Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    Haruto9000

    @Haruto9000

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 22

    Haruto9000

    ☆quiet follow

    2017年から書いていた「クー・フーリンが女性だったら」妄想をこっちにも載せます。いずれオル槍に至る予定。
    ※FGO第1部のみの情報で書いていたので、設定ズレなどはご容赦ください。

    【あらすじ】
    マスター(ぐだ子)は、ランサークラスの英霊召喚を試みる。
    現れたのは、ケルトの英雄クー・フーリン。
    ところが、カルデアにいるクー・フーリンたちと違い、新たにやってきた英雄は"女性"で…!?

    #オル槍
    spearWithCurvedCross-blades
    #女体化
    feminization

    ミラーリング #1(カルデア編) じゃら、とマスターの手に抱えられた聖晶石が音を立てる。
    「じゃあ、いくよ、マシュ」
    「はい、先輩!」
     そばでは、祈るように両手を組んだマシュが固唾を飲んで見守っている。
    「今度こそ……今度こそ麻婆豆腐以外のものを召喚するからね」
    「はい、先輩!」
    「毎日毎日フリクエを回って……長かった……ようやくここまで……」
    「はい、先輩! 今度こそ、きっと大丈夫です! 英霊のどなたかが、先輩の呼びかけに応えてくれますよ!」
    「やっと集めたこの血と汗と涙の結晶……頼むよ! おりゃ!」
     マスターは、虹色にきらめく石を召喚サークルに投げ入れた。

     くあ、とオルタナティブのクー・フーリンはあくびをした。
     血走った目で「石を集める」と言ったマスターに付き添い、数時間前までレイシフト先でひたすら獲物を狩っていたのだ。帰ってきてからはずっと寝ていたのだが、まだ眠い。
     廊下をだらだらと歩いていると、向こうからスカサハとプロトタイプのクー・フーリンが一緒に歩いてくるのが見えた。
    「あっ、オルタのオレ!」
     プロトが手を振る。適当に「おう」と返事をすると、スカサハが顔を覗き込んできた。
    「ふむ、随分と気が抜けた顔をしているな」
    「さっきまで寝てたからな」
     ふあ、と再びあくびをする。目に滲んだ涙を雑にぬぐう。
    「ケルトの戦士たるものが、たるんどるぞ。どれ、今からこちらのセタンタに修行をつける予定だが、おまえも一緒に鍛えてやろう」
    「いや、俺はいい」
    「えーなんでだよ! 一緒に手合わせしようぜ!」
    「キャスに呼ばれてる」
    「へ、年食ったオレ? なんで?」
    「知らねえ。なんか気になることがあるとかなんとか──」

    「どええええええええええええええええ!!!???」
     
     響き渡った大声に、三騎の顔つきが一瞬で変わる。
    「今のは……」
    「マスターの声だ」
     スカサハがいち早く廊下を蹴った。その後について、プロトとオルタも走り出す。
    「敵襲か?」
    「それにしちゃ警報は鳴らなかったけど」
    「マスターは召喚室にいたはずだが……ランサークラスの英霊を呼び出したい、などと言って──」
     目にも止まらぬ速さで三騎は召喚室にたどり着いた。空気にたゆたう魔力の濃度に、サーヴァントが召喚されたことを察する。
    「マスター! 何があった!」
     煌々と光が漏れる部屋にスカサハが乗り込む。
    「師匠! おまえらも」
    「キャスターのセタンタ……? どうしておまえがここに。マスターは?」
    「オレもあんたらと同じ理由。異変を感じて、それで──」
     オルタのクー・フーリンは、ぐいと首を伸ばして部屋の中を覗き込んだ。
     召喚サークルの前にマスターとマシュが立ち尽くしている。どうやら、マスターたちは無事だったらしい。では、いったい何が?
     召喚サークルから光が漏れ出している。サークルの中央に人影が立っていた。間違いない。英霊だ。
    「よう!」
     ドン! と何かが床に打ち付けられ、オルタは目を細めた。棒のようなものだ。いや、あれは……槍?
    「サーヴァント、ランサー! 召喚に応じ参上した!」
     威勢のいい声とともに、人影は召喚サークルから足を踏み出した。光が薄れていき、姿がはっきりと見えてくる。
    「嘘だろ」
     隣でキャスターがつぶやいた。オルタも自分の目を疑う。
     英霊は、目を丸くしたまま動けないでいるマスターを見下ろすと、目線を合わせるように体を折り曲げてニカッと笑った。
    「ま、気楽にやろうや、マスター!」
     硬直したマスターが、ちらりと目線を下方に向け、そして目の前の顔に戻す。
     あまりにも見覚えのある赤色の瞳。さらりとした青い髪。どこかで見たことがあるような霊装。
    「あなた、クー・フーリン?」
    「なっ、オレまだ真名は名乗ってねえぞ!? え、なんでわかったんだよ。だって今までの聖杯戦争じゃ、そんなすぐには──」
     言いかけて、ランサーのクー・フーリンはキャスターに気づいた。あれ? という顔になる。その隣のオルタに視線が移る。そして、その隣のプロトにも。
     オルタは言葉もなくその姿を見つめた。
     色こそ同じだが、自分たちよりも長いまつ毛。赤い唇。そして何より、存在するはずのない、胸元の膨らみ。
     マスターがポツリとつぶやく。
    「……女?」

