chocolat et vanille 寒空の下、二人の少年が手を繋いで街歩きをしている。一目見ただけでは見分けがつかないほどよく似た姿のふたりの少年の内、ひとりは片手にカップを持っていた。街で人気のスイーツスタンドのもので、中にはクッキーを添えたアイスクリームが二個盛られていた。
お揃いの服、色違いのマフラーを身に着けた愛らしい少年たちを、すれ違う人々は皆振り返るが二人は気にも留めない様子でてくてく歩いている。
そうして、少年たちは川辺のベンチへやってきて二人してすとんと腰かけると、顔を見合わせ笑みを浮かべた。
「「北国生まれなら、凍えそうな冬でもアイスクリーム!」」
「粋じゃな」
「粋じゃのう」
二人の少年―スノウとホワイトは、中央の国で任務をこなした後に寄った栄光の街で長めの自由時間をもらい、久しぶりの街歩きでご機嫌だった。このところは依頼、訓練、調査ばかりであまり楽しい外出がなかったのだが、今日は運良く用事が早々に住んだので、少し遊んでいきたいと賢者にわがままを言って聞いてもらったのだ。賢者と今回同行した他の魔法使いたちも、今ごろは街のどこかでなにかを楽しんでいることだろう。
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