブラッドリーはあれこれと買い集めていた。紫色やオレンジ色のマシュマロ、真っ黒なチョコレートクッキー、おばけや目玉の形のグミ、どれも同じ味がしそうなハロウィンカラーのジェリービーンズ。
「たぶん、それで全部だと思うよ」
「マジ? もっと買ったと思ってた……やばいな、足りないかも」
「だから言ったろ、ハロウィン用のお菓子はつまみ食いするなって」
カリフラワー
DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「昼寝」同棲ルマツイートの一つを薄く伸ばして書いたのですが、既に投稿として表に出したネタなのでルール違反だったら消します。すみません。
読んでて集中できない仕上がりになりました…これこそ寝落ちしそうな出来💤
Sound of Wind, Chips, and Your Dream 昼下がり。なんとなく口寂しい時間。マーヴはガレージに篭っている。つまり今すぐお菓子を取り行けば、マーヴにバレずに小腹を満たせるということ。
今日の天気は快晴で、気温も風も心地良い。家のところどころで窓を開け、部屋の中まで風の匂いを感じる。こういう日はのんびりと過ごしたい。
「確かあの棚にアレがあったはず……」
収納場所を一ヶ所ずつ思い出しながらキッチンを目指した。そうだ、冷えた炭酸水をお供にしよう。シュガーフリーのドリンクなら大丈夫。決意してキッチンに入ると、思わぬ先客がいた。
「あれ、マーヴ? ここにいたん……あ、」
見るとマーヴはキッチンカウンターに突っ伏して眠っている。思わず言葉が途切れ、足もぴたりと止まった。ガレージにいると思ってたのに。どうやらマーヴを起こさないようにしておやつを用意するしかないらしい。慣れてはいるが、やはり緊張はする。目当ての棚はマーヴの真後ろにあり、ぐるりとカウンターを回り込まなければならない。そっとマーヴに近づき今一度様子を確認すると、彼は小さな寝息を立てている。
3328今日の天気は快晴で、気温も風も心地良い。家のところどころで窓を開け、部屋の中まで風の匂いを感じる。こういう日はのんびりと過ごしたい。
「確かあの棚にアレがあったはず……」
収納場所を一ヶ所ずつ思い出しながらキッチンを目指した。そうだ、冷えた炭酸水をお供にしよう。シュガーフリーのドリンクなら大丈夫。決意してキッチンに入ると、思わぬ先客がいた。
「あれ、マーヴ? ここにいたん……あ、」
見るとマーヴはキッチンカウンターに突っ伏して眠っている。思わず言葉が途切れ、足もぴたりと止まった。ガレージにいると思ってたのに。どうやらマーヴを起こさないようにしておやつを用意するしかないらしい。慣れてはいるが、やはり緊張はする。目当ての棚はマーヴの真後ろにあり、ぐるりとカウンターを回り込まなければならない。そっとマーヴに近づき今一度様子を確認すると、彼は小さな寝息を立てている。
カリフラワー
DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「夏の終わり」夏の終わりに焦り出すルスの話🐓
なんだかんだで色々な"夏らしいこと"を経験している二人です。
サマー・タスク「ねえ、もう夏終わるよ!」
ブランチが並ぶダイナーのテーブルで、マーヴは何の前置きもなくそう口にした俺の声に目を丸くした。そのまま彼は周囲のテーブルに視線を巡らせ、他の客に俺の渾身の叫びが聞こえていないかと確認して曖昧に答えた。
「そうだね……いや、そうかな?」
「どっち?」
「そうかな、の方」
それから片手にフォークを持ち、サーモンのサラダを飲み込みながら窓の外を指し示す。
「ブラッドリー、外を見て。こんなに暑いんだ、まだ終わったりしないよ」
「そんなこと言ってたら知らないうちに置いてかれるよ」
「誰に?」
「夏に」
マーヴは口を薄く開け、わけがわからないとでも言いたげな視線を俺に向けた。そういう人が一番夏に置いていかれちゃうんだよ。
3728ブランチが並ぶダイナーのテーブルで、マーヴは何の前置きもなくそう口にした俺の声に目を丸くした。そのまま彼は周囲のテーブルに視線を巡らせ、他の客に俺の渾身の叫びが聞こえていないかと確認して曖昧に答えた。
「そうだね……いや、そうかな?」
「どっち?」
「そうかな、の方」
それから片手にフォークを持ち、サーモンのサラダを飲み込みながら窓の外を指し示す。
「ブラッドリー、外を見て。こんなに暑いんだ、まだ終わったりしないよ」
「そんなこと言ってたら知らないうちに置いてかれるよ」
「誰に?」
「夏に」