     カルデアに召喚されたランサークラスのクー・フーリンは、女性だったのである。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    Haruto9000

    DONE「ランサーのクー・フーリンが女性だったら」妄想、第4話。
    ※FGO第1部のみの情報で書いていたので、設定ズレなどはご容赦ください。

    【あらすじ】
    徐々にカルデアに溶け込み始めた、女性のクー・フーリン。
    プロトタイプやキャスターの自分とはなじんだが、オルタナティブの自分とは、いまいち馬が合わない。
    ある日、女王メイヴが彼女をお茶会に誘う。
    ミラーリング #4(カルデア編) 初めて会ったときは無邪気な娘。
     頰を林檎のように赤くして、仲間と競い、目をきらきらと輝かせる姿は人生の喜びに満ちていた。
     次に会ったときは目に憂いを浮かべた戦士。
     無礼に私の手を振り払い、私の野心を薙ぎ倒していく狗が憎くて憎くてたまらなかった。
     けれど、その獰猛な瞳の奥にどうしようもない孤独を見つけたとき、私は生まれて初めてこんなにも──一人の人間が、彼女が欲しいと思ったの。

    ✳︎✳︎✳︎

    「性別の違う自分?」
     アーサーはぱちりと瞬きをした。隣に座るアルトリアの顔を見、またマスターの顔を見る。
    「そう。君は色んな世界を渡り歩いてるんだろう? そういう事象に詳しくないかなと思って」
     ダ・ヴィンチの言葉に、アーサーは困ったように首をかしげた。
    9734

    Haruto9000

    DONE2017年から書いていた「クー・フーリンが女性だったら」妄想をこっちにも載せます。いずれオル槍に至る予定。
    ※FGO第1部のみの情報で書いていたので、設定ズレなどはご容赦ください。

    【あらすじ】
    マスター(ぐだ子)は、ランサークラスの英霊召喚を試みる。
    現れたのは、ケルトの英雄クー・フーリン。
    ところが、カルデアにいるクー・フーリンたちと違い、新たにやってきた英雄は"女性"で…!?
    ミラーリング #1(カルデア編) じゃら、とマスターの手に抱えられた聖晶石が音を立てる。
    「じゃあ、いくよ、マシュ」
    「はい、先輩!」
     そばでは、祈るように両手を組んだマシュが固唾を飲んで見守っている。
    「今度こそ……今度こそ麻婆豆腐以外のものを召喚するからね」
    「はい、先輩!」
    「毎日毎日フリクエを回って……長かった……ようやくここまで……」
    「はい、先輩! 今度こそ、きっと大丈夫です! 英霊のどなたかが、先輩の呼びかけに応えてくれますよ!」
    「やっと集めたこの血と汗と涙の結晶……頼むよ! おりゃ!」
     マスターは、虹色にきらめく石を召喚サークルに投げ入れた。

     くあ、とオルタナティブのクー・フーリンはあくびをした。
     血走った目で「石を集める」と言ったマスターに付き添い、数時間前までレイシフト先でひたすら獲物を狩っていたのだ。帰ってきてからはずっと寝ていたのだが、まだ眠い。
    1808

