グレシル(もしもゴリアテさんのままだったらなグレゴリ)時間軸:勇者達が港町へと向かう前
「ゴリアテ、本当にいいのか?」
「大丈夫ですグレイグ様。兵を割いてまでソルティコ守りを増やすことは、良い判断とは思えません」
「……そうか」
「ご理解頂き感謝致します」
奴らの足跡を探しつつ訪れたのは、第二の故郷と言っても過言ではないソルティコ。ここには誰にも譲ることが出来ない……俺が何よりも愛する者が存在している。
名はゴリアテ。雄々しい名とは裏腹に中性的な……女性と見間違えるくらいの美貌を携えた美しい騎士だ。穏やかで物腰も柔らかく、昔から綺麗な心を持つ。
女性だけではなく、男からも熱烈な支持かあるゴリアテ。心だけではなく身体も狙われていることに気付いているのだろうか?俺もその男どもの一人ではあるが、奴らとは根底にある想いが違う。
常に目を光らせゴリアテに近づく男を秘密裏に排除したことは数知れず。それは俺だけではなく他の男共も同じだろう。……いや、他人のことはどうでもいいことだ。
「俺は理解したとは言っていないだろう」
「……グレイグ様」
「二人の時は様を付けるなと言ってるだろう」
「もぅ……」
俺達は邸の応接間にて二人だけで、話を進めている。扉一枚隔てた外にセザール殿が控えているだろうが、視界に映るのはゴリアテだけだ。
「師匠がいない今、お前の身に何かしら起きてしまえば……俺は」
「私達だけでは悪魔の子に負けてしまうと?」
「そこまでは言っていない。だが少ないながらも奴らの戦力は並の兵士や騎士では太刀打ち出来ぬ」
「……そこまで強いのですか」
「崖から飛び降りても尚生きていて、俺の追跡から逃れた男だ」
「悪魔の子と呼ばれるだけあって悪運が強いのですね」
「お前に傷一つでも着いてしまえば、俺は奴だけではなく俺自身をも許す事が出来ないだろう」
「流石にそんなことはないと思いますが……」
何を言っているのかと上品に笑うゴリアテの美しい顔が眩しい。あぁ、何て綺麗で愛らしいのだ。そう思った刹那、俺は無意識にゴリアテの側へと体を動かしていた。
「どうしたのです?」
「……本当に、綺麗だ」
「え、あの、ちょっと」
「ゴリアテ……」
紅い果実のように瑞々しく美しい唇に触れる。ふっくらと柔らかくて、美味そうだ。
白鼠の輝く瞳が、俺を、俺だけを映す。なんて心地良い。優越感が満たされていく。独占欲が増幅していく。
「グ、グレイグ」
「……してる」
「い、今何てーーーー」
これ以上待つことは出来ず、俺はその果実を喰らった。自分のソレを重ね、舌を這わし、丹念に味わう。次なる獲物は唇の先。求めるのは当然だった。
「ん、ん、ふ、ふぅ」
「は、は、ふ、ん」
ぴちゃ、ぐちゅと部屋に響く淫靡な響きが、俺の欲を休息に高めていく。身体がゴリアテを求めている。中を俺で満たし身体中に俺の印を刻みたいと。
「ん、んん!ま、あ、ぐ、れ」
「はぁ、待たない、ゴリアテ、なぁ」
ゴリアテの美しい肢体を堪能しようと纏う青に手を掛けようとした、その時だった。
「グレイグ様……??ゴリアテ様に何をしていらっしゃるのでしょうか……??」
熱に浮かれた夢見る脳が一気に現実に引き戻される。この声は、この声はーーーー。
「セ、ザール殿」
「お茶をお持ちしたのですが……ゴリアテ様にな に を し て い ら っ し ゃ る の で し ょ う か ??」
「こ、これはですね」
「あ、あ……ぐれいぐ……は、ぁ」
「……坊っちゃん、このセザールが今目の前の魔物を葬り致します」
「ち、ちが」
……ここから先は思い出さしたくないので、割愛させて頂く。