マーヴは口を薄く開け、わけがわからないとでも言いたげな視線を俺に向けた。そういう人が一番夏に置いていかれちゃうんだよ。
カリフラワー
DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「アイスクリーム」「思い出」あの味を求める2人の話🍦
アイスクリームで汚れた子どもってなんて幸せなんだろうと思います…可愛らしいよね…
夏の味 二人の生活を始めて最初の夏。玄関先で漂う水蒸気の熱さに、ブラッドリーは水を撒いたことを後悔していた。暑さに堪える気配すらない青々とした雑草は、しなやかな葉で僕の握力に抵抗した。二人の額や背を伝う水滴ははたして汗なのか、ブラッドリーが撒いた時に浴びたぬるい水なのか、もはや何もわからなかった。
「ブラッドリー、これ以上は無理だ、中へ入ろう」
「うん、俺ももう限界…」
力を振り絞りドアを開けた。リビングからの涼やかな空気が玄関にまで流れていて、二人とも思わず大きく息を吐き出した。とにかくまずは濡れた身体を拭きたい。残った気力でタオルを取り戻って来ると、髪までくったりと濡れたブラッドリーはいまだ玄関で立ち尽くしている。
3547「ブラッドリー、これ以上は無理だ、中へ入ろう」
「うん、俺ももう限界…」
力を振り絞りドアを開けた。リビングからの涼やかな空気が玄関にまで流れていて、二人とも思わず大きく息を吐き出した。とにかくまずは濡れた身体を拭きたい。残った気力でタオルを取り戻って来ると、髪までくったりと濡れたブラッドリーはいまだ玄関で立ち尽くしている。
カリフラワー
DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「勝負」本編のビーチフットボールを思い出して読んでください🏖️🏈
マーヴの彼氏になることは、世界中の人たちとの勝ち抜き戦✊💥🔥(byルス)
一人勝ち「結局あれって、どっちのチームが勝ったんだっけ?」
その場の全員が手を止めた。質問者のフェニックスはビールのボトルをテーブルに置き、一同の表情をランダムに確かめた。俺もつられて周囲と目を合わせると、全員が"あれ"をはっきりと思い出していた。実際の勝負から一年ほど経っているが、いまだに自分を含めたこの場の全員の答えが一致している。
「さあ…?わからないままだよね」
最初にその答えを口にしたのはボブだった。あの任務から時が経ち、初めに"同窓会"をやろうと提案したのもボブだった。彼の手は相変わらずカップからナッツを取りこぼしている。
「最後の方はただひたすら声出して走ってたな」
3678その場の全員が手を止めた。質問者のフェニックスはビールのボトルをテーブルに置き、一同の表情をランダムに確かめた。俺もつられて周囲と目を合わせると、全員が"あれ"をはっきりと思い出していた。実際の勝負から一年ほど経っているが、いまだに自分を含めたこの場の全員の答えが一致している。
「さあ…?わからないままだよね」
最初にその答えを口にしたのはボブだった。あの任務から時が経ち、初めに"同窓会"をやろうと提案したのもボブだった。彼の手は相変わらずカップからナッツを取りこぼしている。
「最後の方はただひたすら声出して走ってたな」
あじ@ajf1414
DONE『なあマーヴいい加減にしろ』R18ルースターが1986年にタイムスリップして生意気なマーヴにチンイラしたり暴走したり可愛い可愛い言ったりグース亡くしたばかりのマーヴと…な話です。
※弊社のルースターはヤンデレ(?)属性があります。 6
カリフラワー
DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「夢」ルスがいない方が夢、ルスがいる方が現実!👩🏻🏫
歯磨く前に飲み物飲めるタイプなので2人にも飲ませた☕️
君のいない夢 これは夢だ。
東海岸にある、ブラッドリーの単身者用の住まい。部屋の中は整然としている。鍵とキャップが玄関に置かれ、外を散々歩いた靴は玄関マットの上。一人暮らしにはちょうど良い、狭くも広くもない部屋。
僕は部屋を歩き回る。ブラッドリーはいない。テレビをつけるも、音が聞こえない。音量を上げても電源を入れ直しても、この夢には音がない。
「なんだよもう」
悪態をつく自分の声だけは聞こえる。
辺りを見回すと、人が住んでいる気配を感じない。ソファの上で丁寧に畳まれたTシャツや中身が入っていないマグカップ、未開封のチップスなど、所々に置かれているのは全てブラッドリーの私物だ。だけど肝心の、ブラッドリーの存在を感じることが出来ない。贔屓の球団のロゴが描かれたTシャツは、何度も彼が着ている姿を見た。だがそれを広げると明らかに新品で、繰り返す洗濯に耐えかね剥がれ始めたプリントや色褪せたボロボロのタグが見当たらない。