    Haruto9000

    DONE「ランサーのクー・フーリンが女性だったら」妄想、第2話。
    ※FGO第1部のみの情報で書いていたので、設定ズレなどはご容赦ください。

    【あらすじ】
    女性のクー・フーリンに戸惑うマスターたち。
    カルデアにいる他の英霊たちは誰も"彼女"のことは知らず、ランサークラスのクー・フーリンは意気消沈してしまう。
    そんな中、クー・フーリンの師匠であるスカサハが、ひとつの提案をする。
    ミラーリング #2(カルデア編) 扉を開ければ、パチパチと炉ばたで燃える温かい火。
     焼いたパンと、山羊の乳の匂い。
     刺繍の手を止めて、彼女が顔を上げる。
     一歩を踏み出せない自分を見つけて、その美しい目が細められる。
     椅子から立ち上がり、白くて細い手を差し出しながら彼女は微笑む。
     ──おかえりなさい、猛犬さん。

    ***

    「どおいうことぉぉぉっっっ!?!?!?」
     マスターがすっとんきょうな声を上げた。隣ではマシュが「先輩、落ち着いてください!」と必死になだめている。
     マスターたちの前では、召喚されたばかりのランサークラスのクー・フーリンが、戸惑ったように立ち尽くしていた。
     かの英雄の象徴ともいうべき赤い槍を両手でぎゅっと握りしめ、不安そうな顔であたりを見回している。
    8253

    Haruto9000

    DONE「ランサーのクー・フーリンが女性だったら」妄想、第5話。
    ※FGO第1部のみの情報で書いていたので、設定ズレなどはご容赦ください。

    【あらすじ】
    オルタの自分と決定的に仲が悪くなったランサー。ギスギスした2人に、マスターやキャスターは頭を痛めていた。
    ある日、ランサーたちは素材集めのレイシフトに出ることになる。
    雪山で順調にエネミーを倒していくが、突如、巨大なスプリガンが襲ってきた!
    ミラーリング #5(カルデア編) 初めて会ったときのおまえは、小さな小さな子犬だった。
     だが、子犬はあっという間に俺が望んだ全てを手に入れた。
     そんな子犬が、俺は憎くて憎くて仕方なかった。
     だが、嗚呼、そんな俺の心の内も知らず、おまえはなんと無邪気に笑いかけてきたことだろう。
     その小さな体が抱えるものの大きさを知り、どれほど心傷んだことだろう。
     二人で競い、技を磨き合う一瞬が、どれほど楽しかったことだろう。
     あんなに懐かしく輝く日々が、今はなんと遠いことだろう!
     空はこんなにも晴れているのに、俺の顔には雨が止まない。
     さあ、そんなに泣かないでくれ。
     愛しい愛しい、俺の妹。

    ✳︎✳︎✳︎

     種火を与えられて強くなったランサーは、髪の毛をバッサリと切ってしまった。
    9563

    Haruto9000

    DONE「ランサーのクー・フーリンが女性だったら」妄想、第6話。
    ※FGO第1部のみの情報で書いていたので、設定ズレなどはご容赦ください。

    【あらすじ】
    雪崩に巻き込まれ、マスターたちとはぐれたランサーとオルタ。
    洞窟で嵐をしのごうとするが、ランサーの様子がおかしいことにオルタが気づく。
    彼女が本当に「クー・フーリン」なのか疑いを持っていたオルタは、ランサーを問い詰めるが…。
    ミラーリング #6(カルデア編) 死にたくない、と彼女は言った。
     腹を裂かれ、血に沈み、全身から命を流しながらも、彼女は言った。死にたくない。
     その身を疎まれ、弄ばれ、それでも必死に生きた末にこのざまとは、なんて、なんて、あわれな女!
     今際の際にみじめたらしく泣く姿が許せず、私は言った。
     体が朽ちても、その名が語り継がれるように。
     その身が伝説に昇華され、永遠に生き続けるように。

     ──おまえを、英雄にしてあげる。

    ✳︎✳︎✳︎

     ランサーは目を覚ました。
     真っ先に目に入ったのは、オレンジ色に明滅する濡れた岩の天井だった。
     吐いた息が白く立ち昇っては消える。

     寒い。

     ぼんやりする頭で自分の白い息を見つめていると、唐突に記憶が蘇った。
    7393