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    83_grmrs

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    【ジエンド】Shall we

    女装した少年エンドさんが可愛すぎたので描いたし書いた

    Shall we寒暖緩やかな地方、ある首都部。
     革新的な芸術を誇るその街は、別の世界から流れてきた者曰く、まるでイタリアの街並みだと言う。意匠に拘る建築は見るものを圧倒させる力を有し、またこの街の権力を象徴している。荘厳と優雅が出迎えるこの街一番の目玉、歌劇場。そこが今回の依頼を果たす場だ。
     依頼内容はダンスパーティーの潜入。毎年行われるデビュタントに現れる人物について調べてほしいと言う内容だった。こういった内容がギルドの、それも一般冒険者に回ってくるのがこの大陸の寛容さ、そして冒険者への信頼の厚さと言えるだろう。杜撰とも言えるかもしれないが。この依頼を取ったのは勿論報酬の高さに釣られて。デビュタントというのは知らないが、以前目を通した書籍曰く貴族の女子の初顔合わせのようなものらしい。ならばとフェルカを組む際に背の低い女を探したが、どうにも当てが外れてしまった。知人は先客があり、フリーは見当たらない。多様が服着て歩いてるような此処でまさかと落胆していたが……。

    ──────

     歌劇場から二、三キロ離れた郊外。日はまだ高く、しかし夜間に始まるパーティーまでにすべき準備はまだまだ多く、猶予はあまりない。身分の偽装、相応しい衣服、マナーの最終確認等々。協力している人物たちも慌ただしく動いている。ダンスもマナーもよく知らんオレのポジションは、付き人。会場内には入るが、潜入のキーパーソンとはあまり言葉を交わさない立ち位置だ。エスコート役は踊れるやつに任せている。だからこそオレ自身の準備は早々に終わり、時間を持て余してしまった。
    「あいつは……まぁまだか」
     今回の主役は髪を整え、化粧をし、ドレスで着飾り、質量の最終調整をしているところだろう。協力者の女性陣から凄まじい目力と気合が漏れていたから、今頃魂が抜けかかっているかもしれない。想像するだけで面白い。
    「とはいえ……」
     人が慌ただしく行き交う廊下や部屋に居場所はなく、かといって表通りをぶらつくわけにもいかず。出来ることは残り数時間の暇潰し。こんなことになるなら数冊本を持ってくればよかった、なんて後悔は意味がなく。さて困ったと窓を覗けば、木々の向こうで何かが光った。
     近づくほどに人気は無くなり、小道と呼べないものを分け入る頃には気配もなにも無くなる街はずれに、それはひっそりと建っていた。使われていないが整備の行き届いた外観。華美ではないが質素でもない、程よい細工が施された扉には、鍵がかかっていない。手をかければ、金属と劣化で撓んだ扉の軋む音が石造りの内部に反響した。中は存外明るかった。大きな窓と、中央のステンドグラス。木々の向こうの反射はこれだろう。その硝子に照らされる、この部屋一番の装飾。長い縦線に重なる短い横線の木製の像。多くの他世界出身の奴が知っていて、うちの世界では淘汰された宗教のシンボルが鎮座していた。おそらく此処は、それを信仰する奴が建てたのだろう。履き慣れない革靴が、よく磨かれた石の床を踏みつけるたびに余韻を持たせて木霊する。煌々とした日差しは色鮮やかな色硝子に彩色され、両脇の大きな磨り硝子からは乱反射して、淡く滑らかな光に塗り替えられている。閉められた扉の向こうでは、人々の喧騒と鳥の囁きが小さく聞こえた。几帳面に揃えられた長椅子に腰掛ければ、程よい環境が少しずつ意識を握る手を緩めさせてくる。
     まぁ、時間はまだあるからな。
     そう思った時にはもう、心地よい睡魔に逆らう気力は失せていた。

