帰宅するやいなや、真宏はベッドに倒れ込んだ。モルガナが入った通学鞄は大した衝撃もなくマットレスに着地する。器用なものだ。
「オイ、ちゃんと制服着替えろよ」
「わかってる……」
言葉とは裏腹に、真宏はなかなか動き出さない。あーとかうーとか唸っている。最近こうなることが増えた。東京から地元に戻り、進級してからだったか。原因はこれだろう、とモルガナは鞄の中に乱雑に突っ込まれたプリントを引っぱりだす。
「進路希望って、オマエならどこにでもいけるだけの実力があるだろ? さっさと出しちまえって」
モルガナの言葉に真宏の唸り声が応えた。印字の進学に丸がつけられてはいるが、第一志望は空欄だった。正確には一度書いて消した跡だけがある。
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