徐満「炭を切らしてしまってね、寒くて眠れないんだ」
だから君にくっつきたいんだよ、が出てこないまま、満寵はわざとらしく震える指先を見せる。それから、薄闇に浮かぶ徐晃の輪郭を盗み見た。
昼間は、徐晃に――徐晃だけに、というわけでもないのだけれど――世話を焼かれてばかりで、まるで親子か兄弟のようだとからかわれてしまった。
……閨で会えば、少しくらいは何かが変わるかもしれないと思った。
「満寵殿は子どもみたいでござるな」
徐晃の声は炉火のようにすこし低くくすぶって、満寵のところまで届く。
徐晃はそんなふうに毎回笑ってから、飛び抜けて長身の男ふたりにはあまりにも狭い寝台でごろりと横になる。寝台の軋む音が、妙に早い満寵の鼓動を掻き消した。
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