    ──────

    「…………さい、起きてください」
     声を掛けられる。いつもの口調で、いつもと違う声音で。心地よい微睡から無理矢理引き上げられ、瞼を開ける。どのくらい寝てしまったのか、西日がきつく差し込み、赤く染められた長椅子が視界に入る。その照り返しすらとても眩しく、何度かしぱしぱと瞬かせていると、頭上から再び声を掛けられた。
    「折角の衣装に皺が付いてしまいますよ」
     咎めるでもなく、呆れるでもなく、諭すそれはあいつの喋り方そのままで。あぁそうか、小さくなれば声色も変わるのか。そういえばあの時も───。
    「ほら、起きてください」
     再度の願いに観念して見上げた目に飛び込んだのは、夕日を反射して、宝石のように輝く赤と青。伸ばされ上げられた睫毛が輪郭をはっきりさせて、幼いが故に大きく見える虹彩を際立たせる。張りのある目元と頬は紅が点され、まるで恋にうつつを抜かす少女めいていた。薄く、しかし確かなふくらみのある唇は艶を足され、色味ではなくその柔らかさで視線を奪う。いつもより丁寧に手入れされた髪が、首を傾げるたびにはらはらと肩から落ちる様は、思わず指で掬いたくなる。男子らしい肩幅も、首元もうまくカバーされた服装は、どこから見てもデビューを恥じらう娘に見えるだろう。“少女”はただただ黙って見つめられる沈黙に耐えかねたのか、口を開く。
    「……あの……何か変ですか……?」
     どうやら頬は化粧だけではないようだ。何を言われるでもなく黙したのを、呆れだと受け取ったのか、背筋を伸ばして髪を直す。その仕草すら乙女のようなのは、きっとこいつ元来の純情さのせいなのだろう。
    「っはは」
     思わず笑みが溢れる。どこからどう見ても恋する少女は、それを嘲笑と受け取ったらしい。少しむくれて、でも羞恥には勝てずにそっぽを向いてしまう。
    「……笑うならちゃんと笑ってくださいよ」
     その姿すら面白く、収まらない笑いを噛み殺せば、耐えかねたのか「起こしましたからねっ」と吐き捨てて踵を返してしまった。
    「悪かった悪かったって」
     長椅子から腰を上げ埃を払えば、磨かれた床を蹴るヒールの音が止む。
    「綺麗なおじょーさん。晴れ舞台の準備はもういいのか?」
     踵を鳴らしながら近付いても振り返らないその姿すら、夕陽に溶けそうで。どんな表情をしているのかなど見なくてもわかる。
    「……ワタシの準備は終わったので。日が落ちたら向かうそうです。最終の打ち合わせが必要かを聞こうとしたら居ないんですもの」
    足を止めてしまえば、あとは残響と、少しだけこだまする会話の音だけ。肩に掛かった髪を掬う音すら響くのではないかと思うほどの静寂は、こいつの心音も伝わりそうだった。



    「なんつったっけなー……」
    「馬子にも衣装?」
    「ちげーよ、あれだ、解語の花」
    「……よくまぁそんなに女性をほめる単語が出てきますね」
    「慣れ?」
    「…………」
    「そんな眉間に寄せるなよ。しかめっ面は似合わねーって」
    「貴方がさせてるんでしょう」
    「っはは、そりゃそうだ」
    「まったく…」
    「まー流石のオレでもこのくらいの年頃には手を出さねーよ」
    「……出してくれないんですか?」
    「……してやろうか?」
    「すみません口が滑りました今からはちょっと」
    「───クッ、っはは!!!耳まで赤くしてそれはお前…っはー!!」
    「笑わないでくださいよ…」
    「っふはは、心配すんなって。出すのはこっち」
    前に回って膝をつき、手を差し出す。
    「ステップの確認、していかね?」
    「──────できるんですか?」
    「知らね。お前がやってるの見てたくらい」
    「ふふ、それじゃ確認にならないじゃないですか」
    「そりゃそうだ」
    「……人に教えるのって、自分の理解度を再確認できるんですよ」
    「ほー、じゃあちょうどいいな」
    「えぇ、ですから 踊ってくれますか?」
    「あぁ、喜んで」



    重ねられた手に唇を落とせば、夕日も相まって、”少女”を薔薇も見落とりするほど染め上がってしまった。立ち上がり抱き寄せれば、いつもは見れないつむじが眼下に来る。少しだけこけていた頬はゆるく弧を描き、鼓動を感じる位置だったのが今度は聞かせる位置になる。握り隠せるほど小さくなった手も、ともすれば”少女”が少しだけ早く大人ぶるために履いたようないつものヒールも、ほんの少し膨らみを作った胸元も、ふわりと膝をくすぐるスカートも、此処に立たなければわからなかった。
    「惜しいことしたな」
    練習風景を見ていようと着飾る様子を見ていようと感じなかったものがふつふつと湧き上がる。
    「何がですか?」
    ステップのために手を握りなおしながら仰ぎ見る”少女”は、慣れない格好の自分に何か不備があるのかと眉根を寄せた。
    「んーにゃ、なんでもねー。
     それより早く教えろよ。日が暮れんぞ」
    「おかしな人ですね……。それじゃ、まずは基本のステップを───」

    この依頼が終わったら少し学ぶのも良いかもしれない。
    何かに使えるように、どこにでも入り込めるように。
    もしも次があるならば、この位置を譲らなくて良いように。





    ──────
    ●フェルカ = グループ (ゲーム内固有名詞 主に四人組)
    ●女装エンドさんが可愛いから華やかな社交界で踊りたかったけどJがそういうダンス踊れないから諦めた。ガチ潜入まで書きたかったけどたぶん終わらないからおしまい!
    ●このあと曲がないからエンドさんがテンポ取りながら基本ステップを教えたり、その間に依頼とはいえ違う人と密着して踊ってもいいんですかってちょっとだけ拗ねて訊いてたり、ワンフレーズだけきれいに踊れてくるくる回ってるとこ書きたかったけどオチが思い浮かばなかったのでおしまい!!
    ●どれだけ外野になろうと何も感じなかったし報酬もあるしはよ終われくらいにしか思ってなかったのに当事者の視点に立ったら結構もったいないことしてたな?と分かったJと振り回されっぱなしのエンドさん(TSすると死に戻るときに元のエンドさん♂に戻ってしまう)(少年になるくらい質量削ってからそのまま女装)(質量を奪って別途保管すれば全体質量はそのまま)おしまい!!!


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