恋焦がれサマープディング◇
「ホップと付き合ってるの? って最近よく聞かれるんだけど、よくわかんないんだよね」
ソニアは自分を褒めたくなった。「ここ研究所(しょくば)なんですけど?」「あたしも居るんですけど」「それ、本人に聞いちゃうんだ!?」という瞬時に脳内を駆け巡った叫びを口には出さなかったからだ。
ちょっと確認したいことがあって、と差し入れを片手に研究所を訪れたユウリ。天気の話をする程度の気軽さで繰り出した言葉で、場の空気が一瞬固まるものの、当のユウリは気付く様子がない。
ここが研究所であることに関しては、まぁ、休憩時間であること、そして差し入れに頂いたユウリママお手製のサマープディングに免じて許しましょう。
しかしながら、ホップ本人もいる場でいきなりこの話題はいかがなものだろうか。男友達の誰が気になる、とか、付き合う付き合わない、だとか少女にありがちな話題はいきなり本人に直球で蹴り込んでいくものはないはずだ。例えば同世代の女子同士の内緒話のようなそういう機会に──
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