奈可藍大哥要娶我(後編)「もしかしてその後哥哥の膝の上にのせられて、肉まんを一口ずつちぎって食べさせられた?」
「よくわかったな。茶は口移しで飲まされた」
「うわ聞きたくないよそんなの」
懐桑はああ恐ろしいとばかりに首を振った。
サングラスをかけた二人組は今運河のそばにあるイタリアンレストランのテラス席に座っていた。
初秋の透き通った陽射しがテラス席へ降り注いでいるが、川風が吹いているのでそう汗ばむことはない。
シーフード料理が売りの店なので、席に着くなり酒好きの二人は上等な白ワインを開けた。今テーブルの上にあるボトルは二本目だ。
江澄から先日のお詫びとお見舞いをしたいと連絡したところ、懐桑が「前から気になっていたんだよ」とこの市内で人気のレストランを指定したのだ。
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