3831東海岸にある、ブラッドリーの単身者用の住まい。部屋の中は整然としている。鍵とキャップが玄関に置かれ、外を散々歩いた靴は玄関マットの上。一人暮らしにはちょうど良い、狭くも広くもない部屋。
僕は部屋を歩き回る。ブラッドリーはいない。テレビをつけるも、音が聞こえない。音量を上げても電源を入れ直しても、この夢には音がない。
「なんだよもう」
悪態をつく自分の声だけは聞こえる。
辺りを見回すと、人が住んでいる気配を感じない。ソファの上で丁寧に畳まれたTシャツや中身が入っていないマグカップ、未開封のチップスなど、所々に置かれているのは全てブラッドリーの私物だ。だけど肝心の、ブラッドリーの存在を感じることが出来ない。贔屓の球団のロゴが描かれたTシャツは、何度も彼が着ている姿を見た。だがそれを広げると明らかに新品で、繰り返す洗濯に耐えかね剥がれ始めたプリントや色褪せたボロボロのタグが見当たらない。
カリフラワー
DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「指輪」ド定番、な割にクオリティ低い💍
最初にどんな話か書いちゃってるので、引き返そうと思えばすぐ引き返せます。
小さな誓い「マジかよ…」
やってしまった。結婚指輪を失くした。
初めに指輪がないと気がついたのは今朝、基地に着いた車中だった。仕事中は指輪を外し貴重品と共に置いておくのだが、さあ指輪を外そうと薬指に触れた時、すでにそこにはあるはずの指輪が無かった。運転席からあちこちに手を伸ばし手当たり次第車内を引っ掻き回したが、やはり見つからない。遅刻するわけにもいかず始業時間前には車内の捜索を切り上げたが、基地内でもあらゆる部屋や隙間を探し回り、虚しい終業時間を迎えたのだった。
どうして。どうして俺が。よりにもよって、散々マーヴに"指輪は絶対失くさないで"と繰り返してきた俺が。真新しい指輪は数ヶ月経っても輝きを放ち、2人の新生活を明るく照らしていた…はずなのに。
2718やってしまった。結婚指輪を失くした。
初めに指輪がないと気がついたのは今朝、基地に着いた車中だった。仕事中は指輪を外し貴重品と共に置いておくのだが、さあ指輪を外そうと薬指に触れた時、すでにそこにはあるはずの指輪が無かった。運転席からあちこちに手を伸ばし手当たり次第車内を引っ掻き回したが、やはり見つからない。遅刻するわけにもいかず始業時間前には車内の捜索を切り上げたが、基地内でもあらゆる部屋や隙間を探し回り、虚しい終業時間を迎えたのだった。
どうして。どうして俺が。よりにもよって、散々マーヴに"指輪は絶対失くさないで"と繰り返してきた俺が。真新しい指輪は数ヶ月経っても輝きを放ち、2人の新生活を明るく照らしていた…はずなのに。
カリフラワー
DONEマ右ワンライ/ルスマヴェ/お題「キス」キスの日に乗じる安定のルス🐓
ルスマヴェよ、何が起きてもお互いの元へ帰ってくれ、そしてキスを重ねてお互いの存在を実感してくれ…
I’m home, baby ドタバタと響き渡る足音。音が聞こえるのは玄関からで、足音の主は体格が良いようだ。そして、かなり急いでいる。
マーヴェリックはキッチンカウンターに座って近づく足音を聞きながら、頬杖をついて笑い目を閉じた。足音にも勝る大きな声は、その主がマーヴェリックの元へ辿り着くか、マーヴェリックが返事をするまで彼を呼び続けた。
「マーヴ、マーヴ!」
キッチンへと飛び込んだ足音の主・ルースターは、荷物も下ろさずマーヴェリックの向かいでカウンターに身を乗り出した。その肩を上下させながら。
「…息があがってるけど、ちゃんと車を運転して帰ってきたんだよね?」
「え? うん、そうだけど」
はあ、と最後の大きな一息をついて、ルースターはようやく荷物を下ろした。
2838マーヴェリックはキッチンカウンターに座って近づく足音を聞きながら、頬杖をついて笑い目を閉じた。足音にも勝る大きな声は、その主がマーヴェリックの元へ辿り着くか、マーヴェリックが返事をするまで彼を呼び続けた。
「マーヴ、マーヴ!」
キッチンへと飛び込んだ足音の主・ルースターは、荷物も下ろさずマーヴェリックの向かいでカウンターに身を乗り出した。その肩を上下させながら。
「…息があがってるけど、ちゃんと車を運転して帰ってきたんだよね?」
「え? うん、そうだけど」
はあ、と最後の大きな一息をついて、ルースターはようやく荷物を下ろした。