夜空に半月が浮かんでいる。
十日夜、というのだろうか?
三日月とも満月とも違う、その中間くらいの月齢のそれは、なんとも中途半端な月だと思う。
かく言う私も中途半端だ。目がよく見えないくせに、感覚が鋭いおかげで問題無く見えているように振る舞ってしまい誤解を生む。どっち付かずの自分のようだと、この月を見ながら思うのだ。
「いい月ですね」
隣りの不死川からそんな言葉が聞こえてきた。残業帰りに二人、家路に向かう途中にある公園に差し掛かった時だった。
返答しないでいると、
「……ああ、夜空に雲ひとつなくて、月の光がキレイなんですよ。ちょうど満月と三日月の真ん中くらいなのかな。半分くらいのお月様でね」
見えないかもと気を遣ってくれ、月の様子を説明してくれた。目を眇めると微かに見えた。流石にちょうど半分なのかはわからなかった。
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