お助け妖精は電子に棲む〈4〉〘夢じゃないの?〙
何が起こっているのだろう?
これは夢?それとも現実?
目の前に居る羽の生えた女の子。
まるでアニメから出てきた様な…
自分を電子の妖精だという、この子は…
あり得ない。
こんな事が起こるはずない。
こんな時は…
「痛い!」
自分でつねってみた頬を押さえて、わたしは叫んだ。
「あんた、何しとるん?自分つねったらそりゃ痛いで、そんなあるあるみたいな事せんでも」
妖精"いあ”がわたしの顔を覗き込む。
「だって…こんなの…」
涙目になりながらわたしはそう返した。
少し強くつねりすぎた…
「言うとくけど夢と違うよ?何ならうちに触ってみ」
いあはそう言って、身体を突き出してきた。
恐る恐る、まだじんじんする頬を気にしながら手を伸ばす。指先に当たる感触にビクついて手を引っ込める。
一度落ち着こうと、深呼吸。もう一度手を伸ばし、今度はしっかりと触れてみた。触れる。温かくはないけれど、感触が有る。
「な?夢ちゃうやろ」
「…本当だ…」
改めていあの顔を見る。薄い青が少し入った灰色の髪、白い肌、オレンジの目…よく見ると黒目がない。
だからなのか、いあの目は何処か機械的で作り物みたいに見えた。
その時、階段の下から声がした。
「伊予和、いより〜お買い物いくから荷物持ちについて来て〜」
お母さんだ。そういえば今日はスーパーの特売日、お肉やお野菜が安くなるから早めに行くって言ってたっけ…え?ちょっと待って?
「いより、居るんでしょ?」
キシっと階段を踏みしめる音。
え、もしかして上がってくる?ど、どうしよう!此処にこんな子が居たら、もし見られたら…!
わたしは部屋を見回し、目に止まったクローゼットを指差した。
「あの、こ、此処!ここに隠れて!」
お母さんがいあを見たらびっくりして心臓発作を起こすかもしれない。大変だ!